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鈴木達治郎 ·アドバイザリー・ボード会員/長崎大学客員教授/NPO法人ピースデポ代表

衆議院原子力問題調査特別委員会(2025-05-15)での発言

第217回国会 ·第第3号号 ·5,155字
○鈴木参考人 よろしくお願いします。  引き続き、前回もお話しさせていただいたんですが、今日もまた、「論点」をお願いいたします、第一に、国会の役割、ここから始めたいと思います。それから、今日は十分ということで、バックエンドの問題、いろいろあるんですが、先ほどもお話ありましたけれども、高レベル放射性廃棄物と福島第一原発の廃炉についてお話ししたいと思います。  次のスライドをお願いいたします。  国会の役割なんですが、行政府の監視と立法という二つのポイントに絞ってお話ししたいと思うんですが、このアドバイザリー・ボードの役割と当委員会の役割なんですね、これは国会事故調の提言の一と七に関係していると思います。  一は、規制当局の監視ということで、これがメインの役割になっていると思うんですが、提言七には、もう一つ、独立調査委員会というのを設置するべきだという提言が入っています。これがひょっとしたら我々アドバイザリー・ボードのことなのかなと思うんですが、独立調査委員会は、更に我々よりももっと強力な、行政機関や原子力事業者から独立した、民間中心の専門家から第三者機関を設置すると書いてありまして、ちょっとアドバイザリー・ボードの機関としては、アドバイザリー・ボードでは弱いのではないかと私は思いまして、これを是非つくっていただきたいと思います。  私は、前から申し上げておりますが、この委員会としては、是非、原子力の推進、反対にかかわらず、解決が必要な課題に超党派で取り組んでいただきたいということで、その論点をずっと今までもお話ししてまいりましたので、今日もその視点からお話ししたいと思います。  では、次をお願いいたします。  私としては、今日も、これまでもお話ししてきましたが、二つ、超党派で取り組むべき課題として、高レベル廃棄物の処分の問題と福島第一原発措置の問題で、両方とも法律の改正及び立法についての必要性をお話ししたいと思います。  次をお願いいたします。  現在の高レベル廃棄物の最終処分に関する法律は二〇〇〇年にできた法律なんですが、第一条、目的のところに、発電に関する原子力の適正な利用に資するためとなっています。この文章を読むと、原子力の利用を推進するための法律かのように読めます。その次にも発電に関する原子力に係る環境の整備と書いてありますので、これも何か、原子力利用のための法律かのように読めます。  第二条には、特定放射性廃棄物の定義として、再処理後に発生する第一種、これはガラス固化体のことですが、第二種、それ以外の廃棄物、アルファ廃棄物ですよね、長半減期のものがあるんですけれども、これを含めているんですが、これだけで本当にいいんだろうかということが第二条の問題です。  第三条は、経産大臣が基本方針を定める。経産大臣は、エネルギー政策の責任官庁でありまして、高レベル廃棄物だけではなくて、原子力の推進の責任大臣でありますので、ここも、これだけ、第一、第二、第三条ですと、原子力の推進及び再処理後に発生するものしか含まれていないので、核燃料サイクルを前提とした法律になっています。  次をちょっと見ていただきたいんですが、これに基づいて基本方針が作られるとなっているんですが、現在の基本方針を見ますと、最初に、国のエネルギー政策を推進していく上で必要だというふうに書かれています。それから、大事なことは、もう一つ、ここは、国が前面に立って取り組むとなっているんですが、現状はそうなっているかどうか、ちょっと怪しいと思います。  今日はお話ししませんが、せっかく科学的適性マップを作ってはいるんですけれども、特性マップと呼ばれていますが、絞り込むプロセスでやらなきゃいけないのが、そうなっていないというふうに私は思います。これは前回の委員会のときにお話しさせていただきました。  それから、直接処分の研究開発が記されていますが、直接処分の研究開発をした後、それをどうするかということは現在決まっておらず、先ほど申しましたように、法律では直接処分は認められていないので、この研究開発の結果どうするかについては何も決まっていないということであります。  次をお願いいたします。  私の提案は、実は、この法律を作る基になっているのが、一九九八年に発表された、原子力委員会の高レベル廃棄物の処分懇談会の最終報告書というのがあります。これをもう一度読んでいただきますと重要な視点がいっぱい書かれておりまして、まず、基本的考え方のところに、今後の原子力政策がどのような方向に進められるにせよ、必要である、これが第一点ですね。それから、透明性確保と情報公開のところで、公正な第三者がチェックを行うことが大事である。それから、処分の技術と制度については、社会に受け入れられるようなシステムや、リスクマネジメントの観点から整備することが大事、要するに、柔軟性が必要であるということですね。それから、選定プロセスのところでも、公正な第三者によるレビューの仕組みが必要である。  この辺が現在の法律には組み込まれていないということで、私からは、今日は、具体的な法改正案を作ってまいりましたので、ちょっと見ていただきたいと思うんですが、次のスライドをお願いします。  まず、第一条、最初のところ、発電に関する原子力の適正な利用に資するではなくて、原子力発電を利用した現世代の責任として、次世代への負担を最小にするため、原子力発電後に生ずる特定放射性廃棄物最終処分を確実、柔軟に実施させる。この柔軟にというのが大事だと思います。  それから、最後に、第一条には国民経済の発展と国民生活の安定と書いてありますけれども、大事なことは国民の安全と環境保全でありますので、そちらをまず優先していただきたいということを明記したいと思います。  この最初のところは、原子力政策の推進、反対にかかわらないということを精神として組み込んでいただきたいと思います。  次をお願いします。  次は、廃棄物の定義の拡大ですね。先ほど申しましたように、現在の法律は、核燃サイクルを前提としていますので、使用済燃料の直接処分は認められていません。したがって、改正案には、特定放射性廃棄物の中に使用済核燃料を入れていただく。ここにはプルトニウムも含まれていますので、これでプルトニウムも、今、在庫でたまっているプルトニウムの直接処分もできるようになるのではないかと思います。それから、後でお話しします福島第一原発事故から出てくる廃棄物も今対象になっていないので、これも是非入れていただきたいと思います。  それから、第三条の責任官庁ですね。これも、原子力推進、反対にかかわらず、必要だということであれば、現在、福島事故から起因する廃棄物の方は環境大臣が担当されているということでありますので、廃棄物については、是非環境大臣が基本方針を定めて、更に重要な点は、国会の承認、行政府が淡々と進めるだけではなくて、国会の承認を得るようにしていただきたいと思います。  次をお願いいたします。  次に、第三者のレビューのところなんですけれども、今、第三条は、原子力委員会の意見を聞くということになっていますが、これではやはり弱いと思います。したがって、私の提案は、明確に、あらかじめ国会が設置した第三者機関の意見を聞かなければならないと。国会に高レベル廃棄物の処分を監視、評価する機関をつくっていただきたい。これが私の希望であります。  次をお願いいたします。  次は、福島第一原発ですけれども、こちらは、現在、通常の原子炉の廃止措置については法律がきっちりあるんですけれども、福島第一原発については、先ほどの近藤委員長からもありましたけれども、廃止措置の完了とか、デブリ、廃棄物処分などについて法的な定義がない。デブリとは何だという定義もないわけですね。何がどう廃棄物なのかも、定義がはっきりしていません。それから、ロードマップも今作られていますが、これも法的根拠がありません。  四十年で廃炉を完了させるというふうになっていますが、これも別に法的に決まっているわけでも何でもなくて、単なるガイドラインでありますね。科学的根拠も、今のところはっきりしていなくて、信頼性も最近疑われている。そもそも、完了するという、完了の定義もはっきりしていない。  事故後十年以上たって、福島原発廃止措置についても、今ようやく大体全景が分かってきましたので、先ほどの近藤先生からの話もありましたけれども、もう一度、ここで、国会で改めて問題点を議論して、廃止措置に関する法律を定める時期ではないか。  復興についても、実は、先ほど近藤先生からお話がありましたけれども、これも含めて、福島の廃炉と復興は密接に関係していますので、復興についても含めていただいて、整備していただきたい。実は、子ども・被災者支援法という立派な被災者のための法律があるんですけれども、これのフォローアップとして、住民の支援と環境保全を重視した法律整備をしていただきたいというのが、この法律の趣旨であります。  次のスライドをお願いしたいんですが、これは、近藤先生が委員長のとき、私が委員長代理のときに原子力委員会が出した見解文なんですけれども、中長期措置に対する政府の責務というところだけちょっと引用させていただきたいんですが、やはり責任ですね、福島第一の廃炉については長い長い期間が必要なので、政府が最終的に責任を有するということは大事だと思います。これも、法律的に今はっきり整備されていません。  それから、透明性の確保のことも書いてありますが、その次のところに、適宜に改善すべき点などを政府に対して勧告する、海外の専門家を含む第三者機関の設置ということは原子力委員会から提言させていただいているんですが、これがまだできていません。  したがって、ここでも、やはり国会において第三者機関を設置していただいて、福島第一原子力発電所の廃止措置についての適切な運営を図るべく、適宜監視、提言をしていただくような機関をつくっていただきたいと思います。  参考として、次の二つのウクライナのチェルノブイリ原発の法律をちょっと見ていただきたいんです。  ウクライナではチェルノブイリ廃炉法というのがありまして、これはシェルターを造るための定義なんですけれども、ここで定義していることは、大事なことは、労働者保護に対する国の責任と財政確保などの基本的原則を規定しています。  シェルターも定義しているんですが、よく、チェルノブイリでは石棺にしているので、それでおしまいだと思われていると思うんですが、実は、シェルターの定義というのは、デブリを取り出すためのシェルターでありまして、それを完了させるための防護施設であるという定義がされています。これを是非、ちょっと勘違いしていただけで、チェルノブイリは、何も石棺を造ったら終わりではなくて、その後のこともちゃんと規定しているというのは、次の法律に。  次をお願いします。  二〇〇九年の法律なんですが、チェルノブイリの原子力発電所の廃炉については、石棺後のデブリの取り出しとその後の最終的な完了までに約百年かかるというふうに書いています。実際には百年でどれぐらい進むかよく分かりませんが、取りあえず、最終処分までを政府がちゃんと予算措置を責任を取って行うということが明記されておりまして、ここでも高レベル廃棄物の定義が、デブリをちゃんと定義しておりまして、デブリの取り出しから貯蔵、それから処分の三段階について行うということがしっかり法律で書かれています。  スリーマイル島の方は、スリーマイル島自体に特別な法律があるわけではないんですが、許認可を受け持つ規制委員会の方で、デブリとは何ぞやとか、取り出した燃料をどれぐらい貯蔵するのかとか、それから最終処分をどうするのかということが許認可ではっきり決められておりますので、ここもちゃんと法律的なバックアップがある。  残念ながら、今、日本の福島第一原発廃炉については、そういう法律的な定義も、明確な目標も、財政責任についても明確な定義がないということで、是非、現時点で国会の方でこの議論をしていただいて、福島第一原発廃炉法というのを作っていただきたいと思います。  私の方は以上です。ありがとうございました。(拍手)

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