○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。
会派を代表して、ただいま議題となりました本法律案に対し、反対の立場から討論を行います。
まず、本案原案は、与党審査において改正内容を後退させた上に、提出を二か月も遅らせたことについて、政府・与党は猛省いただきたいという思いです。
昨年の財政検証では、経済が順調に推移しない限り、基礎年金の給付水準が三割減少するという結果が既に出ています。就職氷河期世代を始め、厚生年金に比べ基礎年金の割合が大きい人たちほど、適用拡大の先送りや限定的な対策では将来の年金給付に大きな影響を与えます。
政府は、まずは経済成長を目指すや、経済動向を見て検討するなどと楽観的な見通しで悠長に構えるのではなく、経済状況が厳しい場合でもセーフティーネットが機能する備えを講じるべきです。
国民民主党は、厚生年金に加入できなかった就職氷河期世代への給付の拡充、第三号被保険者制度の廃止の検討、中低所得者のiDeCoへの拠出支援、また財源適正化へのクローバックの導入など、雇用・労働政策も含めた議論を、議論などを含めた様々な提案を盛り込んだ修正案を衆議院に提出しましたが、残念ながら十分議論がされませんでした。
また、与党と野党第一党が合意したからといって、国民の十分な理解と納得が得られていない状態で、重要広範議案としては異例の短期間、短時間で審議を終わらせることに強く抗議します。
以下、マクロ経済スライド調整の一本足打法で、働き方に中立な年金制度の構築に向け踏み込み不足の政策について指摘し、反対の理由を述べます。
まず、政府原案唯一の年金受給額底上げ施策であった被用者保険の適用拡大への踏み込み不足について指摘をします。
一つ目は、企業規模要件の撤廃を十年後に先送りしたことです。
本法案は、短時間労働者への被用者保険の適用拡大における企業規模要件について十年間掛けて段階的に撤廃するとしていますが、そんなに時間を掛けるのは一体誰のためでしょうか。
政府は、今まで以上に小規模の企業や個人事業所を適用拡大の対象とするため、事業主負担への配慮として準備期間を設けると、事業主のための答弁をしましたが、最長十年の準備期間を設けると事業主負担の工面ができるという見通しが立つのでしょうか。また、任意適用を進めるとも答弁していますが、十年もの準備期間を必要とするような企業や個人事業所において任意適用が大幅に進むとは到底考えられません。
二つ目は、労働時間要件の見直しが全く盛り込まれていないことです。
短時間労働者への被用者保険の適用拡大における労働時間要件は現在週二十時間以上とされていますが、同じく週二十時間以上を要件としている雇用保険では、令和十年十月に要件を週十時間以上に変更することが既に決まっています。政府の審議会でも、被用者保険の労働時間要件を週十時間以上にすべきとの意見が多数で、慎重意見はごく少数でした。それにもかかわらず、本法案には労働時間要件の見直しが盛り込まれなかったことに疑問を呈さざるを得ません。
この点、政府は、対象企業への影響が大きいことから今回の法律案に含めていないと答弁していますが、見直しが行われないことは、加入ができない労働者への影響が多いということを理解しているのでしょうか。また、他制度の在り方についても留意して議論を進めるとの答弁がありましたが、雇用保険で見直しが行われた今回こそ議論を深めるタイミングです。
複雑で難解な労働者を取り巻く制度を分かりやすく、社会保障における被用者の公平性、また三号被保険者の在り方について冷静な議論を行うためにも、労働時間要件を週十時間以上とし、労働参画を促すべきです。
思い出してください。五十一人以上の企業への適用拡大が施行された令和五年十月、法改正から四年もあったにもかかわらず、急に対応ができない、このままでは負担に耐えられないという事業主の声から突如、年収の壁・支援強化パッケージ等の支援策が準備されたことは記憶に新しいです。専任の労務担当者を置けない中小企業の多くは、いざ対象になるというところまで準備はできないのです。
長過ぎる準備期間や中途半端で申請が複雑な支援ではなくて、年金制度改正のベースとなる財政検証が少なくとも五年ごとに行われることを踏まえて、企業規模要件の完全撤廃は五年後に完了し、その後の適用拡大も大いに進めるべきだと考えております。
三つ目は、参考人質疑の中で指摘があったマクロ経済スライドの調整の一致には、厚生年金の積立金を活用した方法と適用拡大を最大限図る方法、この二つの方法があり、各方法による生じる効果は似ているという明言もあったにもかかわらず、適用拡大の最大化を諦めてしまった点です。
今回の改正で約二百万人の被用者の適用拡大を見込むとありますが、年金部会で四つ示されたオプションのうち二番目に小さい拡大という中途半端なものにとどまりました。適用拡大対象者が八百六十万人という週十時間以上の全ての被用者への適用拡大を選択せずに、時期も範囲も、そして働き方に中立な制度、全世代型の社会保障制度への道筋を先延ばしにしてきました。基礎年金の底上げについて、適用拡大こそが厚生年金も合わせた受給の引上げの効果と財源確保への効果がいかに有用か明白にもかかわらず、事業主負担への配慮をすることが優先されてしまっています。
最後に、十一日の参考人質疑で明らかになった、審議会での議論を途中で打ち切った基礎年金拠出期間の四十五年化を見送ったことです。
今回の財政検証及びオプション試算では、基礎年金の拠出期間の四十年間を六十五歳までの四十五年間に延長することが年金給付水準の改善に大きな効果があると示されました。
それにもかかわらず、厚生労働省は審議会において、前回の財政検証より改善が見られることを建前に、保険料負担増に対する批判を一掃できていないことを理由として、拠出期間の五年延長を早々に断念することを表明し、法案への反映に向けた本格的な議論は行われませんでした。
時の批判的世論を理由に四十五年化を見送る一方で標準報酬月額の上限引上げを行う今回の法案は、保険料を取れるところから取ろう、こういう考えが透けて見えます。
給付増のために広く負担を求める必要があるのであれば、そこから逃げず、理解を得るために説明を尽くして実現に向けて取り組むことが政府の責務です。しかし、この説明から逃げる行動が、結果的に年末のマクロ経済スライドの調整策を法案から削除することにつながった証左です。
だからこそ、年金制度を始めとする国民に理解される年金制度、社会保障制度について、与野党を超えて検討、協議をする場を設け、議論することが必要です。各党からもその求めがありましたが、昨日の総理との質疑では、総理は最後まで必要性に理解を示しつつも設置を明言されず、今後の改正の在り方が不透明なまま、改正の検討項目を置いているこの法案には賛成できません。
引き続き、現実的な提案を続けることを申し添え、反対討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)
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