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大島堅一 ·アドバイザリー・ボード会員/龍谷大学政策学部教授

衆議院原子力問題調査特別委員会(2025-05-15)での発言

第217回国会 ·第第3号号 ·3,651字
○大島参考人 おはようございます。この度は、発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  私からは、大きく二点述べたいと思います。二ページ目にお願いします。  まず、大きな一点目は、バックエンドに関わる諸課題に関する概況と提言です。また、第二点目は、高レベル廃棄物処分プロセスにおいて規制と事業が分離していない、これが放置されているという点についてです。  大きな一点目の、概況と提言についてまずは述べたいと思います。  五ページ目までちょっと飛んでいただいて、お時間もないので。  まず、高レベル廃棄物処分の対象についてです。現行の最終処分法では、処分の対象となるものは、使用済核燃料を再処理した後に生じる廃棄物になっています。具体的には、ガラス固化体とTRU廃棄物です。  次、四ページに戻っていただいて。  しかし、一方で、ガラス固化体とTRU廃棄物の発生元である再処理の現実性が不確実になっています。再処理が不確実になっている以上、最終処分は再処理の将来とは切り離したものにする必要があるというふうに思います。  また五ページ目に戻っていただいて。  そして、ガラス固化体やTRU廃棄物に限定せず、使用済核燃料や福島第一原子力発電所で生じた溶融デブリ、これは再処理できませんので、これも最終処分法の対象というふうにすべきだと考えます。  六ページ目に行っていただいて。  次に、高レベル放射性廃棄物処分が政治的に約束されたスケジュールに縛られてはならないという点です。  具体的には、行政面で、青森県と六ケ所村との間で、海外委託で発生した高レベル廃棄物を三十年から五十年で搬出するという約束があります。一九九五年に持込みが開始されましたので、今年二〇二五年には既に三十年が経過するということになります。残り二十年で高レベル放射性廃棄物処分場が完成することは、現実的に不可能だというふうに考えます。その意味では、搬出するという約束を政治的に維持するとしても、これが高レベル廃棄物処分に、あるいはそのプロセスに影響を及ぼすものであってはならないというふうに考えます。  次、大きな一つ目の三つ目ですけれども、七ページに行っていただいて。  高レベル廃棄物処分プロセスに国民参加、市民参加のプロセスが全くないという問題について御指摘したいと思います。国民参加、市民参加がないままでは、よりよい政策の形成が不可能です。現在、高レベル廃棄物処分事業に関連して行政面で行っているのは、国民の理解醸成活動や対話の場にすぎません。これを幾ら重ねても、本当の意味で国民参加、市民参加を実現したことにはなりません。  実は、国民参加、市民参加については、日本の法制度上、極めて未成熟だというふうに考えます。この点、高レベル廃棄物処分事業を開始したフィンランドや、選定作業を進めているドイツなど各国では、国民参加制度が十分に、もちろん問題はありますけれども、日本から比べれば非常に十分に整備されているというふうに考えます。日本においても、実効性を持った国民参加制度を確立するための抜本的な法改正が必要だというふうに考えます。  残念ながら、例えば、八ページに行っていただきまして、北海道の寿都町では、国民参加、市民参加がないために、町民の間で深刻な分断というのが生まれています。これは、推進するに賛成、反対にかかわらず、分断があるということは認識しながら日々暮らされています。また、交付金制度があったために、かえって問題を複雑化させました。私は、寿都町、神恵内村、対馬市、玄海町を何度も何度も訪れてきました。国民参加、市民参加の枠組みなしに、高レベル廃棄物処分プロセスが進展することは困難だというふうに考えます。  次に、大きな二点目に参ります。九ページ目でお願いします。規制と事業の分離について述べます。  これは、早稲田大学の下山憲治教授が「環境と公害」という専門雑誌に「高レベル放射性廃棄物処分をめぐる法的課題」という論文を二〇二三年に公表されています。  この論文に基づいて、結論から申し上げますと、現行の高レベル放射性廃棄物処分プロセスにおいては、規制と事業が未分離なままになっています。福島原発事故後、安全を確保するためには、規制と事業が分離していることが必要だということが明らかになりました。ところが、実態としては、事業が規制の一部を担うような事態が起きています。私は大変これを憂慮しております。  このことを論理的に説明する前に、現行の法制度の前提事項について確認したいと思います。十ページ目にお願いします。  まず、一点目ですけれども、先ほど申しましたように、規制と事業が分離していること、これが原子力の安全の要であるという共通認識が持たれるようになりました。また、そのことが原子力利用にも貫かれており、高レベル放射性廃棄物処分においてもそうだという点です。  次に、第二点目ですけれども、原子炉等規制法において、処分場の位置、構造及び設備が原子力規制委員会規則で定められる規制を満たす必要があるという点です。位置ですね。構造及び設備です。一方で、最終処分法では、NUMOが処分場の選定と処分施設の設置を行うことになっています。これが第二点目です。  第三点目の前提事項は、廃棄の事業についても、原子力規制委員会が規制に関して一元的に独立して職権を行使するとされている点です。  以上が、法制度に関する三つの前提事項です。  では、これに照らして、高レベル放射性廃棄物選定プロセスがどのように現段階で評価し得るかということが課題になります。  十二ページに行っていただいて。  規制と事業という観点からすると、まず、NUMOは事業実施者です。また、資源エネルギー庁は事業の監督者、つまり安全規制を担わない事業サイドの監督者であって、事業を担当しています。一方、原子力規制委員会は、規制や審査をつかさどり、許認可権限があります。つまり、形式的、表面的には、規制と事業は分離しているように見えます。  ところが、この間の実態を見てみると、規制と事業の分離は不明瞭、不明確です。高レベル廃棄物処分は、文献調査、概要調査、精密調査と三段階で進んでいきます。概要調査地区の選定条件というのは、位置を定めるための条件です。位置です。これは、先ほど述べた前提の二つ目にあるように、原子力規制委員会に関わる位置に関する事項です。ところが、この選定条件案を起案したのはNUMOです。事業者であるNUMOが策定しました。さらに、それ以降のプロセスにおいても、推進機関である資源エネルギー庁が実質的には安全審査とも言えるような審査を行いました。  現行の制度においては、先ほど述べた前提事項の二つ目の選定と認可の関係が、事業と規制の分離の趣旨にそぐわなくなっているということです。更に言えば、一元的に規制を担うとされている原子力規制委員会の趣旨にもそぐいません。  十一ページにちょっと戻っていただいて。  このようなことがなぜ起こっているかといいますと、それは、原子力規制委員会を設置するに当たって、最終処分法が一部改正されました。ですが、その改正が言葉の置き換えをしたにすぎなかったのです。例えば、原子力安全委員会を原子力規制委員会にするなどです。  現行の最終処分は、原子力規制委員会設置以前のままとなっています。つまり、経済産業大臣が規制権限を持っていたときの仕組みのままなのです。一方、原子力規制委員会の位置づけは、独立して許認可権限を持っていない原子力安全委員会の位置づけそのままになっているわけです。これでは事業と規制が未分離のままになってしまいます。  十三ページに行っていただいて。  規制と事業がはっきりと分離していなければ適切な安全規制が行えません。これが福島原発事故の教訓です。しかも、これを明らかにしたのは国会が設置した国会事故調査委員会でした。  原子力規制委員会が独立して客観的に安全審査を行えるように、安全規制に関わる部分は原子力規制委員会に実質的に一元化すべきです。今は非常に不明瞭です。また、そういった趣旨の最終処分法の改正、加えて原子炉等規制法の改正が必要です。一刻も早くする必要があると私は考えています。現行の文献調査や概要調査の在り方も、原子力規制委員会が各段階で審査して認可するような仕組みにするべきです。なぜなら、位置が原子力規制委員会の決める、定める安全規制に関わるからです。  以上、大きく二点申し上げました。  十四ページに行っていただきまして。  二点申し上げましたけれども、この度は、このような機会を賜りまして、誠にありがとうございました。  ありがとうございます。(拍手)

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