○津村委員 私たち立憲民主党は、憲法改正国民投票法について、かねてより、一つ、憲法改正案に対する賛否の勧誘のための広告放送の全面禁止、二つ、政党等による賛否の意見表明のための広告放送の全面禁止、三つ、政党等によるインターネット有料広告の禁止などを具体的に提案してまいりました。
国民投票法の附則四条は、施行後三年を目途に、国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずることを定めております。
立憲民主党は、なぜこの検討条項が附則に盛り込まれたのかという原点を確認することからこの議論をスタートしたいと考えております。
元々、国民投票法が立案された際には、憲法改正の賛否を問う国民投票は、人間を選ぶ通常の選挙とは大きく異なる性質を持つことが強く意識されていました。公職選挙法は、今から七十五年前、一九五〇年に制定されて以来、社会環境の変化や情報技術の進歩に伴い、幾たびも改正されてきました。しかし、国民投票に関しては、必ずしも公職選挙法と同様の立法事実が確認され得ない場合も存在します。
そのため、一つ、有権者名簿の作成や投開票に関する事務など投票そのものに関するルールについては基本的に公職選挙法に準拠するものとしつつ、他方、二つ、いわゆる運動に関するルールについては、ゼロベースで検討した上で、必要最小限度のものとするとの原則にのっとって立案された経緯がございます。
放送CMについては、当初から、禁止すべきとの議論もありました。
欧州の先行事例を俯瞰いたしますと、フランスでは、国民投票については、放送CMは全面的に禁止されています。イタリアも、地方局では一定の要件の下に認められる場合があるものの、全国放送の放送CMは禁止。デンマークでも、放送CMは全面禁止。そしてスイスでは、テレビのみならず、ラジオの放送CMも禁止されています。
なお、二〇一六年に実施されたイギリスのEU離脱、いわゆるブレグジットに関する国民投票に際しても、放送CMは全面禁止され、賛成派と反対派の双方に同じ量の放送枠を無償提供するルールが採用されました。
こうした世界的な潮流を受け、日本における国民投票法制定時にも、放送CMは禁止すべきとの見解がございました。
しかし、二〇〇六年六月の衆議院憲法調査特別委員会におきまして、賛否の双方にイコールタイムの確保が可能かという趣旨の質問に対し、民放連の参考人が、放送CMについて、自主規制はできるし、やらなければならないとの趣旨を発言されたことから、法的規制ではなく自主規制で目的が達成可能との認識で現行法の仕組みができ上がった経緯があります。
ところが、二〇一九年五月九日、衆議院憲法審査会の冒頭の意見表明におきまして、民放連の永原専務理事は、「民放連としましては、昨年九月の理事会でCM量の自主規制は行わないという方針を決定して以来、国民投票運動の放送対応について進めてきた検討作業は、これで一区切りとなります。」「昨年九月の理事会で、CM量に特化した自主規制は行わないと決定したわけでございます。」と発言をされました。ここにおきまして、本件の議論の前提が大きく変わったと認識します。
この問題が再燃したきっかけはもう一つあります。二〇一五年に大阪市において行われた、大阪市を廃止して、府と統合して特別区を設置する、いわゆる大阪都構想に関する第一回目の住民投票でございます。運動期間中、放送CMについて、賛成派が反対派の約四倍の量であったことなどの指摘がなされました。国民投票法制定時に述べられた民放連の自主規制表明には、既にこの時点で大きな疑義が生じておりました。
このように、国民投票法制定当時において前提とされていた民放連の対応にそごが生じたことに加え、必ずしも立法事実が確認できないとされていた放送CM規制の重要性、有効性が確認されたことから、改めて、放送についてのCM規制について議論する必要性が生じたと思料いたします。
なお、翻りまして、当憲法審査会での議論を眺めましても、資金の多寡によって情報の差がつきやすいことへの懸念や外国政府の介入のおそれ等を指摘する意見表明が、国民民主党の玉木雄一郎議員や立憲民主党の奥野総一郎議員からなされております。
放送については、他のメディアにはない特徴があります。免許制が取られていること、番組編集準則が定められていることなどです。
なぜ放送についてはこのようなことが認められているのかについて、伝統的な見解は、一つ、電波の有限性、希少性と、二つ、社会的影響力の大きさから、特殊な規律があっても憲法違反ではないという説明をしてきました。伝統的な理解に従えば、放送CMについては規制の余地がより大きく存在すると考えられます。
しかしながら、いわゆるネットCMについて規制をする根拠をどのように考えるかは、放送CMとは切り分けて考える必要があります。この点は、本日この後御発言される同僚議員の指摘に委ねたいと考えます。
最後に、当審査会におきまして、放送規制の根拠やネット規制の可能性について学識経験者から最新の知見を拝聴する機会を設けていただくことを提案いたしまして、立憲民主党を代表しての私の意見表明とさせていただきます。
終わります。
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REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=津村啓介
MCP: search_diet_speeches(speaker="津村啓介")