○国務大臣(片山さつき君) 田中健議員の御質問にお答えいたします。
特例公債法における授権期間や財政目標等についてお尋ねがありました。
今般の改正案においては、複数年度の授権というこれまでの同法の枠組みを引き継ぎつつ、政府は、特例公債を発行する経済・財政新生計画の期間を通じて、経済・財政一体改革を推進し、公債発行額の抑制に努める、毎年度の特例公債の発行額については、各年度の予算をもって国会において議決いただくこととしております。加えて、今般、授権期間における改革の姿勢を明確に示し、市場の信認を確保する観点から、政府において行財政改革を徹底する旨の新たな規定を設けております。
このように財政規律に十分配慮することとした上で、安定的な財政運営を確保する観点から、令和十二年度までの五年間の発行を可能としております。
また、責任ある積極財政の考え方の下、経済・財政新生計画の期間を通じて経済・財政一体改革の取組を進め、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく考えですが、その際、これまでの取組の進捗、成果を後戻りさせることなく、成長率を高め、併せて金利上昇に目配りすることで、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を確実に抑えていくことが重要であり、このような考え方の下、これまでの単年度ごとのPB黒字化目標の達成状況を見ていく方針を、数年単位でバランスを確認する方向に見直していく方針です。
次に、国債管理政策における専門的な助言機関の創設についてお尋ねがありました。
米国においては、債券の売手、買手双方の代表者で構成されるTBACと呼ばれる諮問委員会が、債務管理における技術的な論点等に関する提言を行っていると承知しております。
この点、日本においても同様に、主に売手となる証券会社を始めとしたプライマリーディーラーとの意見交換を行う国債市場特別参加者会合や、買手となる銀行や生命保険会社等の機関投資家との意見交換の場である国債投資家懇談会の開催、さらに、中長期的な視点から今後の国の債務管理政策について高い識見を有する方々から御意見や御助言をいただく、国の債務管理に関する研究会の開催などを通じて、市場関係者との緊密な対話に努めているところです。
我が国のこのような枠組みは、透明性の確保や市場のニーズを踏まえるという点で十分機能していると考えており、引き続き、このような枠組みを有効に活用し、市場参加者との丁寧な対話を行いながら、国債管理政策に万全を期してまいります。
次に、財政規律と成長戦略の両立についてお尋ねがありました。
高市内閣では、危機管理投資やAI・半導体、造船等への成長投資を始めとして、積極的な国内投資を通じて日本の成長につなげていく考えです。
同時に、責任ある積極財政の考え方の下、租税特別措置、補助金の見直しなどの取組も含め、行財政改革を徹底しながら、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げ、財政の持続可能性を確保してまいります。
次に、基礎控除の特例についてお尋ねがありました。
令和八年度税制改正における所得税の基礎控除の引上げのうち、物価上昇を超える特例的な引上げについては、昨年十二月の国民民主党と自由民主党との党首合意や、令和八年度与党税制改正大綱において、物価高で厳しい状況にある中低所得者に配慮したものであることや、給付つき税額控除の議論の中で中低所得者層の給付、負担の在り方を検討していくことを踏まえ、二年間の時限措置として講ずることとされております。
また、働き控えへの対応と中低所得者の手取りの増加を図る観点から、一定の所得制限を設けた上で、給与所得者の全納税者のうち約八割が対象となるよう、中間層まで負担軽減を行うこととされております。
政府としては、こうした政党間合意や与党税制改正大綱を踏まえ、対応することとしたものです。
次に、基礎控除の物価連動についてお尋ねがありました。
所得税の基礎控除等については、令和八年度与党税制改正大綱において、今後、二年ごとに物価の上昇率に連動して見直すことを基本とするルールを定めておりますが、この二年という頻度は、物価上昇の動向をできるだけ早期に反映させることが望ましい一方で、源泉徴収義務者等の事務負担に配慮する必要があり、これらのバランスを踏まえ設定したものです。
御提案の急激な物価上昇局面における対応については、こうした事務負担の観点も踏まえる必要があるものと考えております。
次に、住宅ローン控除や住宅ローン金利についてお尋ねがありました。
政府としては、住宅ローンに係る特定の金利シナリオを想定しているわけではありませんが、例えば、住宅ローン金利が〇・五%ポイント上昇した場合の家計負担増加額については、二〇二四年の家計調査のデータを用いて機械的に試算すると、住宅ローンの返済がある世帯では平均で年間約九万円から十万円程度の金利負担増になると考えられます。
なお、例えば、令和七年度、八年度税制改正における所得税の基礎控除等の引上げによる納税者一人当たりの減税額は、収入階級によって多少のばらつきはあるものの、約三万円から六万円となっております。
その上で、金利上昇が家計に与える影響については、一般論として、御指摘の住宅ローンの支払い利子の増加だけではなく、預貯金利子の増加などもございます。また、実際の住宅ローンの返済期間、金利タイプ、借入残高等の違いや、世帯当たりの納税者数の違いなどを踏まえれば、先ほど申し上げた機械的試算のベースで比較して妥当な結論が得られるかという論点もございます。
いずれにしましても、引き続き、個人の住宅ローンを含め、金利上昇が国民生活等に与える影響も注視しつつ、経済財政運営に万全を期してまいります。
次に、NISAについてお尋ねがありました。
御指摘のNISA拡充が国内企業へのリスクマネー供給にどれだけつながっているのかについては、正確なデータは持ち合わせていませんが、二〇二四年の抜本的拡充以降の二年間において、大手証券会社十社を通じたNISAにおける国内株式の買い付け額を日本証券業協会の調査を基に機械的に計算すると、約十兆円となります。
これに加え、具体的な数字の把握は困難ではあるものの、国内企業等を投資対象に含む投資信託の買い付けを通じて国内への投資が行われているものと承知しております。
NISAの在り方については、引き続き幅広い御意見をいただき検討していきたいと考えておりますが、その上で、御指摘の国内投資に対する優遇措置については、家計の安定的な資産形成の観点からは国や地域も含む投資対象の分散が有効であることを踏まえる必要があり、むしろ、国内投資を活性化させるためには、コーポレートガバナンス改革等の中長期的な企業価値の向上を後押しする取組を通じ、日本企業自身の魅力を高めていくことも重要かと考えております。
次に、いわゆる一億円の壁についてお尋ねがありました。
今般の法改正では、金融所得を含め極めて高い水準の所得に対し、負担の適正化を図る観点から、特別控除額を現行の三・三億円から一・六五億円に引き下げるとともに、税率を現行の二二・五%から三〇%に引き上げることとしております。
この見直しにより平均して約六億円以上の所得について追加負担が生じると見ており、税負担の公平性確保に向けて一定の効果が見込まれますが、その具体的な影響度合いにつきましては、本措置の対象となる方々の所得のうち分離課税対象がどの程度であるかなど、個々の納税者の所得の内訳等によっても変わってくるため、今後ともよくフォローしてまいりたいと考えております。
次に、設備投資促進税制についてお尋ねがありました。
令和八年度税制改正では、既存の税制では対象とならないような大規模かつ高付加価値の投資を後押しするため、一定の規模や利益率の要件を満たす投資について、即時償却又は高い水準の税額控除率を認める大胆な設備投資促進税制を創設することとしています。
その際、特に中小企業については投資規模の要件を大企業よりも低く設定しており、地域の中小企業を含め、幅広い御利用を促す仕組みとしております。
また、中小企業向けの投資減税としては、中小企業経営強化税制や中小企業投資促進税制も措置しており、中小企業においてこうした様々な税制を活用していただくことで、地域経済の活性化にもつなげてまいります。
次に、賃上げ促進税制についてお尋ねがありました。
足下の賃金上昇率がバブル期以来の水準となる高い伸び率を示している中、令和八年度税制改正では、賃上げ促進税制について、大企業向けの措置を令和七年度末で廃止するとともに、中堅企業向け措置は、要件を強化した上で、適用期限の令和八年度末をもって廃止することとしています。
この点、賃上げは、企業収益の動向や雇用情勢等、税制以外の要因による影響を受けるため、税制の効果だけを取り出すことは困難ではありますが、それを踏まえても、適用企業の賃上げ率と本措置の賃上げ要件との間に必ずしも関連性が見られず、本措置がインセンティブ措置として十分に機能していないおそれが見受けられました。
このため、今般の税制改正において、与党の御議論を経て、先ほど申し上げた賃上げ促進税制の見直しを行うこととしたところです。
政府としては、継続的に賃上げできる環境を整えていく必要があると考えており、引き続き、価格転嫁対策の徹底、中小企業等の稼ぐ力の強化や省力化投資の支援など、中小企業、小規模事業者を始めとする賃上げ環境の整備を推進してまいります。
次に、防衛特別所得税についてお尋ねがありました。
令和八年度税制改正では、防衛特別所得税の創設に合わせ、足下で家計負担が増加しないよう、復興特別所得税の税率を引き下げるとともに、復興財源の総額を確実に確保する観点から、復興特別所得税の課税期間を延長することとしております。
この点、復興特別所得税の負担額は、収入階級に応じて様々ですが、例えば年収五百万円の単身世帯では年間千円程度となりますが、こうした負担については、その必要性を含め、今後も丁寧に説明を尽くしてまいります。
また、防衛費については、これまでも毎年度の予算編成において合理化、効率化に取り組んできているところであり、引き続きこうした取組を徹底してまいります。
最後に、増税なき成長と持続可能な財政の両立についてお尋ねがありました。
高市内閣では、国内投資の促進に徹底的なてこ入れをし、日本の成長につなげていきます。そして、所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収が自然増に向かう好循環を実現していきたいと考えております。
その際、国民生活の下支えや経済成長に資することが期待される施策には大胆に重点化する一方で、見込まれる効果が乏しい施策については見直しを行うなど、歳出歳入両面の改革を推進し、強い経済の実現と財政の持続可能性を両立させてまいります。(拍手)
〔国務大臣城内実君登壇〕
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