○山崎参考人 皆さん、おはようございます。
本日は、参考人招致にお招きいただき、ありがとうございます。このような場におきまして発言のきっかけをつくってくださいましたことにつきまして、心より感謝申し上げる次第でございます。
私は、阪神・淡路大震災以降、被災者支援の法制度の在り方について調査研究をしてまいりました。今回、私に与えられた十五分間でお話ししたい項目といたしましては、一つは災害救助の実施に関する課題、二つ目は被災者総合支援法案の提案の二点でございます。
まず、災害救助の実施に関する課題ということで、能登半島地震の現地調査を踏まえながら言及をしておきたいと思います。
第一に、災害救助を実施するに当たって、柔軟な運用ができるように、特別基準という仕組みが設けられております。ただし、実際に災害救助に当たっている市町村なんかは、どういうふうに特別基準を設定していったらいいのかなというノウハウがありません。
そうすると、都道府県が寄り添うような形で市町村にアドバイスをするとか、国としては、特別基準ができるかできないかについて迅速に回答するといった形で、市町村に対して支援をしていくことが求められるわけです。そういった支援を今後はしていただきたいと思います。
これから更にできることといたしましては、過去に採用された特別基準の詳細な公表を積極的に行うなどの措置が求められるところでございます。具体的には、特別基準のデータベース化とその公開といった施策が求められます。
第二に、災害救助の運用に当たりましては、実務マニュアルとして災害救助事務取扱要領というものがあるのですが、そこの一番最初に書かれてある法による救助の原則というところに必要即応の原則というのがあるのですが、そこには、必要なものについては必要な程度行わなければならないが、それを超えて救助を行う必要はないと書かれております。
確かにそうかもしれませんが、表現として、これは私、上から目線の感じをせざるを得ないんですよね。ほかの記述においてもそういった上から目線的な表現が見受けられます。実務マニュアルなので、国民の皆さんが見ることを前提とはしていないかもしれませんが、もうちょっと被災者に寄り添うような形の原則といいますか表現に直していただきたいわけです。
このような中で、現在行われている災害救助法の改正案におきましては、福祉サービスの提供が支援メニューに盛り込まれているわけなんですが、必要という言葉の解釈について幅があるんですけれども、余りにも必要性の有無について過小評価してしまうことによって、不十分で中途半端な福祉サービスの提供に終わってしまわないかと危惧いたしております。
第三に、能登半島地震におきましては、ホテル、旅館等への二次避難が積極的に展開されてきました。その中で、被災地外での生活ということなので、現金支給による避難生活支援が妥当ではないかと考えているのですが、そこには、救助の原則の一つとして、現物給付の原則というのが立ちはだかっているわけです。そこでは、金銭を給付した場合には、その金銭が救助と異なる使途で用いられる可能性も生じてしまう、だから現物給付が原則だと書いているんですね。これなんか、言ってみたら、被災者をそういう目で見ているのかと思ってしまうわけでして、こういう見方の下で、被災者に寄り添うような救助なんか考えられないわけです。
この辺り、そろそろこの事務取扱要領も更新される時期に差しかかっております。これらの救助の原則は、災害救助の運用においてはDNA的な存在と言っても過言ではありません。国民の皆さんには、このような考え方の下で災害救助が行われていることを知ってもらいたいわけです。こんな考え方の下で果たしていいのかというのをみんなで議論してもらいたい。そうしないと、いつまでたっても避難所は阪神・淡路のときの風景と変わっていないというような状況が続いてしまいかねません。私といたしましては、そのほかの原則も含めまして、被災者に寄り添うような原則あるいは表現への見直しを図っていただきたいとお願いする次第でございます。
続きまして、二番目の項目は、被災者支援法制の一本化を目指した被災者総合支援法の提案でございます。
私は、関西学院大学の災害復興制度研究所の研究員も兼務しておりまして、そこの研究所に設置する法制度研究会に属しておりまして、以下に紹介する被災者総合支援法の作成を手がけてまいりました。
被災者総合支援法は、既存の被災者支援法である災害対策基本法、災害救助法、災害弔慰金支給等法、被災者生活再建支援法を棚卸しして、包括的で体系性のある全く新しい法制度として被災者支援法制を再構成するものであります。
被災者総合支援法は、総則編、応急救助編、生活保障・生活再建編、情報提供・相談業務・個人情報編、権利保障編、その他項目、附則から構成されており、災害直後の応急救助から本格的な生活再建のフェーズに至るまでの被災者支援をカバーしつつ、被災者支援にとって重要な基本理念、基本方針や被災者支援の担い手、各種情報の活用、相談業務、権利保障に関する規定を設けております。
以下におきまして、時間の制限もございますので、それぞれの編についての特徴を述べさせていただくことにいたします。
まず、総則編におきましては、総合支援法を被災者支援の基本法として機能させるために、被災者支援の在り方を示すべく、基本理念並びに基本方針に関する規定を設けております。
また、総合支援法における被災者支援の実施主体として被災者支援運営協議会を設け、公助と共助組織が協働して被災者支援に取り組むようにしております。
応急救助編の部分は、従来は災害救助法がカバーしていた部分でありますが、総合支援法におきましては、大幅な見直しを図っております。応急救助編が担当する被災者支援のメニューをまさに災害直後の応急救助に限定をし、長期的な避難生活に係る支援や瓦れき撤去など応急救助を超える支援メニューを第三編の生活保障・生活再建編に移行させております。
他方、避難行動、予防医療、福祉サービスなどを新しい支援メニューにつけ加えるとともに、一般基準、特別基準をより柔軟に運用できるようにしております。
生活保障・生活再建編におきましては、まず、支給要件・基準といたしまして、全壊、半壊、一部半壊に基準を単純化するとともに、災害救助法の支援メニューの一部に存在していた資力要件を撤廃することで支援対象の拡大を図りました。
以下におきまして、具体的な支援メニューの特徴を紹介することにいたします。
被災者の死亡、障害につきましては、一時金にとどまらず、定期給付金を支給することとし、障害につきましては、障害等級の七級までは支給措置を行うこととしております。
生活財の保障につきましては、家屋の損壊度を基準に、生活財の購入に対する支給を行うこととしております。ここでは、世帯人数を反映する形で支給額を決定することにしております。
住宅の修理につきましては、在宅避難を可能にする程度の居住応急修理、安定した居住空間の確保を目指した居住安定修理の二種類に分けて支援することにしております。
仮の住居の保障措置として、家賃補助、仮設住宅の提供をすることにしております。仮設住宅は買取りを可能とし、恒久住宅として提供しても構わないこととしております。
住宅の再建、購入に対しては、最大六百万円を支給することにしております。六百万円の根拠ですが、再建に要する費用を一千八百万円と想定して、支援金六百万円、強制加入の保険六百万、自己調達による六百万、これは民間保険による補填を想定しております、そういうスキームに基づいております。
世帯における収入の減少により、収入が政令で定める基準を下回った場合、生活支援金を支給することにしております。
そのほかの支援メニューとして、土砂、瓦れきの撤去、就業支援プログラム、生業支援プログラム、コミュニティー再建支援プログラム、教育サービスの保障、債務整理、融資、ローンなどを掲げております。
情報提供・相談業務・個人情報編は、災害対策基本法の条文を踏まえつつ、被災者支援を適切に実施するための条項を追加したものであります。
情報提供や相談業務につきましては、情報提供や相談業務が被災者支援の一手法であることを確認するとともに、災害ケースマネジメントを念頭に置いた避難支援、生活再建支援が実施されるようにしております。
個人情報の積極的活用に向けて、避難行動要支援者名簿や被災者台帳がより整備しやすく、かつ情報共有がしやすいようにしました。安否情報の提供についても規定を設けております。
これまでにない新たな追加項目としましては、災害前における事前アセスメントと災害後における被災者ニーズアセスメントがございます。これは、被災者支援が被災者の実態や意見を取り入れないままに実施されがちであることを踏まえ、被災者一人一人に配慮や支援が確実に届くような仕組みを探求した結果、設けられた規定です。
また、広域避難者対策につきましても、広域避難者の把握と相談支援が重要となりますので、この第四編で規定することにいたしました。
権利保障編は、これまでの被災者支援法制にはなかった項目であり、総合支援法案の重点項目の一つであります。
被災者支援の権利利益を擁護し、被災者支援を監視し、被災者支援の改善を図るために、オンブズマンを設けることといたしました。オンブズマンは都道府県の議会を事務局として、議員、専門家から構成されるものといたします。
被災者支援として行われる業務について、実質的に申請に基づいて行われてきた業務は全て不服申立ての対象とするとともに、被災者支援をめぐる訴訟への道を開くことといたしました。また、建物被害認定調査の結果も不服申立ての対象としております。長期的な避難生活に伴うトラブルも不服申立ての対象とし、訴訟の道を開くことができるようにしました。
この辺り、救助の原則の一つとして掲げられている職権救助の原則の見直しを迫る提言でもあります。言い換えますと、被災者支援は、恩恵的な措置ではなくて、権利として受けるものとして、再構成を図るべきであるという提言となっております。
これにより、行政、議会、司法が、被災者支援の実施、オンブズマン組織による監視、被災者の権利保障といった形で、それぞれ被災者支援の運営に関わることになります。
その他項目、附則といたしましては、罰則や経過措置について規定をしております。
それ以外にも、法制度研究会におきましては、大規模災害における対応、財源、負担割合の詳細などについても議論をいたしましたが、コンセンサスが得られなかったり、議論が未成熟であったため、支援法案に記載するには至っておりません。
以上が、被災者総合支援法の概要となります。
実際のところ、この法案は二〇一九年八月に完成したもので、既に六年の年月が経過しておりますので、その一部が実現されていたり、まさに現在進行形の災対法や災害救助法の改正案として盛り込まれているものもございましたが、法制度研究会で議論された様々なアイデアが、いまだにもって現在においても通用し得る内容になっておりますので、皆様に御披露させていただきました。今後の法制度設計の参考にしていただければ幸いでございます。
以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手)
山崎栄一 の他の発言
2025-05-22 · 衆議院東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会
○山崎参考人 現在、石川県には、そういう特例給付金という形で、被災者生活再建支援法があって、その上にそういう給付金というのが今出されているところなんですけれども、一応、障害者とか高…
2025-05-22 · 衆議院東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会
○山崎参考人 公助と共助と自助の関係なんですが、憲法とかを見てみると、憲法では自立した個人というのを前提に考えているんですね。災害が起こると、そういう自立というのがなかなか難しくな…
2025-05-22 · 衆議院東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会
○山崎参考人 地震保険への加入率が低いということなんですけれども、そういった場合、一つは、金銭的なインセンティブとか、そういうインセンティブでもって加入率を高めるというのがあるんで…
2025-05-22 · 衆議院東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会
○山崎参考人 被災者というのは、被災した直後から、自立的に考えて生活して、自分なりの生活再建ストーリーというのをつくって、ちょっとずつ再建を果たしていくわけです。そういった中で、ど…
2025-05-22 · 衆議院東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会
○山崎参考人 四人もとなると話がかぶってしまうのでちょっと恐縮なんですけれども、防災庁がつくられて、じゃ、何が大事かというと、やはり人が大事でして、専門的知識を持ったエキスパートに…
2025-05-22 · 衆議院東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会
○山崎参考人 特に避難所生活の在り方ということでちょっと言わせていただきたいんですけれども、なかなか、先ほども申し上げましたように、いつまでたっても阪神・淡路大震災のときと風景が変…
2025-05-22 · 衆議院東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会
○山崎参考人 修正案の方を拝見いたしましたけれども、確かに、半壊とか中規模半壊とかでも、実際支給される額以上にはるかに高額の費用がかかったりする、そういう案件というのはよく見られま…
2025-05-22 · 衆議院東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会
○山崎参考人 やはり支援する人に対しての支援というのも大事なので、そういうものも救助法から拠出できるような制度設計が望ましいかと思います。
以上です。…
API / MCP 利用
国立国会図書館 国会会議録 API を構造化
REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=山崎栄一
MCP: search_diet_speeches(speaker="山崎栄一")