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岩本麻奈 ·参政党

参議院厚生労働委員会(2025-12-02)での発言

第219回国会 ·第第4号号 ·2,623字
○岩本麻奈君 御答弁を伺いました。被害が出てから数えて報告するのでは遅いのです。被害が出ない仕組みをつくる、ここを改めて強く求めてまいります。  先ほどの図について、もう一点だけ補足させていただきます。皆さん、お手元の資料をもう一度御覧ください。三枚目です。まず確認したいのは、この図のどこにも分母である四千百三十八人という数字が記載されていなかったという点です。これが意図的だったのか、単なる記載漏れなのかは分かりませんが、少なくとも資料からは読み取れない構造になっていました。  実際、私自身も、当初は分母を六百人と誤解し、後遺症が四割であれば日本の美容医療はほとんど壊滅的だと受け止めていました。実際の分母が四千百三十八人であることが判明したのは、昨夜、厚労省に電話で確認を重ねた結果です。そのため、今回は時間的な制約もあり、残念ながら絶対リスクを示す円グラフまでは準備が整いませんでした。しかし、ここにこそ、先日、コロナワクチンの有効性をめぐって問題提起させていただいた絶対リスクと相対リスクの違いが非常に分かりやすい形で表れていると感じています。  私がここで申し上げたいのは、この数字が重いか軽いかという評価そのものではありません。問題の核心は、分母の説明が欠落したまま相対リスクだけが前面に出てしまうこの資料の作り方そのものにあります。これは、ワクチンの九五%有効率が相対リスクだけで示され、絶対リスクの説明がほとんど行われなかった当時の状況と構造的にほぼ同じです。  ここで少し想像していただきたいのですが、今回の分母は四千人規模でしたが、仮にこれが二万人であったらどうでしょうか。分母が四千人であれば重大な後遺症は約二・八%です。分母が二万人であれば約〇・五六%まで下がります。このような数字の見え方、これで受ける印象は全く違ってまいります。コロナワクチンの有効性をめぐる議論では、まさにその桁の世界で数字が使われていました。今回もまた、当初は分母が分からないまま後遺症四割という相対値だけが独り歩きしかねない形になっていたわけです。分母が分からなければ絶対リスクは測れません。そして、本当の意味でのリスク評価もできません。数字そのものはうそをつきませんが、その提示の仕方次第で受け手は幾らでも誤った印象を持たされてしまう、この点を強調しておきます。  だからこそ私は申し上げます。分母をきちんと表示する、明示すること、相対リスクと絶対リスクの両方を示すこと。これは、美容医療に限らず、ワクチン、安全対策、病床削減、医療DX、あらゆる政策判断において厚労行政が必ず守るべき数字の倫理だと強く考えております。  今、美容外科を標榜する診療所は全国で約二千あります。この三年で四割以上増え、脳神経外科や産婦人科と同じ規模になりつつあります。実際には、美容皮膚科クリニックなどを含めればもっと更に多いと考えられます。それだけ巨大な問題でありながらも、合併症、後遺症に関する実態把握は、現場への周知も全く十分ではありません。これは単なる美容業界のトラブルではなく、既に社会問題として扱うべき段階に来ていると思います。  深刻な後遺症や合併症を抱える方々が今この瞬間も静かに増え続けている、その現実を前に、行政が取りまとめたという報告段階にとどまるのではなく、少なくとも早急に国民への注意喚起と現場に実効性のある周知を行うべきだと強く申し上げたいと思います。  直美問題を医の倫理問題だ、一部医師のモラルの問題だと個々の医師の問題にするのは、矮小化するのは簡単です。しかし、実は本質はそこではありません。私は、日本の医療法制、制度設計の構造的な欠陥から生じている現象だと考えています。その象徴が、標榜科の余りにも自由過ぎる現状です。  今、医師免許さえ持っていれば標榜科の選択は極めて自由、これが日本の医療の当たり前として長年放置されてきました。こうしたことは、ジェネラリストとスペシャリストが研修課程から明確に分かれている欧米の医療システムではまず起こり得ない現象です。この標榜科設計の甘さは美容だけの問題ではありません。来年四月に新設予定の睡眠障害内科にもそのまま重なります。  私はこの四年間、自費の睡眠美容外来で、生活リズム、仕事や家族のストレス、ホルモンバランスや皮膚の状況、状態、さらには過去のトラウマや人間関係まで丁寧に聞き取りながら、認知行動療法的アプローチや血液検査、必要な専門医の紹介等を行ってまいりました。CBDなどカンナビノイド製剤も適切に用いることで、睡眠薬を減量、中止できた方も少なくありません。  本来の睡眠医療とは、精神科、心療内科、一般内科、呼吸器、耳鼻科、産婦人科、さらには生活指導や心理的支援を含む全診療科チーム医療の領域と思います。したがって、決して新しい標榜科の看板を一つ立てれば済むというような単純な設計であってはなりません。にもかかわらず睡眠障害内科という看板だけが先行すれば、患者さんはここに行けば睡眠の専門家がいると信じますが、実態としては短時間の問診と睡眠薬中心の言わば睡眠薬促進科になってしまう危険性を私は強く懸念しています。  直美問題と睡眠外来の問題は構造が同じです。すなわち、看板が先にあり、一番大事な専門性が後から追いかけるという標榜科制度そのものの設計ミスです。まさに、いわゆる直美問題の本質的な病巣はここにあると思います。  地方ではいわゆるブラック病院で若い医師が疲弊する一方、都会では派手な広告の美容クリニックや自費診療クリニックが増え、若い医師がそちらに流れていく、その心理は理解しつつも、それでも踏み込んではならない一線があると私は考えます。だからこそ、標榜科の設計、そして新しい標榜科の在り方も含め、現在の実態に即した抜本的な見直しが必要と思います。  そこで、大臣に質問です。  睡眠障害内科を標榜する医師にしても、ほかの標榜科と同じく特別な追加教育、研修や一定の経験年数を要件としないで自由に診療科を標榜できるのでしょうか。  もう一つあります。その結果として、保険診療の枠組みの中で、睡眠医療が睡眠薬中心の単線的診療に流れてしまう懸念について、大臣としてどう認識し、どのような歯止めを考えているのか、御見解をお示しください。

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