○田中健君 国民民主党・無所属クラブの田中健です。
会派を代表して、ただいま議題となりました特例公債法改正法案、復興財源確保法改正法案、所得税法等改正法案、関税定率法等改正法案について質問をいたします。(拍手)
冒頭、大塚耕平元参議院議員が御逝去されましたことに、謹んで御冥福をお祈りをいたします。
国民民主党の結党宣言には、大塚耕平さんの思いが込められています。「国民の良識と判断力を信じ、正直な政治、偏らない政治、現実的な政治を追求していく。」「何が「正しい」か、何が「正義」か。価値判断は人によってまちまちである。だからこそ、議論の前提となる事実を公開・共有し、熟議を尽くし、決まったことを遵守し、権力を抑制的に運用する、それが民主主義の基本である。」この言葉を胸に質問に入らせていただきます。
我が国は今、二つの課題に直面をしています。一つは、物価高が続く中で、賃金が十分に追いついていない現実。もう一つは、国と地方を合わせて一千兆円を超える債務残高という財政の健全性への不安です。給料は上がっても手取りが増えない、将来の税や社会保険料はどうなるのか、この国の財政は本当に大丈夫なのか。国民は今の生活と将来の双方に不安を抱えています。本日の法案は、その両方に関わる重要な法案であります。
国民民主党は、対決よりも解決、批判よりも提案、この姿勢をこれからも貫きます。将来世代に責任を持つ立場から、建設的に問い、具体的な対案を示していきたいと思います。
まず、特例公債法改正案について伺います。
本法案は、令和八年度から令和十二年度までの五年間、特例公債の発行を可能とするものです。言い換えれば、赤字国債依存の枠組みを更に五年間、制度的に認めるということです。
そこで、片山大臣に伺います。今回、なぜ五年間という期間設定なのでしょうか。一年に戻しませんか。
そもそも特例公債法は、半世紀前の一九七五年に、赤字国債発行を迫られた大平正芳当時大蔵大臣が導入し、国会の承認が毎年必要な一年限りの特例法でありました。安倍政権で五年間にその後延ばされた経緯があります。責任ある積極財政を掲げる高市政権だからこそ、毎年国会の承認を得て、財政への責任を明確に示すべきではありませんか。
また、この期間中でどの水準まで公債依存度を下げるのか、具体的な数値目標をお示しください。プライマリーバランスの黒字化目標との整合性はどのように確保されるおつもりかも、併せてお伺いします。
法案では、特例公債の発行額の抑制に努めるとあります。しかし、これは努力義務です。上限規律や自動的な是正措置は設けられていません。これで、市場や国民に対し、財政規律のメッセージが本当に伝わるでしょうか。私たちは、単なる努力義務ではなく、発行年限構成などの国債管理政策を透明化する必要があると考えます。
そこで、国民民主党は、アメリカの財務省に設けられている国債発行諮問委員会のような、専門的な助言機関を創設することを提案しています。独立した第三者機関等の必要性について、片山大臣の考えをお伺いします。
財政健全化を歳出抑制だけで実現することは困難です。名目GDPが成長しなければ、政府の掲げる政府債務残高対GDP比は改善しません。今回の中期財政見通しは、名目成長率を何%前提に試算しているのか、その成長を実現する具体案は何なのか、城内大臣にお示しをいただきたいと思います。
私たちは、成長による税収増を柱とする財政再建を掲げています。人への投資、教育、科学技術、スタートアップ支援、エネルギー自立への投資地域の産業競争力強化、こうした分野には戦略的に財源を振り向けるべきです。財政規律と成長戦略は対立するものではありません。両立こそが責任ある政治と考えますが、片山大臣の考えをお伺いいたします。
所得税法改正案について伺います。
今回、課税最低限を百七十八万円まで引き上げる特例措置が盛り込まれました。私たち国民民主党が訴え続けてきた政策であり、現役世代の手取りを増やすための大きな第一歩となりました。
しかし、これは特例的、先取り措置にとどまっています。なぜ恒久化をしないのでしょうか。国民は、毎年の特例ではなく、将来を見通せる税制を求めています。百七十八万円の恒久化、基礎控除の所得制限六百六十五万の壁と八百五十万の壁の撤廃を提案します。働けば働くほどしっかりと手取りが増える、これが税制の基本原則であるべきです。片山大臣の見解を伺います。
基礎控除の物価連動を二年ごととする仕組みも一歩前進です。しかし、急激な物価上昇局面では、実質負担増が先行をいたします。年次見直し、あるいは一定の物価上昇率を超えた場合の自動改定を検討すべきではありませんか。これも片山大臣の考えを伺いたいと思います。
住宅ローン控除の拡充が盛り込まれました。しかし、足下では金利上昇の動きがあります。仮に変動金利が一%上昇した場合、四千万円の借入れでは年間負担は約四十万円増加します。一方で、基礎控除の引上げによる減税効果は、年収水準によっては数万円規模にとどまります。ここで問われるのは、純効果はプラスなのか、マイナスなのかということであります。
政府として、想定金利の上昇シナリオや家計負担増額の試算、今回の減税措置と純効果の比較を行っているのでしょうか。減税をしましたと言いながら、金利上昇の効果で家計負担が増える一方であるならば、手取りを増やすという政策の整合性が問われます。是非とも明確な試算をお示しをください。
また、NISAの拡充、これには賛同いたします。資産形成の支援は重要です。つみたて投資枠について、ゼロ歳から十七歳の未成年でも口座開設が可能になり、教育資金掛ける資産形成という考え方が制度として正式に認められる形となります。一方、NISAの資金の相当部分が海外株式型の投資信託に流れています。つまり、日本の家計資金が海外市場に向かっている構造が今なお続いています。
NISAの拡充が国内企業へのリスクマネー供給にどれだけつながっているのか、具体的なデータはありますでしょうか。国内投資を促す制度設計、例えば国内成長投資枠の強化など、検討すべきではありませんか。片山大臣の見解を伺います。
今回、極めて高い所得への負担適正化措置の見直しが盛り込まれました。現在の所得税は累進税率を採用していますが、株式などの譲渡益は分離課税であるため、超富裕層となるとかえって税負担が下がってしまう逆転現象が課題とされてきました。長年指摘されてきたいわゆる一億円の壁問題でありますが、今回の改正でどこまで改善されるのでしょうか。金融所得分離課税との関係を含め、実効税率の分布はどう変わり、構造問題は解決するのか。片山大臣から明確な分析結果をお示しいただきたいと思います。
設備投資促進税制の改正について伺います。地域経済の観点から伺いたいと思います。
今回の改正では、生産性の高い設備に対し即時償却又は税額控除を認める措置が、そして、我が党が強く求めた三年間の繰越控除が創設をされます。戦略技術への重点化という方向性自体は理解します。しかし、この制度が地域の経済の活性化につながる設計になっているのかという点について伺いたいと思います。
我が国の雇用の約七割は中小企業が担っています。地方においては、製造業、建設業、運輸業、観光業、農林水産関連産業など、地域の中小企業こそが経済の土台です。ところが、現実には、税額控除中心の制度設計、また計画認定を要する複雑な手続、利益計上を前提とする仕組みでは、資金余力や専門人材を持つ大企業ほど使いやすく、地方の中小企業ほど使いにくい制度になる懸念があります。
そこで、赤澤大臣に伺います。今回の設備投資税制について、地方の中小企業による利用をどの程度想定をされているのか、地域別の利用見込みを試算をされているのか、制度が大都市圏や大企業に偏在するリスクをどう認識しているのか、具体的にお答えをください。
地方創生ということを本気で進めるのであれば、地域の中小企業が設備更新や省力化投資を進められる環境整備こそが鍵であります。地方の中小企業では、省人化設備、デジタル化投資、脱炭素の対応設備、地域の資源を生かす加工設備が必要であるという声が、地域を歩いていると多く聞かれます。こうした投資が広がることで、生産性が上がり、賃上げ余力が生まれ、若者も地元で働き続けることができる。これこそが地方創生の本道ではないでしょうか。しかし、黒字企業中心の税額控除型制度では、利益の薄い地方企業には十分届かない可能性があります。
そこで、伺います。即時償却の対象拡大、また繰越控除期間の延長、さらに手続の簡素化など、今後、地方の中小企業が実際に活用できる制度へ見直していくという考えはありますでしょうか。設備投資税制が成長企業支援策にとどまるのか、それとも、地域の底上げ政策につながっていくのか。その方向性次第では、日本の地域経済の未来は大きく変わると思っています。是非答弁をお願いいたします。政府が地方創生を掲げる以上、設備投資税制を地域の中小企業が使える制度へと再設計も新たにしていくべきと考えますが、片山大臣の見解を伺います。
賃上げ促進税制の実効性について伺います。
今回の改正では、大企業向け措置の廃止、中堅企業向けの見直しが行われます。しかし、重要なのは、制度の有無ではなく実効性です。賃上げが本当に恒常的なベースアップにつながっているのか。政府として、どのような検証指標を持っているのか。赤字企業や価格転嫁が困難な業種への支援策はどうするのか。中小企業の生産性向上支援とセットで進めなければ、持続的な賃上げは実現しません。片山大臣の考えをお伺いいたします。
防衛特別所得税についても伺います。
防衛力強化の必要性は理解します。しかし、所得税額に関して一%の付加税を課す以上、国民負担は生じます。復興特別所得税を一%引き下げるとのことですが、将来的な延長を含め、実質負担は本当に増えないのでしょうか。防衛費の歳出構造改革はどこまで進めるのか。まず、無駄の排除、装備調達の改革、効率化を徹底していく。その上で、国民に説明責任を果たすべきと考えますが、片山大臣のお考えをお伺いいたします。
財政規模拡大だけのばらまきには私たち国民民主党は反対です。しかし、成長なき緊縮にも賛成することはありません。
片山大臣に最後に伺います。増税なき成長とまた持続可能な財政というのを、具体的にどの道筋で両立させていこうと考えているのか。国民に分かる言葉で、是非明確にお答えをいただきたいと思います。
公平、中立、簡素の租税原則に照らし、いかなる事態に対しても納税者の納得が得られる公平な税務行政を貫徹することが税務当局に対する信頼の要諦であるということを申し上げまして、国民民主党としての代表質問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣片山さつき君登壇〕
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