○田中健君 国民民主党・無所属クラブの田中健です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました特例公債法改正法案、復興財源確保法改正法案、所得税法等改正法案、関税定率法等改正法案、四法律案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
日本では、今、税収は過去最高水準に達しています。一方で、実質賃金は伸び悩み、多くの国民が生活の厳しさを感じています。
政府は責任ある積極財政を掲げていますが、国民の側から見れば、税収は増えているのになぜ生活は楽にならないのかという素朴で率直な疑問があります。税収は増え、経済の指標の一部は改善しているにもかかわらず、家計の実感としての豊かさが伴ってこない。このギャップこそ、今の日本の税制と財政政策に突きつけられている問題ではないでしょうか。
その上で、まず、所得税法改正法案について申し上げます。
今回、課税最低限を百七十八万円まで引き上げる措置が盛り込まれました。これは、私たち国民民主党が長らく訴えてきた政策であり、現役世代の手取りを増やす第一歩として評価をいたします。
しかし、今回の措置は特例です。国民が求めているのは、毎年の特例ではなく、将来を見通せる税制です。働けば働くほど手取りが増える、努力が報われる、その当たり前の税制を実現するため、課税最低限百七十八万円の恒久化、インフレ率や最低賃金上昇率に自動的に連動されるインフレ調整の仕組み、基礎控除の所得制限六百六十五万の壁と八百五十万の壁の解消を更に進めていく必要があります。
政府は、貯蓄から投資へを掲げ、NISAの拡充を進めています。今回、ゼロ歳からのこどもNISAが創設されます。資産形成は重要です。
しかし、今、若い世代の間ではNISA貧乏という言葉が広がっています。将来への不安から投資を優先し、現在の生活を切り詰めてしまう現象です。実際の家計調査でも、物価高で家計が圧迫されている中、投資資金の捻出に苦しむ人が一定数いることが指摘をされています。これは投資が悪いという話ではありません。むしろ、問題は、将来不安が大き過ぎる社会構造にあります。
若い世代が老後や年金、将来の税負担に強い不安を感じているからこそ、過剰な自己防衛として投資に向かっているのです。必要なのは、投資しないと将来が不安な社会ではなく、安心して働き、消費できる社会です。
税制もまた、生活の安定という観点から見直す必要があると考えます。その観点から申し上げたいのが、子育て世帯への税制支援です。
今回の改正では、ひとり親控除を三十五万円から三十八万円へ引き上げるとされています。一人親家庭の厳しい状況を踏まえれば、支援を強化する方向は重要であり、理解するところであります。
その上で、日本の少子化は今や国家的課題であり、子供を育てることは社会全体にとっての投資でもあります。しかし、現実には、子育て世帯ほど負担が重い。だからこそ必要なのが年少扶養控除の復活であります。子育て世帯の可処分所得を直接増やし、安心して子供を育てられる環境をつくっていく、少子化対策としても極めて効果的な政策であります。
税制改正は、単なる財源調整ではありません。どの世代を支える社会をつくるのか、その価値判断でもあります。年少扶養控除の復活を強く求めたいと思います。
次に、設備投資促進税制について申し上げます。
今回の改正では、戦略分野への設備投資を促進するため、即時償却、税額控除、そして我が国民民主党の提案である三年間の繰越控除が盛り込まれました。設備投資促進の方向性、必要性は評価できます。
しかし、日本の雇用の七割を担っているのは中小企業です。地方ではなおさらであります。地方の製造業、建設業、運輸業、観光業、農林水産業。地域の経済の基盤は、こうした中小企業が支えています。
ところが、税額控除中心の制度は、利益を出している大企業ほど使いやすく、地方の中小企業ほど使いにくくなるという懸念があります。地方活性化を本気で進めるのであれば、即時償却の対象拡大、繰越控除期間の延長、手続の簡素化などを通じて、地域の企業が実際に使える制度に更にこれから進化をさせていく必要があると考えます。
特例公債法改正法案について申し上げます。
私たち国民民主党は、特例公債、すなわち赤字国債の発行そのものを否定する立場にはありません。現実の日本の財政において特例公債が重要な役割を果たしていることは事実であり、必要な財政運営の手段であることは理解をしています。
しかし、過去には、この特例公債法をめぐり政治対立が激化し、国債市場に不安が広がったこともありました。国債市場に不必要な混乱を与える政治は決してあってはなりません。
その上で、今回、私たちは、授権期間を五年ではなく一年とする議員立法を中道改革連合さんと提出をいたしました。
現在、日本を取り巻く環境はこれまでと大きく変わっています。円安、金利上昇リスク、国債市場の構造変化、こうした中で、債券市場が日本の財政運営を注視をしているという指摘もあります。だからこそ、赤字国債の発行を一年ごとに国会が確認する仕組みに戻すことが、むしろ、債券市場の信認を高めるのではないかと考えたからであります。
私たちの提案は赤字国債の発行を否定するものではなく、むしろ、財政運営の透明性と説明責任を高める提案であります。国債は、政治の都合ではなく、マーケットの信認によって支えられています。この現実を忘れてはなりません。赤字国債を発行する以上、政府は、市場と国民に対して、努力目標ではなくしっかりとした説明責任を果たすことが必要であり、要望をいたします。
この議員立法を審議する時間がなかったことは大変に残念であります。しかしながら、特例公債制度そのものは、現在の財政運営において必要な制度です。政争の具にしてはなりません。そのためにも、今回の特例公債法改正法案については賛成することといたしました。
私たちは、成長なき緊縮にも、また財政規律なきばらまきにも反対です。重要なのは成長と財政の両立です。教育、科学技術、スタートアップや地域産業、未来への投資によって名目GDPを成長させていく。その結果として税収を伸ばしていく。増税なき成長と持続可能な財政、これこそが日本の経済の歩むべき道だと考えます。
以上申し上げましたとおり、本税制改正には、前進すべき点と課題の双方があります。しかしながら、手取りを増やす、そして大胆な設備投資減税と、国民民主党が長らく訴えてきた政策が採用され、また日本を成長させていくことに寄与する必要な税制改正が盛り込まれたという観点から、本法案に賛成することといたしました。
今後も、対決より解決の姿勢で、国民生活を前に進める政策を提案していくことを申し上げまして、私の賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
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