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岩本麻奈 ·参政党

参議院厚生労働委員会(2025-12-02)での発言

第219回国会 ·第第4号号 ·2,876字
○岩本麻奈君 参政党の岩本麻奈です。  今、医療法改正では、医療DX、医師偏在、かかりつけ医といった言葉だけが先行し、その中身や基準、要するに定義が、国会、官庁、現場、国民の間で十分共有されているとは言えません。  一方で、新型コロナワクチンでは、既に数千人規模の死亡、健康被害が認定されているにもかかわらず、政府は重大な懸念は認められていないと、具体的な数値、根拠を示さない答弁を続けておられます。  今日は、この定義と数字と哲学の空白を踏まえた上で、いわゆる直美問題を単なる医師偏在ではなく命のトリアージの問題として問い直したいと思います。  私は、皮膚科専門医として、自由診療を原則とする美容医療の現場にも濃く深く関わってまいりました。そうした経歴を持つ国会議員は多くないと思いますので、今日はその立場から、いわゆる直美問題の本質的な怖さについて問題提起をさせてください。  美容外科は元々、病気を治す医療ではなく、健康な方をより美しく、そしてエイジングにあらがう外見を維持する医療です。だからこそ、求められる医師像は、単にメスが握れる、注射が打てるというレベルではいけません。悪性腫瘍や膠原病を見抜く、医師が最低限持つべき病理の目は当然の前提であり、その上で、美意識、バランス感覚、職人技を兼ね備えた極めて高度な専門職であるべき領域なのです。一流の美容外科で高い報酬が支払われるのは、その高度な技術と卓越した美的センスへの対価です。美容医療は、本来、研修を終えたばかりの若手医師の受皿や楽に稼げる自由診療の入口であっては絶対いけない、これが私の基本的なスタンスです。  私が最も危惧しているのは、プチ整形だから大丈夫だろう、国民や、それこそ医療従事者たちの誤った認識です。例えば、ほくろに見える病変の中に悪性度の高い腫瘍が紛れていることもあります。経験の浅い医師がマリグナントメラノーマを安易にCO2レーザーで焼けば、病態を悪化させ、重大な結果を引き起こします。また、それは訴訟の火種にもなるでしょう。目の周りのヒアルロン酸注入も血管塞栓を起こせば失明など重い後遺症につながり得ます。脂肪吸引では脂肪塞栓などにより一刻一秒を争う全身管理、救急対応が必要となる事態も生じます。  形成外科、救命救急、麻酔科などで修羅場をくぐった医師であれば、こうしたリスクをあらかじめ想定し、発生時も適切な対応が可能です。しかし、いわゆる直美と呼ばれる初期研修後すぐに自由診療の美容医療へ飛び込んだ若い医師の多くはこの経験が圧倒的に不足しています。同じ合併症でも、その初動対応の差がそのまま患者さんの後遺症の重さに直結してしまうのです。  では、今現場で何が起きているのか。今回の医療法改定に当たり、先日、参議院厚労委員会調査室から、これですね、詳細な資料が届きました。その中に書いてある数字、正直目を疑うものでした。  今皆さんのところに配ってあると思います。お手元の資料を御覧ください。最初のページです。全国四百十七の美容医療のクリニックのうち、切開を伴う高侵襲手術ですね、これに従事する医師の一七%もが経験一年未満とされています。  また、次のページでは、責任者として治療に携わるまでの平均手技実施件数がゼロ件という医療機関が実際に存在し、全ての治療で平均二十件未満という回答が五割近くもあります。  そして最後のページ、この数字はちょっと見え方に注意が必要です。タイトルだけを読むと、クリニックで診療を受けた六百人のうち四割弱が合併症、後遺症と受け止められかねず、非常に危険な印象に映ります。しかし、厚労省に確認したところ、実際の分母は四千百三十八人であり、このページの後遺症が四割は、トラブルがあった六百人中の中の内訳ということでした。これでも結構な数です。  なぜなら、六百を四千で割ると〇・一五で一五%、金銭面を含む何らかのトラブルが約一五%ということなんですね。そうすると、要するに七人に一人はクリニックのトラブルに巻き込まれる。もし一般のサービスで同じ確率が起きるとしたら、レストランに行けば七人に一人が体調を崩す、美容院に行けば七人に一人がクレームになる、そうした状況でこの産業は安全で健全と評価されるでしょうか。  さらに、重症、軽症を混ぜた医療的なトラブルが約五・五%、長期回復が難しい重い後遺症は約二・八%、これは三十六人に一人になります。  私は、選べる医療でこの数字は非常に重い数字と考えます。救命救急ではなく通常の医療であれば、患者さんも医師もこうした確率を前提に標準医療として絶対に受け入れないはずです。これは、美容医療だけでなく、元々健康な人に施される医療介入に共通する原則であり、予防や見た目の改善を目的とする手技であれば、なおさら許容されるリスクの基準はより厳しくあるべきです。  世界の標準的な美容外科では、優良施設の手術の合併症率は一%前後、重大な合併症は〇・一%以下と言われます。選べる医療で日本が二・八%が長期後遺症というのは、国際的に見ても高リスク群の中の異常値と言わざるを得ません。もちろん調査設計や定義が異なるため単純比較はできませんが、警告すべきシグナルと考えます。  そして、さらにまた問題なのはこれからです。  私は、ちょうどこの調査が行われていた時期、銀座や青山の四つの美容医療関連クリニックで理事長、院長、副院長、医療顧問を務めていました。言わば管理職として現場の最前線にいた立場です。しかし、これほど重大な数字を示す調査が行われていたにもかかわらず、そのいずれの現場にもこの調査結果や安全対策に関する通知は一切届いておりませんでした。  つまり、一つは、後遺症の調査結果そのものがこれだけ深刻であること、二つ目は、その重大なデータが現場の医療機関に共有されていないこと。この二つのギャップに加えて、いわゆる専門医表記の在り方やガイドラインなど政府が対策として挙げられている内容についても、少なくとも私が本年六月末までに関わっていた四つの現場には一切下りてきておりませんでした。  すなわち、調査はした、報告書はまとめた、ホームページには掲載した、学会には通達した、しかし、臨床の最前線には届かない、現場で守るべき具体的なルールや線引きが何一つ動いていないんです。この行政と現場の断絶こそが直美問題をここまで深刻化させている要因の一つだと私は受け止めております。  そこで伺います。  最初の質問はもう答えが出たので飛ばさせていただきます。先ほど申し上げた合併症、後遺症の数字ですが、海外に比べても異常値とも言える結果が出ている以上、本来であればより大規模で精緻な追跡調査が必要になるはずです。厚労省として、今後、どの程度の規模、設計の追跡調査を必要と考えているのか、あるいは現状のサンプル数で足りていると評価しているのか、その見解と根拠をお示しください。

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