○福和参考人 言いにくいんですけれども、私は高層ビルは余り好きじゃありません、私は建築屋ですから。なぜかというと、あくまでも最低基準だからです。建築基準法第一条に明確に、構造に関して最低の基準しか定めないと書いているわけです。
これはなぜかというと、我が国は、最低限の生存権は保障しつつ、一方で財産権は侵してはならない国ですから、民間の人たちが造る建物に関しては、行政が造るインフラとは違って、最低のことしか記述できていないんです。
ゆえに、まずは絶対に安全ということはなくて、元々、一般の建物も超高層の建物も、震度七という揺れに対して安全性を確認しているわけではありません。あくまでも過去の震災の経験の中で現状があるというふうに思ってください。
戸建て住宅の場合は、一般に、きちんと構造計算をしません。それをやってしまうと、大変な設計費がかかります。一方で、膨大な震害経験があります。ですから、たくさんの経験をする中で、どのぐらい壁を入れておけば家が壊れないかということを基準として定めています。ですから、計算はしないけれども、それなりにたくさんの壁を入れていて、その壁を入れている二〇〇〇年以降の建物については、能登でも熊本でもほとんど壊れていないんです。これは災害被害に基づいてちゃんと検証された設計になります。
一方で、ビルに関しては、残念ながら、そんなに震害経験が多くありません。一方で、ビルというのはちゃんと構造計算しています。ちゃんと構造計算するときに、どういう建物を造るかは、それは発注者の意向に沿います。発注者がどういう意識を持っているかです。発注者が何としても安全な建物という価値観を持っている場合には、設計者は本気になって安全な建物を造りますが、発注者が、やはり安い方がいいな、便利な場所がいいな、それから見栄えがいい方がいいぞ、広い建物がいいぞ、設備が整っていた方がいいぞとやると、場合によっては、いわゆるバリューエンジニアリングになります。バリューエンジニアリングの中にバリューが入っていないとすると、安全性は法基準をぎりぎりで満足するというふうに造っている建物も、当然ですがあるわけです。
これは、ある種経済行為として行われているのが民間の建物でありますから、その延長線上で、今の質問に関しては、それぞれの人たちが想像するということが大事であります。これは、安全、危険ということは相対的な問題である。
基本的に、今のほとんどの建物の耐震設計は、建物の揺れがおおむね同じだと思って設計しています。建物の揺れが同じであるということは、揺れやすい建物は小さな揺れで壊れるんです。揺れやすい地盤は強く揺れますから、やはりよく壊れるんです。ですから、被害想定というのは建築設計とは違って、被害想定はそれを忠実にやりますから、残念ながら、軟弱地盤のところのそれなりの高さの建物は、よく壊れるような被害想定になっています。
ですが、一方で、建築設計というのはそういう考え方では行われていないので、ここは国として、我々の国の安全性のレベルはどのぐらいにするべきだろう、特に、軟弱地盤に高い建物がたくさんある東京のようなところの安全性というのはどういうふうに構築していくべきだろうということを考えるべきだと思います。
最後に、超高層ビルだけは、一般の建物と違って、特別な設計方法を使っています。揺れをある程度評価しながら、その揺れに対して応答計算をして計算をしていますから、最も科学技術を入れています。科学技術を入れるときは、科学技術を使う人の価値観によって、コストカット側に持っていくか、安全性向上の側に持っていくか、これは当然ですが左右されますから、そのことも含めて、国民の皆さん、産業界の皆さん全体の防災の意識を高めることが極めて重要で、意識が高くなってくると、まずは安全が大事だよというような建物を増やす方向に行きます。
最後に、建物の基準というのは時々変わりますから、残念ながら、今の基準を満足していない、少し安全性が気になる問題の建物はたくさん残っています。超高層ビルに関してはその問題は長周期地震動であって、昔の超高層ビルは、長周期地震動に関して十分に検討をせずに造られています。
ですから、望ましいのは、過去の長周期地震動を余り考慮せずに造った超高層ビルについて、できれば国で支援をする形で、それの評価を今の技術で行い、それを直すことに対してちゃんと一般の建物と同様に支援をするというような仕組みをつくることで、特に、重要なものがたくさん入っている超高層ビルについては、確実に安全である町をつくる方がいいと思います。
もしも日本の国で一本でも超高層ビルに変なことがあったとしたら、日本の科学技術に対する信頼は失墜いたしますから、ここは是非、高層ビルとか、もう一つは大型の石油タンクですけれども、長周期の揺れによって問題となるのは極めて重要なものばかりですから、ここは何かちゃんと考えてもいいのかもしれません。これは是非国会の方で主導していただければありがたいと思っております。
以上です。
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API / MCP 利用
国立国会図書館 国会会議録 API を構造化
REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=福和伸夫
MCP: search_diet_speeches(speaker="福和伸夫")