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川合孝典 ·国民民主党・新緑風会

参議院本会議(2025-01-29)での発言

第217回国会 ·第第3号号 ·6,940字
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。  会派を代表して、政府四演説に対して質問します。  まず、年収の壁への石破総理の今後の対応方針について質問します。  既に、昨年十二月十一日の自公国三党幹事長会談において、三十年間据え置かれてきた百三万円の壁は百七十八万円を目指して来年から引き上げること、そして、いわゆるガソリン税の暫定税率はこれを廃止することが合意をされました。国民民主党がこの合意を前向きに受け止めて昨年の補正予算案に賛成票を投じたことは周知のとおりであります。  この後、三党合意を受けて、翌日には政府・与党において、十九歳から二十三歳未満までの子を扶養する親等の税負担を軽減する特定扶養控除について、適用条件となる子の年収をそれまでの百三万円以下から百五十万円以下へと引き上げる方針を発表していただきました。働きながら学ぶ学生が手取りを増やすとともに、親の税負担の軽減につながる今回の方針決定については、率直に評価し、感謝いたします。  しかしながら、三党幹事長合意の本丸である百三万円の壁の百七十八万円への引上げについては、補正予算案成立後の政調、税調の三党実務者協議では財源不足を主な理由に与党は消極的な姿勢に転じました。そして、成案を提示しないまま、百七十八万円には遠く及ばない百二十三万円への小幅な引上げを目指した税制改正の大綱が閣議決定されております。  幹事長合意を無視するかのごとき与党の対応に強い不信感を抱くとともに、この引上げ規模では手取りを増やすことにつながらないことから、国民民主党として到底受け入れることができないということを明確に申し上げて、質問に入ります。  まず、年収の壁の引上げに向けた石破総理の基本姿勢について御質問します。  百三万円の壁を百七十八万円目指して引き上げることで三党合意文書を交わした以上、政府・与党には、百七十八万円への引上げに向けたスケジュールを説明していただく必要があります。今後、いつまで、どのように百七十八万円を目指して引上げを行うのか、石破総理の説明を求めます。  次に、百七十八万円への引上げの財源について総理に質問します。  与党税調及び財務省は、百七十八万円への引上げを行うことで七兆円から八兆円の税収減が生じるとこれまで説明してきました。しかし、令和七年度租税及び印紙収入の当初見通しでは、令和六年度との比較で実に八兆八千三百二十億円税収増となっており、これに加えて地方税収も大幅に増えることが見通されております。  既にここに百七十八万円への引上げの財源があるものと考えられますが、石破総理の認識をお伺いいたします。  税収が大幅に上振れしている背景には、三十数年ぶりの高水準の賃上げに伴う名目賃金の上昇によって、多くの国民が気付かないうちに所得税増税が進んでいることがあります。  これまで与党、財務省は百三万円の壁の引上げによる税収減という負の側面だけを主張してきていますが、実際には、恒久減税による消費拡大効果や年収の壁を理由とした働き控えの解消による労働力供給増など、様々な政策効果が見込まれております。  石破総理は、百三万円の壁の引上げが経済、雇用に及ぼすプラスの政策効果についてどのように認識しておられるのか、御説明を願います。  次に、百三万円という課税最低限度額が生活保護費を下回っている現状について、石破総理の課題認識を伺います。  百三万円の壁の引上げ額をめぐってはこれまでも様々な意見が出ていますが、課税最低限度額が生活する上で必要最低限の収入には課税しないという考え方に基づいて設定されている以上、憲法二十五条に定める生存権保障の観点から、生活保護費の水準との整合性を取ることが必要と考えます。  言うまでもなく最低生計費として設定されている生活保護費ですが、その現在の支給金額は、例えば昨年度の一級地の一における単身世帯、四十一歳から五十九歳の平均的な生活保護費は、月額約十三万円を超え、年額で百五十六万円を上回っております。  現下の物価上昇局面ではこれでも厳しい金額ではありますが、生活保護基準は文化的最低限の生活を営む上での最低水準として国が規定しているものであり、それ以下となる百二十三万円を課税最低限度額として政府が設定することは、生存権保障の観点から問題があるものと考えます。また、生活保護費以下で課税されることによって、働くことに対するディスインセンティブが働くことも懸念されます。  課税最低限度額が生活保護費と逆転している現状について、石破総理の課題認識をお伺いします。  次に、ガソリンの暫定税率の廃止時期について総理に質問します。  昨年の自公国幹事長合意を受けて、令和七年度税制与党改正大綱に、いわゆるガソリン税の暫定税率は廃止することが明記されました。国民は早期の暫定税率廃止に大きな期待を寄せていますが、具体的な実施方法については引き続き関係者間で協議をするとして、結論が先延ばしにされています。既に燃料油価格激変緩和補助金の段階的縮小によってガソリンの店頭価格は急激に上昇し、企業や自動車ユーザーからは悲鳴が上がっています。しかし、石破総理は、今回の施政方針演説において暫定税率の廃止については一言もお触れになっていません。  石破総理に質問しますが、ガソリンの暫定税率は廃止するということでよろしいですね。総理に確認します。  また、ガソリンの暫定税率をいつ廃止するのか、その時期も不明確です。国民は一刻も早い廃止を望んでいますが、その実現には総理の決断が必要です。いつガソリンの暫定税率を廃止するのか、石破総理にお伺いします。  次に、就職氷河期世代を中心とした中高年世代の年金対策について総理の認識を伺います。  就職氷河期と呼ばれる一九九三年から二〇〇四年の大卒の平均就職率は六九・七%と、想像を絶する就職難の時代でした。その結果、やむを得ず非正規労働に従事することとなった新卒者がこの世代には大勢おられます。  こうした実態を踏まえて、これまで安倍政権下では特に就職氷河期世代対策に注力してこられましたが、昨年六月の閣議決定で、就職氷河期世代対策は一定の成果を上げたとして、中高年層政策にまとめる方針となっています。  しかし、昨年、国民民主党が就職氷河期世代を対象にオンラインアンケート調査を行ったところ、そもそも政府が実施してきた就職氷河期世代支援プログラムを八七・八%の方が利用していない、聞いたこともないとの回答結果となっております。  石破総理に質問します。これまで安倍内閣が重点政策として取り組んできた就職氷河期対策を手じまいする判断に至った一定の成果を上げた内容とは一体何だったのか、具体的な就職氷河期世代対策の成果を御説明ください。  就職氷河期世代とその前後の世代との違いには、大きく分けて三点の違いが指摘されております。  一つ、非正規雇用比率が高いこと、二つ、平均年収が低いこと、そして三つ目が貯蓄が少ないことであります。そして、就職氷河期世代が今一番心配しているのは老後の生活であります。  こうした就職氷河期世代の実情を踏まえて、与野党共にリカレント、リスキリングといったいわゆる学び直しによる正社員化や安定雇用の推進を求めていますが、それだけでは対策として不十分だと考えております。  就職氷河期世代は既に五十歳を超え始めています。定年年齢までの期間が限られる中、正社員化の取組だけでは十分な額の年金保険料を積み立てることができないままリタイアすることとなります。  また、女性の年金受給額は、二〇一六年以前は一部を除いてパートタイム労働者が社会保険の加入対象でなかったことや、出産や育児、介護によってキャリア中断といった理由により、男性の約五五%、月額にして約十一万円という低水準にとどまっており、特に単身高齢女性の貧困率は四七%に達しています。さらに、短時間労働者やフリーランスなど約五百万人がいまだ厚生年金の適用外で、十分な年金受給資格を得られておりません。  こうした低年金対策として、出産、育児期間をみなし加入とする制度の拡充や、短時間労働者の加入要件の緩和、短時間労働者やフリーランスを含む約五百万人を対象とした厚生年金の適用拡大を行うことなどが喫緊の課題だと私たちは考えております。  石破総理は、就職氷河期世代や女性の低年金問題についてどのように認識しておられるのか、そして、年金制度のセーフティーネット機能を高める必要性についてどのように認識しておられるのか、お伺いをしたいと思います。  次に、労務費の価格転嫁が遅れている現状について御質問します。  これまでの価格転嫁の取組によって原材料費や燃料費の価格転嫁が一定程度進展している一方で、労務費の価格転嫁は依然として低い水準にあります。  昨年の民間調査によりますと、労務費転嫁率の中央値は約三〇%にとどまり、転嫁率が五〇%未満の企業が半数以上を占めております。特に中小企業では労務費は企業努力で吸収すべきという取引慣行が強く、価格交渉で不利な立場に立たされています。  これまで政府は、労務費の適切な価格転嫁のための価格交渉指針を策定するとともに、価格交渉促進月間を設定するなどしていますが、認知度の低さや実効性不足が指摘されております。  遅れが目立つ労務費の価格転嫁を推進するための取組を強化する必要があるものと考えますが、今後の政府の取組方針を新しい資本主義担当大臣にお伺いします。  また、中小企業が価格交渉を公正に行えるよう、取引条件の公開制度や優越的地位の濫用のモニタリング体制を強化するなど、法整備も視野に入れて検討すべきと考えますが、こちらも新しい資本主義担当大臣の見解を求めます。  次に、ハラスメント防止に向けた政府の取組姿勢について質問します。  二〇二三年度に労働局に寄せられたハラスメント相談は約十三万四千件に上り、特にカスタマーハラスメントに関する相談は急増しております。  顧客から過剰な要求や暴言を受け、精神疾患を発症したケースも数多く報告されており、現場の危機は見過ごせない状況です。しかし、日本ではハラスメント全体を包括的に規制する法律が整備されておらず、現行の厚生労働省指針はいまだ実効性を欠いております。  国際社会に目を向けると、ILOが二〇一九年に、仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約第百九十号を採択し、二〇二一年に発効しました。既に四十七か国がこれを批准し、取組を進めています。しかし、日本はいまだにこの条約を批准しておらず、既に国際基準から後れを取っております。  今後、外国人労働者の受入れ拡大が見通される中、日本でもハラスメント防止のための基本法を策定し、ILO第百九十号条約の理念を国内に取り入れるべきと考えますが、厚生労働大臣には、日本がILO第百九十号条約を批准しない理由を御説明ください。  あわせて、被害者保護とハラスメント防止を包括的に進める基本法制定の必要性について見解を伺います。  介護事業を取り巻く現状と課題について質問します。  今、日本の介護業界は深刻な人手不足に陥っております。訪問介護分野の有効求人倍率は何と十四・一四倍と突出して高く、深刻な人手不足が続く中、一人当たりの業務負担が増大し、現職者の離職を招くという悪循環が発生しております。  二〇二四年の介護事業者の倒産件数は過去最多の六百十二件、そのうち訪問介護事業者の倒産は四百四十八件、実に全体の七割を超えております。物価上昇局面での介護報酬の引下げが介護事業の収益性を低下させ、資金繰りの悪化による倒産や給与の未払が発生しています。このままでは利用者にも深刻な悪影響を及ぼすことは明らかであります。  二〇四〇年までに約五十七万人の介護職員が不足すると推計されている中、介護人材を確保するため政府はどのような取組を行うのか、厚生労働大臣は対応方針を御説明ください。また、倒産が増加している介護事業者を支援し、事業継続を可能にするため、低利融資制度や税制優遇措置を講じるべきと考えますが、併せて厚生労働大臣の見解を求めます。  次に、医薬品産業を取り巻く現状と課題について質問します。  日本の医薬品産業は、現在、供給不安、ドラッグロス、ドラッグラグといった複合的な課題に直面しております。後発医薬品のデータ不正に端を発した医薬品の供給不安は問題発覚から四年を経た今でも解消されておらず、二〇二四年十二月時点で全医療用医薬品の一九・五%に当たる三千二百四十四品目が供給不足状態にあります。  この問題の背景には、インフレ下で高騰する研究・生産コストに逆行する形で近年始まった中間年薬価改定による急激な企業収益の悪化があることは明らかであります。中間年薬価改定は、企業収益を圧迫するとともに、製薬企業の予見性を著しく損ない、医薬品の安定供給や新薬開発への投資を妨げる最大の要因となっております。  近年、製薬企業は研究拠点や投資先を海外に移しつつあり、このままでは日本の医薬品産業は国際競争力を失うだけでなく、国民の健康を守る観点からも深刻なリスクを抱えることとなります。  我が国の新薬開発基盤と医薬品の安定供給基盤を速やかに立て直すため、一旦、中間年薬価改定は停止する必要があると考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。  また、日本から革新的医薬品が失われつつある現状を打開するためには、欧米と比較して低く抑えられている薬価水準の抜本的な見直しを行うことで新薬の上市を促し、患者が必要な治療を受けられる環境を整えるべきと考えます。この問題について厚生労働大臣の認識を問います。  次に、ライドシェアをめぐる課題について質問します。  国土交通省の調査によると、全国約六百の自治体が交通空白地を抱えており、高齢者や地域住民が日常的な移動手段を確保できない状況が続いてまいりました。こうした移動困難者対策の一環として現在一部地域で試験運用されているライドシェアですが、その普及に当たって多くの課題が指摘されております。  例えば、ドライバーの労働環境保護や安全性確保の仕組みが十分に整備されておらず、二種免許制度の見直しも慎重な議論が求められております。二種免許制度は公共交通のドライバーに必要な専門性や責任を保証する重要な基盤であり、この要件を緩和することは事故リスクの増加や利用者の安全性低下につながる懸念があります。  旅客運送の安全確保の観点から二種免許保持者とライドシェアドライバーとの関係をどのように整理するのか、国土交通大臣の説明を求めます。  タクシー事業者や既存の公共交通機関との競争激化による地域交通網の崩壊を懸念する声も出ておりますが、公平な競争環境を確保するためどのような措置を講じるのか、国土交通大臣の見解を求めます。  最後に、政治DXについて総理に質問します。  台湾には、政府が運営し、市民権、永住権があれば誰でも政策提案ができるJoinという政策提言プラットフォームがあり、AIやSNSなどデジタル技術を駆使して声を集めることで、多くの市民の政治参加を実現しております。  このプラットフォームで六十日間に五千人以上の賛同が得られた場合、政府は二か月以内に書面で回答することが法律で義務付けられていますが、これで実際に女子高校生の書き込みをきっかけとして、プラスチックストロー禁止法が制定されております。  国民民主党は、これら台湾の仕組みを参考に、AI等デジタル技術を日本の政治に活用する実験プロジェクトを提唱しているAIエンジニア、安野貴博氏に賛同し、去る一月十六日、早速、オープンソースソフトウェア、Talk to the Cityによるブロードリスニングによって党に寄せられた意見の可視化とマッピングを実施し、八日後の二十四日には結果を公表しております。  八日間の試行錯誤の中で、多くの解決すべき課題を把握するとともに、SNS情報のみならず、電話音声をテキスト化したものやライブチャットコメントに至るまでAIが瞬時に膨大な情報を可視化してくれることに、国民の政治参加の新たな可能性を感じました。  国民の声を迅速かつ正確に集約することで、政策に生かすための政治DXの必要性について、総理の見解を伺います。  結びに、国民民主党は、今国会も対決より解決の姿勢を堅持しつつ、納税者、生活者の立場から建設的な対案を提示し続けることを国民の皆様にお約束し、質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕

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