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畑野君枝 ·日本共産党

衆議院憲法審査会(2026-05-21)での発言

第221回国会 ·第第6号号 ·2,033字
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  今日の審査会も、法制局がまとめた緊急事態条項のイメージ案を議題としています。一部の会派の主張に基づいて、緊急事態条項について論点を抜き出し、議論を方向づけようとすることは認められません。  朝日新聞と東京大学が共同で行った有権者への調査では、改憲を優先的に取り組む課題だと答えたのは僅か一%にすぎません。国会の場で改憲を喧伝し、国民に議論を押しつけることは許されません。  この間の議論で主張されている緊急事態条項の内容は、内閣が緊急事態だと認定すれば、国会の議決を得ずに法律に代わる政令の制定や予算の執行を可能にするものです。内閣に権限を集中させ、国民の権利を制限するもので、憲法停止条項です。国会議員の任期延長は、国民の参政権を停止し、内閣の独裁体制を支えるため、時の政権が国会の多数を維持するためのものにほかなりません。  こうした緊急事態条項の規定は、さきの戦争の反省から日本国憲法が否定してきたものです。かつて日本は、朝鮮半島や台湾を植民地化し、中国大陸を始めアジア太平洋諸国を侵略しました。国内では、国家総動員の方針の下、戦争に反対する人々を弾圧して、国民経済や国家予算、学術研究など、ありとあらゆるものを戦争遂行のために動員しました。日本の植民地支配と侵略戦争で、アジア太平洋地域で二千万人、日本国民三百十万人以上が犠牲となりました。  この戦争を遂行する体制をつくるために用いられたのが、明治憲法にあった緊急勅令などのいわゆる緊急事態条項です。当時の政府は、緊急勅令によって、議会で廃案になった治安維持法に死刑を導入する改悪を強行するなど、戦争に反対する国民の声を弾圧するために濫用しました。緊急財政処分も、日清、日露戦争、そして満州全土の制圧など、戦争を遂行する戦費を調達するために乱発されました。  任期延長も同じです。戦前は、国会議員の任期は法律で定めるとされていました。前回も述べたように、太平洋戦争へと突き進もうとしていた一九四一年、挙国一致体制をつくるために国民の中に不要な議論を起こしてはならないという理由で衆議院議員の任期を一年延長しました。こうして国民の声を抑え込んだ下で、東南アジアへと戦線を拡大し、真珠湾攻撃へと突き進んだのです。  この痛苦の教訓から、日本国憲法は、内閣による緊急政令を廃し、国会議員の任期を憲法に明記し、国民主権と民主主義を徹底することを求めているのです。  憲法制定議会で金森徳次郎担当大臣は、民主政治を徹底し、国民の権利を擁護するためには、政府の一存による処置は防がなければならない、言葉を非常ということにかりてその道を残しておけば、どんなに精緻なる憲法を定めても破壊されるおそれがあると述べています。任期延長についても、自ら任期を延長することは甚だ不適当であり、任期が来れば選挙によって国民の意思を国会に反映することが重要だと述べています。  日本国憲法が緊急事態条項を否定したのは、悲惨な戦争を二度と起こさないという決意にほかなりません。これは日本国憲法の原点そのものです。日本国憲法前文は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないようにすることを宣言し、憲法九条で、戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認を定めています。戦争につながる一切のものを排除することを求めているのであり、これが日本国憲法の核心です。  緊急事態条項の議論では、九条改憲の議論も並行すべきだとか一体に議論すべきだという主張がされています。ロシアによるウクライナ侵略も度々挙げられていますが、結局、戦争準備の議論にほかなりません。九条改憲と一体に戦争する国づくりを進めようというものではありませんか。日本国憲法の精神を根本から覆そうというもので、断じて認められません。  私たち政治家がすべきは、国民が求めていない改憲のための議論ではありません。現実に窮地に陥っている国民の暮らしやなりわいを守るための議論です。  アメリカとイスラエルによる国際法違反の攻撃によって始まったイラン戦争は、国民の生活に極めて重大な影響を及ぼしています。ナフサなど石油関連製品の不足で、事業者からは、このままでは廃業するしかない、コロナ禍以上に深刻な状況だという声が上がっています。この声にどう対応するのかが国会には問われています。  最も重要なのは、一日も早く戦争を終結させることです。アメリカは今もホルムズ海峡の逆封鎖を続け、トランプ大統領は度々再攻撃に言及しています。日本政府は、アメリカとイスラエルに対して、再攻撃せず早期に戦争を終わらせるよう、国際社会と連携して外交努力を強めるべきです。  今目の前にある国民生活の危機に対応するための議論こそ予算委員会や各常任委員会で大いにするべきだと改めて強調して、発言を終わります。     ―――――――――――――

畑野君枝 の他の発言

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