○浅野哲君 国民民主党の浅野哲です。
私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、政府提出の予算案外二案に対して、反対の立場で討論を行います。(拍手)
国民民主党は、結党以来、家計第一、給料が上がる経済の実現、そして手取りを増やすというキャッチフレーズを掲げて、常に国民生活の向上を目指す活動を徹底してきました。
さきの総選挙においては、国民一人一人の可処分所得の引上げを目指す国民民主党の姿勢と、長期にわたって実質賃金が上がらず物価高に苦しむ国民の皆様からのSOSが重なり、年収の壁の引上げやガソリン暫定税率廃止にかつてない注目が集まりました。実際、昨年の総選挙前後で、百三万円の壁、年収の壁というキーワードでの検索頻度は、実に十倍以上に跳ね上がっています。この国会に課せられた責任は、この国民から届くSOSにしっかりと応えることのできる予算を策定することです。
そもそも、私たち国民民主党が、なぜ百六万円の壁や百三十万円の壁ではなく、百三万円の壁の引上げを先に行おうとしたのか。それは、百三万円の壁を動かすことで、人手不足が深刻化する今の時代に増加する就業調整の問題を改善しようとしただけではありません。この間、真面目に働き、日本を支えてきた全ての労働者の手取りを増やし、日本を動かしている最大のエンジン、すなわち個人消費を再び活性化させるためであります。
私たちが提案している百七十八万円までの引上げが実現すれば、年収三百万円で年間十一・三万円、年収五百万円で年間十三・二万円の減税効果が表れますが、政府案だと、年収三百万円で年五千円、年収五百万円で年一万円の減税効果しかありません。実に十倍以上の効果を発揮することができます。さらに、これまで就業調整を行ってきた方々が更に労働参加できるようになり、労働対価としての収入も同時に増やすことができるのです。
政府・与党には、限られた国家財政の中で、堅実な財政運営を行う責務があります。しかし、その一方で、三十年以上の長期にわたって低成長が続いてきた我が国の経済と国民生活をもう一度成長軌道に導くためには、財源の範囲で来年度何ができるかではなく、国民生活と将来世代のために今何をすべきかを、そういう姿勢で決断をすることが今の政権を担う者の責任ではないでしょうか。
さて、国民民主党は、昨日、立憲民主党とともに、いわゆるガソリン暫定税率の廃止法案を提出いたしました。そして、日本維新の会も、令和八年度から暫定税率を廃止する法案を提出したと伺っています。
現在のガソリン高は、物流や生産コスト上昇の要因となっており、全国各地の地場産業や中小企業経営者、そして従業員の皆さんを苦しめています。そのため、この間の予算委員会においても、ガソリン暫定税率廃止の必要性について、我々国民民主党はもちろんのこと、自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、れいわ新選組など、ほとんどの政党が肯定しています。また、何度でも申し上げますが、昨年十二月には、自民党、公明党、国民民主党の幹事長間でも廃止に合意しています。
にもかかわらず、令和七年度予算案や税制改正内容には検討規定しか盛り込まれておらず、三党協議や予算委員会の中でも、石破総理や与党から返ってくるのは、恒久財源をという言葉ばかりでした。
ここで一つ申し上げたいのは、いわゆるガソリン暫定税率は、一九七四年当初、期間限定ということで始められ、延長が重ねられてきました。現在は、当分の間税率という名称がついています。つまり、そもそも恒久財源ではないのです。これは、歴史上決して変えることのできない厳然たる事実です。あくまでも、暫定的、当分の間という前提、名称の税目であり、これを廃止する代わりに恒久財源をというのは根本的に成り立ちません。それは政府の、与党の身勝手な理屈です。
改めて申し上げますが、三党の幹事長合意事項は、いわゆるガソリンの暫定税率は廃止するです。このことから、国民民主党としては、令和七年度予算案及び税制改正内容において、この三党の幹事長合意が履行されているとは考えておりません。
なお、立憲民主党から提出された修正案については、先ほど申し上げた百三万円の壁の引上げについて含まれていない等の理由から、国民民主党の要求を満たすものとはなっておらず、賛成することができません。
以降、政府予算案の内容について、個別に問題点を指摘してまいります。
まず、高額療養費制度の見直しについては、多くの野党が反対を表明した理由として、制度の見直しプロセスに決定的な瑕疵があったと言わざるを得ません。
国民民主党は、制度の持続可能性を高めるために、より精緻な応能負担を推進することや、現役世代の保険料負担軽減をすること自体は評価をしています。しかし、今回の問題は、制度の見直しの影響を最も受ける患者さんを始めとする関係者、団体の意見を事前に聴取しなかった点であります。また、多数回該当時の負担額を据え置いたことは評価できますが、高額療養費の基準額引上げについては、まだ説明が十分とは思えません。
この後、厚生労働委員会が動き始めますが、政府には、患者や御家族が心配している、現在の生活が維持できなくなるのではないか、自分のせいで家族や子供につらい思いをさせてしまうのではないかなどの不安に寄り添った、更なる説明を求めてまいります。
また、教員の処遇改善について、政府は令和七年度から十二年度までの間に教職調整額を四%から一〇%まで段階的に引き上げる方針ですが、初年度の令和七年度にプラス一%だけというのは極めて小幅であると言わざるを得ません。
また、今後についても、教員の働き方改革の進捗を検証しながら追加的な措置を行っていくという方針ですけれども、これは順番が逆です。まず、過労死ラインを超える長時間労働が続いている現場の負担を軽減するため、教員定数を早期に見直すべきです。教職員の皆さんが求めているのは、お金よりも仲間です。そして、政府、地方自治体の理解と協力です。
石破総理には、国家財政ではなく、この国を支えている現場と、現場から生み出されていく未来の日本の姿に心を向けていただきたいと思います。
科学技術振興費についても、同様に、本予算案では前年度比〇・九%増の一兆四千二百二十一億円が計上されていますが、昨今の物価高の中では実質マイナスになることは明々白々です。
国際経営開発研究所、IMDの発表では、二〇二四年の日本の国際競争力ランキングは調査対象となった六十七か国中三十八位と、前年の三十五位から更に順位を落とし過去最低順位となりました。これを深刻な事態と言わずに何と言うべきでしょうか。かつて日本は一位を連続で獲得していた時期もありますが、この三十年間、日本は順位を落とし続けているにもかかわらず、科学技術予算は横ばいのままです。
なぜ政府は、ここまで科学技術分野を軽視するのでしょうか。最近の国際情勢を鑑みれば、防衛分野などの安全保障分野に予算を重点配分することに一定の理解はできます。であれば、なおさら科学技術予算を重視しなければならないはずです。科学技術力は、国家の経済成長はもとより、安全保障能力強化の原動力です。この点からも、政府の予算配分の妥当性に疑問を持たざるを得ません。
最後に、国民民主党として捉えている今後の重要課題について申し上げます。
一つ目は、就職氷河期世代への支援です。
今年は二〇二五年。団塊世代が七十五歳以上に達し、国民の四人に一人が後期高齢者となるタイミングがやってきました。同時に、団塊ジュニア世代の平均年齢も五十歳に到達し、今後、中高年のビジネスケアラーが急速に増加していきます。そして、この団塊ジュニア世代の中心にいるのが、いわゆる就職氷河期世代の皆さんです。
就職氷河期世代は、激しい就職競争の中、不安定な雇用や低賃金、キャリアアップ機会との断絶という厳しい時代の中を踏ん張ってきた世代でもあります。当事者の中には、老後資金への不安や家族の介護問題を抱える人たちも増えていますが、政府の中には、就職氷河期世代に主眼を置いた施策はありません。
そこで、私たち国民民主党は、国による就職氷河期世代に関する実態調査や厚生年金の過去遡及納付、国主導によるソーシャルファームの全国展開などを含む就職氷河期世代政策に関する提言を昨年公表しました。特に福岡厚生労働大臣には、大臣と同年代であるこの就職氷河期世代の国民が抱える様々な課題に寄り添っていただきたいと思います。我々国民民主党の提言内容を含め、今後、更なる具体的な支援策についても議論を深めてまいりましょう。
二点目は、暗号資産に関する規制緩和や課税方法の見直し、取引環境の充実です。
現在、世界の暗号資産関連市場は急速に成長していますが、日本国内では、二〇二一年に行われた取引規制の強化以降、国内の取引量は低空飛行を続けています。一方で、日本には人口の一六%に当たる約二千万人のユーザーがおり、これは米国や欧州と同程度の普及率です。
暗号資産は、新興国を中心に十三億人以上とも言われている銀行口座を持たないアンバンクト層の決済手段や、新興企業の資金調達手段、為替影響の回避や国際送金の効率化、低廉化など、経済や産業を大きく発展させるインフラとなり得る存在です。
石破政権には、暗号資産に係る課税方法の見直し、レバレッジ規制の上限二倍から十倍への緩和、暗号資産同士の交換時における非課税化、損失繰越控除三年間の導入、そして、暗号資産ETF導入に向けた検討を加速していただくよう強く求めます。
以上、本予算に関連した国民民主党としての意見を申し述べました。
私たち国民民主党は、税金を使う側ではなく税金を納める側の立場に立ち、前例よりも可能性を重んじ、対決より解決の姿勢で引き続きこの国会における議論に臨んでいくことをお誓い申し上げ、私の討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
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