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小林節 ·慶應義塾大学名誉教授/弁護士

衆議院政治改革に関する特別委員会(2025-03-17)での発言

第217回国会 ·第第8号号 ·1,981字
○小林参考人 私は憲法学者ですから、原理主義的なお話をさせていただきます。  まず、政治の定義から入らせていただきます。  政治というのは、目標は国民全体の利益の向上、最大多数の最大幸福でありますが、ただ、世の中が与えられる利益には限りがありまして、奪い合いの側面があります。と同時に、主権者たる国民全て、個性的で、自己中心的で、無限の欲望を持っております。ですから、この争いをうまく調整するのが権力を使った政治の業で、今ではそれが更に外国との調整まで加わる大変な仕事であります。  その中で、我々は歴史の結果として民主主義政治を採用して、それが正しい、代わるものをいまだ見つけていないわけでありますけれども、分析的に言えば、一つは平等な参政権、法の下の平等と参政権、もう一つは情報流通の自由、表現の自由、この二つを駆使して我々は調整をし、先へ進んでいるわけであります。  そのような政治の場において、企業、団体、まあ、労働組合に代表されますが、献金の性質はどういうことかというと、企業というのはそもそも営利法人であります。つまり、私の会社の利益さえあればいいという目的性を持っています。誤解しておられる方がおられると思いますけれども、労働組合も、我が労働組合の、我が労働者たちの待遇改善という、実はこれは部分利益を求めております。それに対して、政治というのは全体利益を求めるべきものであります。  だから、そういう関係の中で企業・団体献金を考えますと、企業において、企業の利益につながらない金を出したら、役員は背任になるんですよね、企業に損をさせたことになる。企業の利益に返ってくる献金をしたら、これは権力との取引で贈収賄になってしまうんですね。これははっきりしていますよね。だから、これは方向性としてはやはり禁止すべきとしか言いようがないと私は思います。  それに対して、団体といっても、政治結社、政党などはまた全く違いまして、分かりやすいのが、共産党と自民党というのは全く真逆の政党に見えますよね。だけれども、実は、真逆であって真逆じゃないんですね。つまり、どちらも目的はある、全体の利益の向上なんです。ただ、どこが違うかというと、自民党は自民党的やり方でいくことが全体の利益の向上につながると信じている人の集団であって、共産党は共産党的なやり方でやることが全体利益の向上につながる。  だけれども、いずれにしても、政治結社というのは全体利益の向上を目指す存在でありますから、これはさっきの民主主義の論理からいったら、規制する理由がないんですね。  そこに個人献金で集まってくるものはどういうことかというと、憲法二十九条で保障された財産権、自分が努力や運で手に入れた財産をどう使おうが、犯罪手段にならない限りは勝手でしょうというのが財産権の本質でありますから、そういう意味で、その集まった金を政治結社がどこへどう使おうが、これ自体は民主主義と反するものではないということであります。  この分野で昭和四十五年の最高裁判例が時々引用されるんですけれども、私は憲法学者としてそれを正直言って笑わせていただくんですけれども、我が国は、御存じの話だと思いますけれども、判例法国じゃありませんよね。イギリス、アメリカという歴史的背景のある国じゃなくて、あくまでも立法府は国会だけなんですね。  判例法国というのは、法廷で法律が作られるんです。国会でも法律が作られるんです。そして、新しい方が有効というシーソーゲームをやっているわけです。ですから、判例というのは、厳格に言えばその事実関係にしか適用されないし、時代背景がとても問題になる。だって、判例が生まれたとかということは、なかったことが生まれたわけでしょう。判例が変更されたということは、変更されるわけでしょう、夫婦別姓の問題なんかと同じで。  ですから、それほど拘束力のあるものではないけれども、ただ、度々引用されますのでちょっと言わせていただきますけれども、会社の社会的役割を果たす、社会的役割というのは、会社は、ちゃんと働いて商品やサービスを世の中へ出して、それで社会に貢献しているじゃないですか。得た対価で社員を養って税金を納めている。終わっているじゃないですか。それ以外何をするんですか。買収をするんですかという話ですよね。  それからもう一つ、公共の福祉に反しない限り認めると最高裁は当時言ったらしいですけれども、公共の福祉というのは、社会全体の共存共栄の利益の土台を壊しちゃいけませんよという意味ですよね。そういう意味では、まさに企業献金というのは本質において買収であるから、もろ、露骨に公共の福祉に反することで、これは禁止されるべきである。  以上でございます。(拍手)

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