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北村晴男 ·日本保守党

参議院法務委員会(2025-11-20)での発言

第219回国会 ·第第2号号 ·1,429字
○北村晴男君 ありがとうございます。  次に、合議体による刑事裁判の評決における過半数制についてお聞きします。  いわゆる袴田事件において、袴田さんは、冤罪により約四十八年間もの間身柄を拘束され、五十六年間、殺人犯の汚名を着せられています。袴田事件は、刑事裁判の評決の観点から検討すると、次に述べるとおり、裁判所法が重大な欠陥を抱えているがゆえに、必然的に発生したものであります。  一審の静岡地裁の有罪判決においては、有罪判決にもかかわらず、判決文で異例の厳しい捜査批判が展開されており、当時から裁判官の評決で意見が分かれたものと推測されていたところ、判決文を起案した熊本元裁判官が、平成十九年、当時の評議、評決の内容を告白しています。これによれば、二名の裁判官が有罪を主張し、熊本氏は無罪を確信しながらも他の二名を説得できず、評決は多数決で有罪とすることが決まり、同氏は無罪を確信しながら死刑判決を起案したものであります。  裁判所法七十七条一項は、刑事裁判においても、合議体の評決は過半数の意見によるとしています。この点は、裁判員裁判、すなわち裁判官三名、裁判員六名においても同様であるところ、有罪判決を下す場合には裁判官のうち少なくとも一名の賛成が必要とされています。すなわち、裁判官のみの三名の合議体では、一名が評決で無罪主張をしても有罪判決下すことが可能で、裁判員裁判においては、例えば裁判官二名、裁判員二名が評決で無罪を主張しても有罪判決を下すことが可能です。  私は、この裁判所法などが定める評決における過半数制が袴田事件のような悲惨な冤罪事件を生んだ元凶の一つであり、これまでも表面化しなかっただけで同様の冤罪事件が相当数あった可能性があり、この規定を放置すれば今後も袴田事件同様の悲惨な冤罪事件が必ず発生するものと考えています。  刑事裁判においては、疑わしきは被告人の利益にの大原則があり、有罪判決を下すためには犯罪立証の程度は合理的な疑いを入れない程度を要します。この意味は、例えば不合理な疑いというのは、あの人は格好いいから多分犯罪を犯していないよねというような疑い、これは不合理でございます。ただ、証拠に基づいて、経験則に立って、どう考えても疑問があるよねと、これがまさに合理的な疑いでありまして、それを入れない程度の証明を要するということになっています。  しかしながら、裁判所法の多数決主義、この過半数制は、この原則に反する重大な欠陥を有しています。袴田事件に即して言うと、一人の職業裁判官が無罪を確信して、評議を重ねても、証拠に基づいて無罪主張、それが覆らないのであれば、それはまさに合理的な疑いが生じていると考えざるを得ないことであり、そのような証明、立証がなされたとは到底言えないのであります。  現行法の裁判所法などは、疑わしきは被告人の利益にの大原則を踏みにじり、非文明的思想、すなわち、たとえ十人の無罪の人を処罰したとしても、一人の真犯人も逃してはならないとの思想に立脚しているものと考えざるを得ません。十人の真犯人を逃すとも、一人の無辜を罰するなかれとの当たり前の文明的原則に立ち戻る必要があります。  そのために、有罪判決を下す場合には全員一致を要する制度とすべきだと考えます。そうすることが袴田事件のような悲惨な冤罪事件を繰り返さないために絶対に必要な条件であると考えますが、いかがですか。

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