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天野慎介 ·厚生労働省ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループ構成員/一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長

衆議院厚生労働委員会(2025-04-08)での発言

第217回国会 ·第第8号号 ·3,411字
○天野参考人 おはようございます。  本日は、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。お手元の資料を御参照いただきながらお話を聞いていただければと思います。  全国がん患者団体連合会は、現在、加盟団体五十二団体、会員総数およそ二万人を有する患者団体の連合組織でございます。  私自身は、二〇〇〇年、二十七歳のときに血液がんである悪性リンパ腫を発症いたしまして、薬物療法や放射線療法、移植を受けました。二回の再発を経験し、治療の影響や合併症として薬剤性の間質性肺炎や左目の視力を失い、また、透析も受けております。  私は、再発を繰り返し、五年生存率も当時一〇%程度と言われましたが、たまたま治療が奏功し、今こうして皆様の前でお話しすることができております。当時はがんの薬物療法も限られておりましたし、亡くなられた仲間のがん患者の方々も多くいらっしゃいました。  しかし、その後、分子標的薬や免疫療法など、がんの薬物療法は大きく進歩いたしました。  資料の二ページを御覧ください。こちら、札幌市在住の中畠由美子さんは、二〇一三年、私と同じ悪性リンパ腫を発症し、再発を繰り返し、移植後も再発をしてしまい、かなり厳しい状況でした。しかし、先日衆議院予算委員会でも高額薬剤として取り上げられていました、CAR―T細胞療法のキムリアを国内治験最初の患者として北海道大学で受けて完全寛解となり、九年たった今も、再発もせず、仕事に復帰されてお元気に暮らされています。  近年、このようないわゆる革新的治療薬が増え、治験や臨床試験を受けて長期生存される患者さんも増えてきましたし、中畠さんも主治医から治験を紹介され、治験を受けて完全寛解となることができました。治験や臨床試験は、もちろん有効性や安全性を確かめることが本来の目的ではありますが、このように、再発した、あるいは難治性のがん患者さんにとっては、治療の選択肢の一つになっています。  しかし、治験を主治医から紹介されず、治験の情報を知らされなければ、治験に入ることは難しいという状況が現在でもございます。そもそも、主治医が治験の情報をよく知らないということもございます。  資料三ページを御覧ください。薬機法の第六十八条では、何人も、承認前の医薬品について、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならないとされています。  資料四ページを御覧ください。令和五年の厚生労働省監視指導・麻薬対策課長通知では、治験に係る情報提供の取扱いについて、治験情報を求める者のみに対して情報提供を行うことができるとされています。  日本では、jRCT、臨床研究等提出・公開システムにおいて情報公開されてはいますが、資料五ページを御覧ください。一方で、海外では、例えばこちらは米国の例になりますが、米国は、NIH、国立衛生研究所の支援により、リサーチマッチ、つまり、患者さんと臨床試験のマッチングを行うようなサイトも出てきております。  日本では、現状では、患者が自ら能動的に治験情報を求めない限りは、情報提供を受けることはできません。これは、命が限られた患者の中で命の情報格差を生む、極めて不公平な取扱いだと考えます。  薬機法第六十八条を改正いただく、あるいは第六十八条の対象から治験や臨床試験に関わる情報を除外するなどの対応が必要と考えます。これが本日私より申し上げたい一点目となります。  次に、二点目を申し上げます。  資料六ページを御覧ください。がんでは、患者さんに遺伝子パネル検査を行い、がんの遺伝子変異に基づいて、エキスパートパネルと呼ばれる専門家の会議で検討し、患者さん一人一人に合った治療薬を提案するがんゲノム医療が広がっています。  一方で、エキスパートパネルで提案された治療薬が未承認薬や適応外薬であることも多くあります。  資料七ページを御覧ください。その場合、現在の保険診療下では、まずは患者さんは治験や拡大治験を考慮し、それがなければ先進医療を考慮し、それでもなければ患者申出療養を考慮するという流れになっています。  拡大治験や患者申出療養については、現状、手続がまだまだ煩雑であるため、命が限られた患者さんがなかなか入ることができません。拡大治験については、米国のシングルペーシェントIND制度、すなわち、患者個人を対象とし、人道的見地から未承認薬の提供を行う治験を参考に手続の簡略化を行うとともに、患者申出療養については、必要に応じて法改正なども検討しつつ、手続の簡略化を行うことを検討いただきたいと考えております。  次に、三点目です。治験の審査に関する透明性の向上についてです。  PMDAでは、承認された医薬品の審査報告書については公開をしていますが、不承認となった場合、あるいは申請取下げとなった場合の審査報告書については、現状、分かりにくくなっています。新たな治療薬の開発に期待を寄せていた患者からすれば、なぜ不承認となったのか、なぜ申請取下げとなったのかが分からず、審査の透明性の向上が必要と考えます。  資料八ページを御覧ください。欧州医薬品庁、EMAでは、ウィズドローアル・アセスメント・リポート、すなわち取下げを評価するレポートが公開されていますので、PMDAも同様の取扱いとし、分かりやすく公開することが必要と考えます。  資料九ページを御覧ください。最後に、薬機法と高額療養費の関連について、具体的には、薬機法の議論でもあった後発品やバイオシミラーの使用促進との関連について意見を申し述べます。  資料十ページを御覧ください。高額療養費制度では、多数回該当があり、自己負担限度額を過去十二か月以内に三回超えた場合、患者さんの負担が軽減されます。  資料十一ページを御覧ください。しかし、自己負担限度額が引き上げられると、それだけ多数回該当となるハードルも上がりますし、多数回該当とならなければ負担も増えます。  資料十二ページを御覧ください。仮に多数回該当とならずに支払いを続けると、所得にもよりますが、年間百万円以上の負担増となる場合もございます。そうなると、患者さんや医師にどのようなインセンティブが働くかというと、自己負担限度額を超えることがインセンティブとして働きます。すなわち、具体的には、自己負担限度額を超えるために、安価な後発品やバイオシミラーよりも、高価な先発薬を使うということがあり得ます。  こうなると、後発品やバイオシミラーの使用促進には逆行することになりますので、多数回該当の在り方を変える、あるいは高額療養費に年間上限額を設定するなど、制度の在り方から考え直さなければならないと思います。つまり、高額療養費の対象となる患者の受診に与える影響調査が必要ということになります。  加えて、高額療養費の対象となる患者の家計に与える影響調査も必要と考えます。  資料十三ページを御覧ください。高額療養費引上げが、政府の当初案で引き上げられた場合の年間の自己負担上限額です。これだけを見ていても、患者の負担感は必ずしも十分には伝わりません。  一方で、資料の十四ページを御覧ください。自己負担の上限額が年収に占める割合で見ると、実は所得が低い方の負担割合がまだまだ高いことがお分かりいただけるかと思います。  そして、最後、資料十五ページを御覧ください。こちらは、自己負担の上限額が手取り所得に占める割合で、四十五歳単身世帯を想定していますが、これに扶養家族やお子さんが加われば、負担感は更に大きなものとなります。  今回、国会におきましても高額療養費制度についても御議論いただいてきましたが、この議論の過程においては、厚生労働省の例えば審議会などの議論の場で、現場感覚が欠如したまま議論が行われたことは問題だと考えております。  今後、仮に高額療養費に関して議論を行っていただく場合には、高額療養費の対象となる患者の受診に与える影響調査や家計に与える影響調査を実施いただくとともに、高額療養費を利用する患者やその治療を行う医療者の意見を聞いていただきたいと考えております。  私からは以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

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