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田中健 ·国民民主党・無所属クラブ

衆議院本会議(2025-05-13)での発言

第217回国会 ·第第25号号 ·1,905字
○田中健君 国民民主党の田中健です。  ただいま議題となりました日本学術会議法案につきまして、会派を代表して、反対の立場から討論を行います。(拍手)  まず、確認しておきたいことがあります。それは、日本学術会議の法人化そのものに反対しているわけではないということです。むしろ、時代の変化に応じて組織の在り方を見直し、自律性と柔軟性を高めていくこと自体は、前向きに検討されるべき課題であります。  参考人質疑の中でも、日本学術会議梶田元会長からは、日本の場合、立法府への科学的助言のチャネルがないことが課題であり、立法府への助言機能が明記されるなら、法人化のメリットになるとの言及がありました。現在のような厳しい財政状況の中で、効率的かつ機動的な運営を求める観点から、法人格の付与という制度設計に一定の合理性があることも理解をしております。  しかしながら、本法案が国会に提出されるまでの経緯、そしてその中身を慎重に検討するにつれ、やはり本法案を現段階で成立させることには大きな疑問が残ると言わざるを得ません。  最大の問題は、日本学術会議が国際的なアカデミーとしての信頼を維持し続けるために不可欠とされる五要件が、法案の設計において十分に尊重されていないという点です。これらは、いずれも、ユネスコや国際学術会議など国際的な学術機関が共有する基準であり、日本が学術国家として国際的な信頼を維持するためには不可欠な価値であります。  ところが、本法案では、監事の任命権が内閣総理大臣にあること、さらには、学術会議の運営状況を評価する第三者委員会の評価委員会委員についても総理が任命する仕組みになっています。これは、名目上の法人化を通じて形式的には独立性を高めたように見せかけつつも、実質的には政府の関与を強化する構造になりはしないかという懸念を生むことになりました。また、法人化の際とその三年後の二回にわたって採用される会員選考方式が、現会員が次期会員を選考するコオプテーションという世界標準の会員選考方式からほど遠いものであるという点にも懸念が表明されています。しかし、現場から上がっているこれらの声に納得し得る回答は示されず、最後まで懸念が解消されることはありませんでした。  こうした懸念は、学術会議の現職の会員のみならず、広く学術界からも強く表明がなされています。日本学術会議を構成する会員は、あらゆる学問分野の中から厳正な手続に基づいて選ばれ、国家としての知の基盤を担う存在です。その構成員から独立性が脅かされるという声が上がっていること自体が、既にこの法案の問題性を如実に物語っているのではないでしょうか。  また、全国の学会、学協会からも次々と懸念や反対の声明が発表されています。日本物理学会、日本心理学会、日本社会学会、日本法社会学会など主要な学会が名を連ねており、その数は百を超える規模にまで及んでいます。これらの学会は、それぞれの専門性の高い分野を担いながらも、共通して、学術の独立性は守らなければならないという立場から、本法案の問題点を指摘しています。  これほどまでに学術界が分断された状況の中で、政府が一方的に法案を成立させることは、我が国の学術に対する信頼を大きく損なう結果となりかねません。  とりわけ、二〇二〇年に発生した、日本学術会議の会員候補六名が任命拒否をされた問題は、いまだに十分な説明がなされておらず、学術界の不信を払拭するに至っていません。そのような中で、学術会議の構造そのものを大きく変える法案を性急に成立させることは、国民の理解を得る上でも極めて困難であると考えます。  更に申し上げれば、今回の法案では、法人化後の財源や運営体制についての具体像が曖昧なままであり、会議の運営に必要な人的、財政的支援が将来的にどのように確保されるのか依然として不透明です。この点についても、現場から不安の声は絶えません。  私たちは、学術会議が、政府からの独立性を保ちながら、国民のために自由で公正な知を提供し続ける存在でなければならないと考えます。だからこそ、今私たちがすべきことは、拙速な法整備、法改正ではなく、政府と学術界が対話を重ね、信頼を再構築することにあります。そして、学術の独立性を真に保障する制度設計を丁寧につくり上げていくことが、学術会議の未来にとっても、知と自由が尊重される社会の未来にとっても必要不可欠であるとの結論に至りました。  以上の理由から、会派を代表して、反対の討論といたします。  御清聴ありがとうございました。(拍手)

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