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青山繁晴 ·自由民主党

参議院政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会(2024-04-12)での発言

第213回国会 ·第第4号号 ·4,282字
○青山繁晴君 ODA調査派遣第三班について報告いたします。  当班は、令和五年九月二日から十日までの九日間、ザンビア共和国及び南アフリカ共和国に派遣されました。  派遣議員は、団長の舞立昇治議員及び私、青山繁晴の二名です。アフリカのサブサハラは多くの予防接種が必要な厳しい環境ということもあり、二名だけの派遣となりました。  本日は、舞立議員が農林水産大臣政務官に就任されたため、私が代わりに、調査を通じて得られた所見を中心に報告します。  まず、ザンビア共和国です。  獣医学分野では、首都ルサカにおいてザンビア大学獣医学部を視察しました。  ザンビアは銅の生産に依存する経済からの脱却を図っており、畜産業の振興のためには、家畜伝染病の防疫や食品衛生監視に携わる獣医師の育成が不可欠です。  我が国は、ザンビア大学獣医学部の設置から現在に至るまで、施設の整備、教育体制の構築を支援してきましたが、今や周辺国から留学生を受け入れるまでになり、私もこの留学生たちとお話をいたしました。各国との先進的な共同研究の拠点にもなっています。我が国の支援は、ザンビアだけではなく、世界各国に裨益するものであり、今後も継続、拡充していく意義があります。  保健医療分野では、ルサカにおいてカリンガリンガ・ヘルスセンター及びカニャマ病院を視察しました。  ザンビアはWHOが定める結核の高負荷国の一つです。高負荷国とは結核患者の多い国ということであります。また、人口が集中するルサカ郡では、基本的な手術を行える病院が不足し、病院の運営管理やサービスの質が課題となっていました。  これらの医療施設における我が国の事業は、医療サービスの向上に貢献しているだけでなく、検査機器のメンテナンス研修や病院の運営管理能力の強化など、医療サービスを持続可能なものとする要素が含まれており、評価に値します。カニャマ病院では日本の支援活動を地域全体に広げてほしいとの要望も寄せられました。  ルサカの未計画居住区、すなわち非計画的に人が住んでいる地区では、ごみや排せつ物が散乱し、毎年雨季にコレラなどの感染病が流行しているとされ、今後は公衆衛生の向上に資する廃棄物管理、汚水処理などの関連分野も含めて支援していくべきです。  社会福祉分野では、ルサカ州チョングウェ郡において、孤児、障害者のための職業訓練校の建設現場を視察しました。  ルサカ州内の孤児や障害者は、職業訓練校に通うことができず、就業が困難になっています。本事業は人間の安全保障の考え方に即したものであり、孤児、障害者の社会的自立や雇用促進が期待されます。  私たちは、ザンビアの孤児、障害者のために献身しようとインドから訪れたシスターたちの尊い姿勢に感銘を受けました。草の根・人間の安全保障無償資金協力は、事業の機動的な実施が可能な枠組みであり、今後も拡充すべきです。  一方、建設現場は職業訓練校の運営に必要なインフラがほとんど見当たらない更地であり、開校後に多くの困り事が生じてくることも確実に予想されます。  本事業は、まさに支援終了後にも援助効果の持続性を高めるべき案件です。長期間にわたるフォローアップが必要であり、フォローアップの実施や新たな支援ニーズに関して、外務省とJICAなど関係機関との間で連携して対応していただきたいと切に願います。  インフラ整備に関しては、ボツワナとの国境地点にあるカズングラ橋及びワンストップ・ボーダーポスト、OSBPを視察しました。  内陸国であるザンビアの経済発展のためには、輸送コストの削減と安定した輸送ルートの確保が不可欠です。カズングラ橋、OSBPの運用開始により、交通量が増加し、通関時間が短縮され、税収も増加しました。しかし、ザンビア側の通関時間はボツワナ側と比べていまだ長く、OSBPの業務を一層効率化するため、更なる支援が必要です。カズングラで得られた教訓は、アフリカ大陸の他のOSBPの改善やOSBPの計画立案に生かせるでしょう。  文化財分野では、リビングストンにおいてリビングストン博物館を調査しました。  ザンビア国内最古、最大の博物館であるリビングストン博物館は、設備、機材の経年劣化が顕著となっていますが、機材整備計画の実施により、研究受託件数、来館者数の増加や、収蔵品の保存状態の改善、展示の質の向上が期待されます。  しかし、依然として収蔵スペースが不足しており、収蔵庫の増設に加えて、空調設備が売店にしかないという現状から、更なる支援が必要です。また、リビングストン博物館は国内外の機関との共同研究を実施しており、我が国の支援は、ザンビアだけではなく、世界各国に裨益するものです。  リビングストンでは、世界有数の大滝であるビクトリアフォールズの遊歩道も調査しました。  ビクトリアフォールズでは転落事故が時々起きているという情報があり、ODAで安全対策を実施、支援できないかと問題意識を持っていましたが、現地の管理者から、例えば、二年前にジンバブエ側で転落した人がいたと聞きました。遊歩道の整備に課題があり、手すり柵も老朽化していて、景観に配慮した安全対策の充実が求められます。また、現地の管理者から、自然環境保護に関する研修や、森林、動物、土壌管理の専門家の派遣、事務所、誘客施設の整備に関する要望が多々寄せられました。  ビクトリアフォールズの安全対策や各種要望に関し、ODAを含む経済協力として可能な事業について、JICAを始めとする関係機関や民間企業の間で検討が進むことを期待します。  次に、南アフリカ共和国です。  交通分野では、ジャーミストンにおいて、レールの枕木を固定する座屈防止板、すなわち脱線防止装置が設置された現場を視察しました。  南アフリカの長距離鉄道においては軌道の維持管理対策が急務となっており、先進的軌道保全技術の普及・実証事業は、日本企業の提案技術を用いて南アフリカの鉄道の安全性向上を図るとともに、日本企業の技術の南部アフリカ地域における普及を後押しするものです。  本事業の枠組みは、より多くの国の開発課題が解決される可能性を有するだけではなく、JICAの事業に参画する民間企業の裾野拡大に資することから、様々な分野において継続、拡充すべきです。  労働分野では、ケープタウンにおいて、職業技術協力・訓練、すなわちTVETの機関であるノースリンク・カレッジを視察しました。  南アフリカでは失業率が高く、特に若年層の雇用創出が課題となっており、政府は毎年三万人の技能工育成を目標としています。職業訓練校能力強化プロジェクトは、製造業全般に関わる組立て、旋盤の職種の育成に中心的に取り組むTVET機関二校の能力強化を図るものであり、南アフリカに進出している日本企業にも裨益するものです。  また、ノースリンク・カレッジの多くの学生が日本で働きたいと考えており、日本語の学習機会の提供などを検討すべきです。  教育分野では、ステレンボッシュにおいて、ステレンボッシュ大学日本センター、SUJCを視察しました。  TICAD8では、日本の取組として、日・アフリカ間の大学ネットワークを通じた人材育成が打ち出されており、SUJCへの専門家派遣は、SUJCがアフリカと日本の教育、学術研究、文化的交流の主要拠点となることを長期的な目標としております。  国際政治、ビジネスだけではなく、気候変動、保健医療など地球規模の課題の観点からアフリカとの関係を強化するためには、アフリカを深く知る必要があります。本事業はアフリカ地域研究の充実強化に資するものであり、他の大学への横展開が期待されます。  保健医療分野では、ケープタウンにおいてフォールスベイ病院を視察しました。  地区唯一の公立病院であるフォールスベイ病院では産婦人科で超音波診断機が不足しており、設備の整った遠方の病院に通うことができない住民は出産に大きなリスクを抱えていました。  医療機材整備計画の実施により、より多くの妊婦の方が適切な診察を受けることが可能となり、性被害、失礼、性犯罪被害者の女性に対して迅速かつ安全な医療の提供が可能となりました。しかし、供与される医療機材の一部は病院で扱える医療従事者がおらず、緊急時には遠方から医師が駆け付けなければなりません。  また、医療機材の耐用年数は通常五年から七年とされるため、本事業のフォローアップについては、機材の更新を見据え、より長期間行い、新たな支援ニーズがあれば対応すべきです。  次に、その他の所見について申し上げます。  派遣団は、ザンビア・リビングストンの市長と意見交換を行いました。観光資源の開発、女性、障害者の社会進出、保健衛生など、開発課題の解決に向けた市長の意欲的な姿勢が感じられ、貴重な機会となりました。  開発途上国においては中央政府のガバナンスが必ずしも十分ではないことも考えられるため、在外公館及びJICAが地方政府とのパイプを更に更に強化し、地方での支援ニーズの積極的な開拓につなげていくことを期待します。  派遣団が懇談を行ったJICA海外協力隊員のうち二名は、広島大学とJICAの連携事業であるザンビア特別教育プログラムに参加している大学院生でした。開発協力人材の裾野拡大のため、JICAが我が国の大学との連携を更に拡大していくことが期待されます。また、女性と高齢者が困難な環境を克服しつつ活躍していることも確認しました。こうした派遣の強化も必要不可欠です。  今回の派遣先はいずれも英語を公用語とする国であり、派遣団と視察先との質疑及び意見交換の一部は英語で直接行いました。限られた時間で相手の真意を酌み取りながらより多くの内容について議論するためにはお互いに同じ言語を使用することが望ましく、今後の派遣団の人選においては、英語を始めとする外国語によるコミュニケーション能力についても考慮すべきとの意見がありました。  最後に、今回の派遣に当たっては、外務本省、在外公館、JICA、海外協力隊、日本企業関係者、ザンビア政府、南アフリカ政府、AUDA、視察先の関係者の方々に多大なる御協力をいただきました。改めて心の底より感謝を申し上げます。  以上です。ありがとうございました。

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