○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
国民投票法について意見を述べます。
私たちは、国民の多数が改憲を求めていない中で、改憲のための国民投票法を整備する必要はないという立場です。どの世論調査を見ても、今、国民は憲法改正を政治の優先課題とは考えていません。したがって、国民投票法の整備を性急に進める必要はどこにもありません。
同時に、私たちは、現行の国民投票法については、国民の民意を酌み尽くすという点で重大な欠陥があると考えています。
そもそもこの国民投票法は、第一次安倍政権の二〇〇七年に、自民党が改憲を推し進めようとする中で作られたものです。
当時、安倍首相は、憲法改正を政治のスケジュールにのせるべくリーダーシップを発揮すると述べ、そのために国民投票法の早期成立を期待すると繰り返しました。その下で、自民党は期限を区切って国民投票法の審議を推し進めました。法案を審議した特別委員会に参考人として出席した多くの研究者や弁護士などから法案の不備が指摘されていたにもかかわらず、衆議院での強行採決に踏み切りました。
こうして作られたのが今の国民投票法です。そのため、現行法には幾つもの重大な問題が残されたままとなっています。今でも、憲法研究者や法律の専門家から、その不備を指摘する声が相次いでいます。
私は、具体的に三つの問題点を指摘したいと思います。
第一に、最低投票率の規定がないことです。
現行法は、投票率がどんなに低くても国民投票が成立する仕組みになっています。そのため、たとえ有権者の一割から二割台の賛成しかなくても改憲案が通ってしまいます。これでは、国民の民意を酌み尽くし、その意思を正確に反映しているとは到底言えません。
第二に、公務員や教員の国民投票運動を不当に制限していることです。
国民投票の大前提は、国民が自由闊達に意見を表明し、幅広い多様な意見に接し、改憲案の内容を十分に検討できることです。
しかし、現行法は、公務員や教員について、地位を利用した国民投票運動を禁止しています。その対象は、国や地方の公務員、大学の教員から幼稚園の先生に至るまで五百万人に上ると言われています。定義の曖昧な地位の利用を理由にこれほど多くの国民の投票運動を制限することは許されることではありません。さらに、公務員や教員だけにとどまらず、国民全体の意見表明や運動を萎縮させることにつながりかねない重大な問題です。
第三に、改憲案に対する広告や意見表明の仕組みが公平公正なものになっていないことです。
資金力の多い方がテレビなどの有料広告の大部分を買い占めてしまい、憲法がお金で買われるおそれが繰り返し指摘されています。しかも、現行法にはそれに対する実効性のある措置がありません。国会につくる広報協議会も、委員の大多数は改憲に賛成した会派から割り当てられます。広報の内容も、改憲の理由と改憲案の説明、改憲に賛成する意見が大部分を占め、改憲を進めるのに都合のよい仕組みになっています。
このように、現行の国民投票法は、その審議の手続においてもその内容においても重大な問題を抱えた欠陥法です。国民投票法というのであれば、これらの根本的な問題について真摯に向き合うことこそ必要です。
今、公職選挙法並びの三項目の議論を進めるべきだという意見が出されていますが、根本問題を放置したまま、投票法を形だけ整えていつでも動かせるようにしておき、改憲議論を進めようというものであり、認められません。
そもそも、議員や首長を選ぶ選挙と改憲の賛否を問う国民投票は全くの別物です。さらに、現行の公選法は、国民の選挙運動を幅広く制限する、べからず法であり、公選法並びでいいのかということ自体が問われなければなりません。公務員や教員の選挙運動を制限しているのも公選法に倣った結果にほかなりません。
最後に、フェイクニュースやネット利用の問題についてです。
この問題は、国民の知る権利や表現の自由など、基本的人権に関わる重大な問題です。国民投票法ありきで議論を進めれば、誤った方向に向きかねません。フェイクニュースなどの問題への対応は必要ですが、国民投票法と絡めて議論するべきではありません。
繰り返し指摘してきたように、国会は、改憲のための議論ではなく、憲法の原理原則を現実の政治に生かすための議論こそするべきだということを強調して、発言を終わります。
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