○国務大臣(坂井学君) 三木圭恵議員の御質問にお答えいたします。
日本学術会議法における総理の任命権についてお尋ねがありました。
これまでも当時の内閣総理大臣や官房長官が国会で答弁しているとおり、日本学術会議の会員任命については、法の規定により、学術会議からの推薦に基づいて内閣総理大臣が任命することになりますが、これまでも、同会議から推薦名簿を提出する前に、事務局を介して学術会議の会長と任命権者との間で様々な意見交換が行われております。
二〇二〇年の日本学術会議の会員任命に当たっても、これまでと同様に、推薦名簿が提出される前に意見交換が学術会議の会長との間で行われましたが、その中で任命の考え方のすり合わせまで至らなかったものと承知しております。
二〇二〇年の会員任命の大まかな方針についてお尋ねがありました。
これまでも当時の内閣総理大臣や官房長官が国会で答弁しているとおり、二〇二〇年の日本学術会議の会員任命については、日本学術会議法に沿って、任命権者である当時の内閣総理大臣が総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から任命を行ったものと承知しております。
コロナ禍、原発事故、ALPS処理水、旧優生保護法など、近年の社会課題に対する日本学術会議の対応や役割についてお尋ねがありました。
日本学術会議では、コロナ禍に関連する課題について、早い段階から、公開シンポジウム等を通して、科学者コミュニティーや市民との対話を進めてきたと承知しております。また、G7各国のアカデミーとの共同声明を始め、提言や見解、報告書を公表し、これらの取組を学術会議のホームページに特集ページを設けるなどしてきたと聞いております。
東京電力福島第一原発事故に関しては、原発事故の再発防止、放射能対策、エネルギー対策、また、処理水の問題を含めた原発事故に伴う環境汚染への対応等の多様な観点から審議を行い、被災の三か月後には科学的見地から放射線防護への正しい理解を促す会長談話を発出するほか、多くの科学的助言の発出、また公開シンポジウム等の開催を行ってきたと聞いております。
旧優生保護法に関しては、令和二年に、人の生殖にゲノム編集技術を用いることに関する提言において、旧優生保護法の成立と運用の歴史も真摯に受け止める必要がある旨の言及があったと聞いております。
日本学術会議は、現在、自ら策定したアクションプランに基づき、社会の要請を踏まえたタイムリーな意思の表出による課題解決型の助言機能の強化や、国民に向けた分かりやすい情報の発信等、よりよい役割発揮に向けた改革を進めていると聞いております。
しかしながら、有識者懇談会の最終報告書においては、設立以来七十五年余りの学術の進歩と社会の変化を踏まえると、学術会議には拡大、深化する役割に実効的に対応していくことが求められており、国の機関のままの改革では限界があることから、機能強化に向けて独立性、自律性を抜本的に高めるため、よりよい役割、機能の発揮にふさわしい組織形態として学術会議を法人化することが提言されたところです。この法案は、以上のような報告書を踏まえて取りまとめたものです。
いわゆるデマ情報への対処方法についてお尋ねがありました。
日本学術会議が自ら義務と責任を定めた日本学術会議憲章において、「科学に基礎づけられた情報と見識ある勧告および見解を、慎重な審議過程を経て対外的に発信して、公共政策と社会制度の在り方に関する社会の選択に寄与する。」としているところです。
いわゆるデマ情報への対応については、日本学術会議は、憲章の趣旨を踏まえ、必要に応じて、科学的知見に基づく正確な情報を発信するものと考えています。
海外からの不当な資金を供与されている者が会員にならないようにするなどの対策についてお尋ねがありました。
議員御指摘のように、ナショナルアカデミーが特定の政治勢力や外国勢力から独立して活動することが大事であることは言うまでもありません。
政府全体としても、各大学、研究機関等において、採用や競争的研究費の申請に際して、研究者自身による適切な情報開示を所属機関に対し報告することなどを求めており、各大学、研究機関等において、こうした研究者からの報告も踏まえた上でマネジメントを行っているところです。
我が国の科学者を代表する機関である学術会議は、このような我が国の科学者コミュニティー全体としての取組も当然踏まえながら、不透明な資金提供を受けるなど公正性に問題があるような人物が会員とならないよう、適切に対応されるものと考えています。
会議全体の政治的中立性についてお尋ねがありました。
アカデミーが政治的、社会的勢力から独立して活動することは極めて重要なことだと考えます。諸外国においても、アカデミーは、政治的、社会的あるいは宗教的な諸勢力からの独立性を保ちながら、学術の発展のための活動や政府への提言などを行っているものと承知しています。
この法案でも、法律が定める目的と基本理念及びそれに基づいて作成した中期的な活動計画に沿って活動することとなっています。また、学術会議の活動、運営を国民に説明するための仕組みを法律により制度的に担保しています。
加えて、会員の選任について、法律の規定に従い、客観性、透明性の高い方法で行われることや、選任の過程を国民に明らかにすることなどが法定されています。これにより、特定の政治思想などを理由とした選考が行われることにはならないと考えています。
以上のことから、学術会議の運営が特定の政治思想に偏ることはないと考えています。
学術会議の民営化についてお尋ねがありました。
この法案は、学術会議が拡大、深化する役割に実効的に対応していくため、機能強化に向けて独立性、自律性を抜本的に高めることを目的としており、それにふさわしい組織形態として学術会議を法人化するものです。
その際、学術会議に期待される役割、機能を十分に発揮するために、特別な地位、権限及び国による必要な財政的支援をすることができる旨を法律に明記することから、公益法人といった民間が設立する法人ではなく、国が設立する特殊法人とするものです。
法人化後の会員選任に関する政府の責任並びに監事、評価委員及び選定助言委員会の役割についてお尋ねがありました。
会員の選任については、内閣総理大臣による任命は行わず、政府は関与しないこととなり、海外アカデミーと同じように、学術会議だけで自律的に会員を選任できるようになります。
監事は、法人の業務が適法に行われていることを監査することを職務とするものです。法案における監事の所掌事務に関する規定も、他の法人における監事と同じ一般的なものであり、人事も含め、法人の運営に職務として直接携わるものではありません。なお、学術会議の活動の学術的な内容、価値を判断するものではありません。
日本学術会議評価委員会は、中期的な活動計画に係る期間及び年度ごとに、学術会議の行う自己点検評価の方法及び結果について評価することとしており、学術会議は、その意見を自己点検評価の方法の改善に適切に反映させなければならないこととしています。
選定助言委員会は、会員選定に当たって作成される選定方針の案の作成に関し、会員候補者選定委員会に対し意見を述べることなどを職務としております。
総会の選任について及び会員選定の不公正を防ぐ方策についてお尋ねがありました。
設立当初の公選制は、一定の資格を有する科学者が、資格審査を経た会員候補者に対して投票を行うことにより会員を選定するものです。また、現行の推薦方式は、学術会議が優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員候補者を選考し、学術会議による推薦に基づいて内閣総理大臣が最終的に任命するものです。総会が選任するは、学術会議自身が最終的に会員の選任を決定できるという点で異なっています。
この法案では、会員選定の不公正を防ぐ方策として、会員の選定が客観性、透明性の高い方法で行われること、選定基準や選定手続等について外部の知見を幅広く聞くこと、選任の過程を国民に明らかにすることなどの枠組みを法律により制度的に担保しているところです。
コオプテーション方式の見直しについてお尋ねがありました。
コオプテーション方式は、海外アカデミーにおいても一般的に行われているものです。
ただし、日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会の最終報告書においては、コオプテーションが適切に機能する前提として、外部に説明できるような選考の仕組みを整えることなどの必要性が述べられています。
このため、法案においては、コオプテーション方式を前提としつつも、会員の選定が客観性、透明性の高い方法で行われること、選定基準や選定手続等について外部の意見を幅広く聞くこと、選任の過程を国民に明らかにすることなどの枠組みを法律により制度的に担保しているところです。
公費補助についてお尋ねがありました。
国が設立し国の財政的支援を受けて運営される組織として、活動、運営が国民に説明できるものであることの重要性は、有識者懇談会の最終報告書において強調されています。
この財政的支援については、学術会議の業務の財源に充てるため、必要と認める金額を補助することができることとしており、そのためには、予算要求の前提として、翌年度に予定する活動、運営についての考え方や概要が明確に示されていなければなりません。
法人化後は、実施しようとする主な活動は年度計画の中にしっかり位置づけられ、その意義やコンセプトが国民に説明できるものになっている必要があります。
予算の使途についてお尋ねがありました。
日本学術会議については、政府や社会に対する提言等を行う審議活動や、国際学術団体への代表派遣や共同主催国際会議など国際的な連携、交流を行うための活動に要する経費のほか、これらを支える事務局の人件費等運営経費として、令和六年度予算は約九億五千万円を計上していたところです。
令和七年度予算については、これらの活動を強化し社会課題の解決に寄与していただきつつ、組織の法人化に向けた準備を進めていただくための予算として約十二億円を計上しております。
自主財源や寄附についてお尋ねがありました。
財政基盤を多様化し、自律的な活動を拡大する可能性が広がることは、法人化によるメリットの一つです。
海外のアカデミーは、政府から独立した自律的な組織として主体的に国民や社会と向き合い、社会的な責務を積極的に引き受けながら活動し、財政面を含めて運営の自律性を高めてきたと承知しています。
懇談会の議論の中でも、各国のアカデミーと同じように、日本学術会議は政府以外からも資金を獲得する組織を目指すのが正しいと思うという意見が述べられていたと承知しています。私としても、そのような努力は、国民、社会や政府等の関心やニーズを正確に把握することにもつながると考えています。
政府としては、学術会議が財源の多様化に向けた取組ができるよう、必要な支援をしてまいりたいと考えています。
改革後の学術会議の展望についてお尋ねがありました。
有識者懇談会においては、現行の日本学術会議法の使命、目的として、国民や社会という視点が欠けているということや、学術会議の活動、運営に外部の知見を取り入れることの重要性などが指摘されていたところです。
このため、法案においては、法人の目的として社会の課題の解決に寄与することを明確にするとともに、活動、運営に外部の知見を取り入れる仕組みを入れ、評価結果や選定過程の公表などにより、国民に対する説明責任を果たしていただくこととしています。
今回の改革を通じて、学術会議が、サイエンス・フォー・サイエンスのみならず、サイエンス・フォー・ソサエティーやサイエンス・フォー・ポリシーなどの役割に主体的にチャレンジし、国民の期待に応えていくことを期待しています。
科学者による安全保障に係る研究についてお尋ねがありました。
御指摘の声明について、日本学術会議においては、いわゆるデュアルユースに係る研究のような、安全保障に資する研究を一律に禁止するという趣旨のものではないと説明しております。
また、令和四年七月、当時の梶田日本学術会議会長名で、今日の先端科学技術、新興科学技術は、従来のように、デュアルユースとそうでないものとに単純に二分することはもはや困難であり、研究対象となる科学技術を、その潜在的な軍事への転用可能性をもって峻別し、扱いを一律に判断することは現実的ではないといった考え方が示されたところです。
加えて、日本学術会議からは、令和五年九月に、用途の多様性、両義性、いわゆるデュアルユースを有する先端科学技術、新興科学技術に係る研究が大学等の研究機関で円滑に実施される方策について見解が取りまとめられたところと承知しています。
今後、この見解が大学等の研究機関の現場に浸透し、我が国の研究力の向上や国際競争力の強化などにつながることを期待をいたしております。(拍手)
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