○近藤参考人 おはようございます。本委員会のアドバイザリー・ボード会員に新たに任命されました近藤でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
私は、この委員会の使命は、国会事故調が、我が国原子力界は透明性、公開性、そして世界に学び自らを省みる姿勢に欠けていた、そのことがいわゆる自律性を失った規制組織を生み、それが大事故を招いたと厳しく指摘した上で行った七つの提言のうち、今取組中である被災住民への対応と事故炉の廃炉に向けた取組を確実に完了させていくこと、そして、提言に基づき生まれた原子力規制委員会や反省を迫られた原子力関係組織が、この指摘を踏まえつつ、使命の達成に取り組んでいるさまを点検する、監視する、そういうことだと考えております。
本日は、原子力発電のバックエンドに係る諸問題について見解を述べよとのことでございましたが、現在福島で行われているこの二つの取組の課題は原子力発電のバックエンドの取組のそれと重なるところが多いので、以下では、この二つの取組について中心に意見を申し上げます。
さて、最初ですが、被災住民への対応でございますが、これは復興庁が関係機関の協力を得て推進中であると理解します。
なお、まだ二万人を超える方が住み慣れた場所を離れておられることに思いを致しまして、除染が済んだ地域で新しい地域づくりに励んでおられる被災地域の皆様に対して、我が国官民が、きずな、すなわち連帯を大切に、その復旧復興の取組を支援していくことが大切と考えております。
地域の除染の取組は、環境省やJAEAの技術提案に基づきまして、これまで多くの地域で実施され、帰還困難区域は減少し、その技術や経験について情報共有も進んでいると評価しております。
しかし、費用対効果の観点から、なお除染に手がついていない地域は残っています。私としては、この地の除染の進め方について、更に創意工夫を重ねるとともに、この間にこの土地の所有者等の方が見捨てられたとの思いを持たれることのないように、連帯感に基づく対話を絶やさないことを大切にしていくべきと考えております。
そうした困難なふるさと、なりわいの再生を進める上で大切なことは、地域の将来を担う人材の育成です。
双葉郡の皆様の双葉の教育の灯を絶やすなという強い願いと、復興を実現し、先進的な新しい教育をこの地において創造しようとする関係機関の熱い思い、そして何より、震災後、子供たちの心に芽生えた復興を成し遂げようとする強い意志と意欲に応えて誕生した、ふたば未来学園中学校・高等学校は、原子力災害と原発事故で顕在化した福島の課題についての探求型学習活動を展開してきております。これには県内外の教育研究機関も積極的に関与し、いわゆる文理融合の学習活動が進められております。
また、福島復興再生特別措置法に基づいて令和五年四月に設立されました福島国際研究教育機構、略称F―REIでございますが、これは、人材育成と研究開発に尽力することによって、福島を始め東北の復興を実現するとともに、我が国の科学技術力、産業競争力の強化を牽引して、この地にベンチャー企業、資金を呼び込み、地域の経済成長や人々の生活向上に貢献する、いわゆる創造的復興の中核拠点となることを目指して活動を開始しています。
両組織ともこの取組を広く社会に発信しておられ、これに応えて多くの関係組織が共同の取組をつくり出してきている現状を、私としては高く評価する次第でございます。
一方、今申し上げた福島県各地の除染活動で発生した大量の土壌等は、当時、居住が困難なサイト周辺の土地を借用して集中的に中間貯蔵してきておりますが、この土地の借用期限が二〇四五年頃に到来するということで、ただいまは集積した除染土壌を処理して、放射性廃棄物とすべきものを区分し、減容し、いわゆる県外処分の約束をしておられますので、この県外処分に備える一方、放射能レベルが八千ベクレル・パー・キログラム以下のものは再生土壌として、省令や技術基準に定められた適切な管理の下で、将来において回収する意図のない土木構造物の材料として全国各地で利用していただくべく、その取組の妥当性の実証活動が行われております。
この取組を全国各地で実現するには、原子力発電所の廃炉の取組で発生するクリアランス廃棄物の資源としての再利用の推進とか、それから、今申し上げた、放射性廃棄物に区分された除染土壌の県外処分場の立地点の決定とか、さらには、原子力活動に係る様々な放射性廃棄物の最終処分場の立地点の決定の問題と同様、まずは、これを受け入れていただく可能性のある地域の皆様と対話をして、自らの生活環境で放射性物質に係る取組が安全を確保しつつ行われる状況を受け入れることに同意をしていただくこと、つまり、そうした取組の、ちょっと英語で申し訳ないですけれども、ソーシャル・ライセンス・トゥー・オペレート、SLOを得ることが必要でございます。
このSLOを得るには、取組の安全性の科学的説明だけではなくて、当該事業に関わる者が地域社会との誠実な対話を通じて、それぞれが大事にすることについての理解を深め、信頼関係を構築し、その費用と利益が社会的に見て公平に共有される、そういう一種の、いわゆる分配の正義が実現される、そしてまた、さらに、そうしたものが存在する未来を創造的に決定していく、こういう手続の正当性が確保されるように取り組むことが必要であります。
このことを目指す事業者と地域の対話の取組は、既に一部の廃棄物については着手されているわけでございますが、成果を得るに至っている例はいまだ少なく、関係者にはこうした要件の大切さに思いを致して、日々の対話の取組の結果を反省しつつ、更に対話を工夫し、前進することに力を尽くしていただきたいと思っている次第でございます。
次に、福島の廃炉の取組です。
私は、昨年八月まで、NDFの技術委員会で、デブリ取り出し着手までの活動を見守ってきました。現計画は、事故後間もなくの二〇一一年の十二月に取りまとめたものでして、この取組は今後二十年間で終えて、その後、廃棄物処理に十年をかけて、トータルで四十年ぐらいで全てを完了するという大変粗っぽいものでございましたが、いまだこれを維持しているところでございますが、しかし、事故炉の状況認識の精度の向上を踏まえまして、これを見直す時期に来ているとも考えております。
そのためにどうしたらいいかですが、ようやく緒についたALPS処理水の海への放出を着実に進めつつ、敷地を整備し、そこにある放射性廃棄物を適正に集約し、安定管理を実現する。そしてまた、デブリのサンプル採取とその分析や、原子炉容器内部調査を進展させて、それらを踏まえてデブリの大規模取り出し方法を検討し、これを実装するべく、一連の作業を、今の技術である、最新の技術であるデジタルツイン技術等を活用して計画をする。そして、そういう作業を五年ぐらいのうちにできるのかなと思いますが、これがいわば計画見直しの中核的仕事というふうに思っております。これによりまして、今後のデブリ取り出し工程の設計が可能になり、その完了までの時間と費用の推算が可能になると考えるからでございます。
なお、この取り出したデブリの最終処分をどのように行うべきかは関心の高い問題ではありますが、このことは、こうして明らかにされたその性状を踏まえて検討するのが適切と考えております。
当然のことながら、この間、東京電力は、これらの取組を安全最優先で取り組むとともに、透明性、公開性の確保の観点から、そのプロセスと結果、さらに、地場産業に参入していただけるような参入機会について、地域社会にタイムリーに情報を発信していくべきと考えます。
私の意見は以上でございます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
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API / MCP 利用
国立国会図書館 国会会議録 API を構造化
REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=近藤駿介
MCP: search_diet_speeches(speaker="近藤駿介")