○伊藤参考人 皆さん、おはようございます。
私は、日本食品関連産業労働組合総連合会、通称フード連合で会長を仰せつかっております伊藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、このような発言の機会をいただいたことに対しまして、関係者の皆様方に改めて感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
まず、私たちのフード連合について若干御説明をさせていただきたいというふうに思います。
私どもフード連合は、連合の構成組織で、二〇〇二年十一月に結成しました食品関連産業の産別組織でございます。組合員は約十一万人、約三百の食品関連企業の労働組合が加盟しており、国内大手食品企業の労組の多くが加盟しておりますが、そのうち約八割は三百人未満の中小の労働組合で構成されております。様々な食品の業種や各地域において、製造や流通の最前線となる現場で、日々の食を支えております。
今回の食料システム法の改正に際しまして、食品関連産業の現場を預かる立場から、小売業との取引に焦点を当てて、取引の実態や課題について意見を述べさせていただきたいと思います。
なお、この意見陳述の中で、フード連合に加盟している食品製造業、物流、卸売業を食品関連産業と呼ぶことを御了承いただきたいというふうに思います。
私たちフード連合は、食料システムにおける生産者から消費者に届くまでの各段階で、それぞれが生み出した価値が公正、適正に評価される社会を目指しております。
食品関連産業で働く私たちは、安全で安心な食品を製造し、安定して提供するといった仕事を通じて、国民の命や豊かで健康な生活を支えていると自負し、日々の業務に当たっております。
一方、食品は生活必需品であるために、特に価格に消費者の意向が反映されやすい傾向にあり、小売での熾烈な価格競争が、そこに製品を納入する食品物流業や食品製造業にもしわ寄せされ、価値に見合わない価格やサービスが常態化しております。
次に、今日、資料を御用意させていただきましたが、こちらを基に、以後進めさせていただきたいというふうに思います。
フード連合の結成以来、約二十年間、UAゼンセンの食品製造業の労働組合と協力し、実際の食品の営業現場で働く組合員を対象に取引慣行に関する実態調査を実施し、問題となり得る取引事例の発生状況を確認しております。こちらの、お手元の資料を御覧いただければというふうに思います。
この調査結果は、農林水産省を始めとする関係する省庁、業界団体、政党等にお伝えをし、取引の健全化に資する政策推進策を要請しております。
現在の調査は、独占禁止法、下請法、農林水産省の策定いたしました食品製造業、小売業間における取引推進ガイドラインを基に、十四の取引の種類、形態において問題となり得る事例の発生の有無や具体的な状況を確認しております。詳細は、配付資料の五ページ、六ページを御覧いただきたいと思います。
この調査の最大の特徴は、企業単位で回答するものではなく、実際の取引の最前線にいる営業を担当する組合員一人一人が回答するところにございます。直近の調査は二〇二四年九月から十月に行っており、食品企業約百社に所属する四千人を超える組合員から回答をいただいております。
この調査で明らかになっている、問題となり得る取引の事例をお伝えさせていただきたいというふうに思います。今回の法改正で進める食品等の取引の適正化について、特に食品関連産業が現場で直面している見直すべき商習慣の実態として参考にしていただければというふうに思います。
まず、価格転嫁を含めた納品価格に関する取引についてでございます。
政府による価格転嫁促進の政策によりまして、省庁が実施をいたしました調査で示されているように、食品製造業でも、全体で見れば価格転嫁をようやく進めることができております。
しかし、個別の交渉の実態を見ると、十ページの原材料価格等の上昇時の取引価格改定で示しているように、取引先の一方的な理由で、納品価格への転嫁は受け入れられたものの必要な価格までは改定することができなかった、納品価格を据え置かれたといった事例が発生しております。加えて、価格改定は受け入れられたものの販促費等の著しく不当な条件をつけられた、交渉の場に着くことさえ拒否された、取引を停止、商品をカットされたといった事例も発生しております。
十七ページに記載のあります労務費の価格転嫁についてでございますが、我々の調査では、回答者の半数以上は、そもそも労務費の転嫁に関する価格交渉を行っていないという回答をしております。
所属企業の方針、あるいは担当商材が労務費も転嫁する対象かどうかなど定かではございませんが、従来から、食品の取引では労務費の転嫁を個別の交渉の場に出すことは通常は行ってこなかった。その慣行がまだ残っているということが示唆されます。食品関連産業においても、発注者、受注者双方が指針に沿った労務費の転嫁の交渉が定着するか、労務費転嫁が受け入れられる風土が醸成されるかが注目されております。
また、納品価格については、個別の状況によっては、合理的な根拠のない取引の都合による価格を一方的に決められるケースや、新店オープン時などの客寄せのため、行き過ぎた納品価格の引下げや安価な売価の補填要求が常態化しております。
続きまして、不当な対応要求の実態をお伝えさせていただきます。
今回の調査では、協賛金の負担について問題を指摘する声が最も多くありました。資料の十一ページを御確認ください。
実際に協賛金としての支払いが常態化しているかは定かでございませんが、負担額及びその算出根拠、使途、提供の条件等について明確になっていない、取引先の経済上の利益と思われる支払い要求や、食品メーカーの直接の利益とならないと考えられる支払い要求が多数発生しております。
不当な労務提供の要求にも大変苦労しております。資料の十四ページを確認ください。
取引先にて店舗の改装の手伝いなど、自社の直接的な利益にならない労働がいまだに多く発生しております。中には、週三回や年間百二十店舗など、異常な回数を取引先で働かされている事例も報告されており、色濃く疲弊の声が聞こえてまいります。
そのほかには、取り決めたリードタイムを無視した短い納期での発注や、破損した商品の処理、取引先の都合や合理的な理由のない返品対応、必要のない取引先の商品の強制購入などの要求も多々発生しております。
こうした対応にも、当然、食品メーカーではコストが発生をしております。価格転嫁が進んだといたしましても、こういったコストの負担が上がってしまっては、真に利益体質の改善には至らないというふうに思います。
仮に、こうした不公正な取引や商慣習が残ったままの状態で、それに要するコストが考慮されて価格形成が進んでしまったとすると、消費者に不適切な負担を強いることにもなりかねません。改正法が実効性のあるものになるよう、現場の取引実態をしっかり確認いただき、見直すべき商習慣を適切に設定いただきたいというふうに思います。
調査では、取引慣行の改善の受け止めも聞いております。資料の十八ページを御覧ください。
取引の現場で問題が発生している状況に変化がないという回答が多くを占めている状況が、例年変わっておりません。回答している組合員は、回答することで自分に不利益がないか、報復行為を受けてしまわないか、一定のリスクや心理的障壁を感じながらも、こういった調査に記入をしてまで取引の実態を改善したいと願っており、その声が届けられております。
現場で働く一人一人が取引の適正化が進んでいる実感が得られ、食品関連産業の営業として働く尊厳が守られるよう、本法案の実効性を確固たるものにし、公正な取引慣行の実現に向けた取組を強化、徹底する必要があるというふうに思っております。
このような食品関連産業と小売業の取引実態が示すとおり、食品関連産業は取引において弱い立場にあるのが現状でございます。たとえ売手の方が企業規模が大きかったとしても、取引において、買手の力が圧倒的に強いのが実態でございます。そのような力関係の中で長年事業を行ってきましたので、売手から費用等の協議や商慣習の見直しを提案することは容易ではないというふうに認識していただいた上で、改正法の実効性を高める策を推進いただきたいというふうに思っております。
もちろん、私たち食品関連産業も、原材料などの事業者とは、取引上、買手となることもございます。そういった取引先にしわ寄せをしてしまうことはあってはならないことであり、今後も注意していきたいというふうに思っております。
食品の品目によっては、改正法にのっとって合理的に価格形成すると、現状より値上がりする可能性も考えられます。消費者が安易に安価な海外食品に流れてしまいますと、国内の食品関連産業の持続性や国内の自給率の向上に負の影響を与えることも懸念されます。消費者の理解を得る方策や消費者の日々の購買力を底上げする政策についても併せて推進する必要があるというふうに思っております。
我々食品関連産業は、小売業とも協力しながら、安全、安心で魅力的な製品を開発、製造し、その製品の価値を適切に消費者に伝える活動を行い、価値に見合った価格であると納得いただいた上で購入していただきたいというふうに思っております。低価格競争や不公正なサービス合戦から抜け出さなくては、いずれ食品企業が倒れ、小売などスーパーで売るものがなくなり、消費者も好きな食品を食べられなくなるということも考えられます。豊かな日本の食生活を守るためにも、本法案の適切な議論をお願いし、私からの発言とさせていただきます。
本日は、どうもありがとうございました。(拍手)
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○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
私どもフード連合では、四月の十五日の時点でその集計の結果を百三十八組合で収集に至っておりまして、全体の賃上げは総額で一万六千六百五十…
2025-05-08 · 衆議院農林水産委員会
○伊藤参考人 御質問ありがとうございます。
中にはやはり、価格転嫁がうまく進んで利益を確保できるようになった、その結果によりまして賃上げにつながったという企業もあると思いますけ…
API / MCP 利用
国立国会図書館 国会会議録 API を構造化
REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=伊藤敏行
MCP: search_diet_speeches(speaker="伊藤敏行")