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川合孝典 ·国民民主党・新緑風会

参議院憲法審査会(2025-11-26)での発言

第219回国会 ·第第1号号 ·2,384字
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。  新たなメンバーで憲法審査会の議論を始めるに当たり、国民民主党の課題認識を時間の許す範囲で数点申し述べます。  現行日本国憲法は、人権尊重、国民主権、平和主義の理念の下、政治プロセスの合理性、正統性を確保するため、国家権力の統制と個人の人権保障を定めているものであり、今後もこの理念や体系は堅持すべきと考えております。  しかし、日本を取り巻く国際情勢の変化やデジタル時代の到来、AI社会の進展など、憲法制定時には想定し得なかった時代の変化に対して現行憲法が対応し切れない事象が生じています。  現下の情勢を踏まえ、国民民主党は、現行憲法に対する課題意識と今後の目指すべき方向性について、これまで人権保障分野と統治機構分野に分けて議論を行ってきました。  まず、デジタル時代における人権保障の在り方について申し述べます。  国民民主党は、デジタル時代の人権保障の在り方を根本的に見直す必要があるものと考えます。  AIの普及は、既に個人の思想や良心の形成過程に影響を及ぼしており、自律した個人という憲法の前提にも既に大きな影響が生じております。プラットフォーム提供者によるマイクロターゲティングやフィルターバブルの影響が選挙や国民投票の局面で現れることにより、主権者である国民の自律的な政治的意思の表明によって支えられている民主主義の根幹を揺るがすおそれが生じています。  このような現状から、個人の尊厳を守るためには、時代に即した人権保障の在り方はいかにあるべきかを規定する必要があるものと考えます。  こうした基本認識に基づき、国民民主党は、国民投票法や公職選挙法等にその公正性を確保するための規律を設けること、これを憲法上明確化することの可否について速やかに検討する必要があることを提案します。  例えば、デジタル時代における思想、良心の形成過程の自律性の保障、これの明文化や、個人の尊重を仮想空間への拡張適用をすること、主観的権利としての情報自己決定権について、憲法条文に具体的な権利として明記すること等が考えられます。  また、プラットフォーム提供者についても、その社会経済に及ぼす圧倒的な影響力に鑑み、公正かつ自由な競争秩序の確保に配慮をしつつ、透明性、公正性を向上させるため、一定の責務を課すことについても早急な検討を要するものと考えます。  あわせて、先進各国では既に標準となっている独立したデータ保護機関の設置も検討すべきと考えます。  次に、統治機構分野における課題について申し述べます。  日本国憲法の統治機構分野における条文規定は極めて抽象度が高いことから、解釈あるいは不文律で補わなければならない余地が相当に広く、法規範として規律統制する力が弱いと考えております。  典型的な例として、地方自治の分野は僅か四条文しかなく、それぞれの条文も極めて抽象度の高い簡潔な内容となっていることから、地方自治の在り方自体が国の法律によって左右されることとなっており、住民自治や団体自治といった地方自治の本旨は事実上形骸化しています。  国政においても、恣意的とも言える衆議院解散権の行使が続く一方、憲法上の要件は満たしても臨時会が召集されず、国会の統制が十分機能していないことなど、時の政権の都合で基本的な政治基盤の変更が容易に行われる事例がしばしば見受けられます。  現行憲法の体系性を維持しつつも、適切な範囲で統治機構における規律密度を高めることにより三権分立のゆがみを是正し、憲法の規範力を再構築して法の支配を貫徹させることが喫緊の課題になっているものと考えております。  ここからは、近年の憲法審査会におけるテーマの一つである参議院の緊急集会について意見を述べます。  参議院の緊急集会は、今後想定され得る自然災害や感染症のパンデミックなど社会経済活動に甚大な影響を及ぼす事態が生じた際、国政運営に遅滞を生じさせないよう速やかに緊急集会を開催できるよう、現代における緊急集会の権能、そして緊急集会を開催すべき緊急事態の判断基準を整理する必要があるものと考えます。  なお、緊急集会の権能については、その法の趣旨を鑑みれば、衆議院が存在しない場合、あるいは衆議院が有効に機能しない場合に、参議院一院をもって国会の権能を代行している状況にあることから、緊急集会の正統性を担保するための措置を講じた上で、その目的に適合する範囲において緊急集会の権能に制約はないとみなすことが合理的と考えております。  最後に、憲法審査会の今後の運営について意見を申し述べます。  参議院では、議長の下に参議院改革協議会が設置され、これまで複数年次にわたって、一票の較差問題や選挙制度改革、合区問題等について、各会派代表者による議論が積み重ねられてきました。今次国会でも参議院改革協議会の設置に向けた準備が進んでいるものと承知しています。参議院改革協議会と憲法審査会における議論の内容にはオーバーラップしているものも多いことから、今後議論を進める上で、両者間の連携や情報共有の在り方について検討を要するものと考え、御提案をします。  また、衆議院憲法審査会では、現在、国民投票法に関する議論が進んでおり、広報協議会の役割や機能、放送、ネット等に関して具体的な対処方法が検討されているものだと承知しています。こうした議論を踏まえて、関係諸規程の整備を行う等の際には衆参が足並みをそろえて議論を行う必要があることから、来年の通常国会に向けて、衆参の憲法審査会の連携の在り方についても速やかに検討していただくことを要請し、国民民主党・新緑風会の意見表明とします。  以上です。

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