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海蔵伸一 ·日本労働組合総連合会鹿児島県連合会会長

衆議院予算委員会(2026-03-09)での発言

第221回国会 ·第第8号号 ·2,997字
○海蔵伸一君 御指名をいただきました連合鹿児島、海蔵でございます。  本日は、このような場で私ども連合の意見を表明する機会をいただき、感謝を申し上げます。  連合は、働くことを軸とする安心社会の実現を目指しておりまして、本日は、働く者、生活者の立場から意見を申し述べたいと存じます。  初めに、二〇二六春季生活闘争について申し上げます。  連合は、この間、経済成長や企業業績の後追いではなく、人への投資を起点に経済の好循環を力強く回すことを目指す未来づくり春闘を推進しております。その観点で二六春闘は、日本の実質賃金を一%の上昇軌道に乗せ、賃金が持続的に上昇するという賃上げノルムを確立させる正念場との位置づけでございます。  これまでの賃上げ状況に触れますと、全体では二年連続で五%台の賃上げが実現しておりますが、労働者の七割とされる中小組合は四%台にとどまっておりまして、物価高を背景に、生活向上を実感している人は少数にとどまっているということでございます。  このような中、連合が三月五日に公表しました要求集計結果では、中小組合の要求水準が全体を上回っています。この勢いを回答につなげ、日本全体の賃上げの裾野を広げていく、何としても実現したいと考えているところでございます。  そのためには、中小企業における、賃上げ原資の確保に向けた適切な価格転嫁と適正取引の徹底が重要でございます。しかしながら、中小企業庁の調査では価格転嫁率はいまだ五割、労務費転嫁指針の認知度も六割にとどまっておりまして、労務費を含む適正な価格転嫁は道半ばと捉えております。  本年一月に施行いただいた取適法の周知徹底と、労務費転嫁指針の公共調達部門も含めた浸透などにより、サプライチェーン全体の強靱化と、そこで生み出した付加価値の適正配分に向けた、取引の適正化の実現を期待しているところでございます。  次に、公平、連帯、納得の税制改革の実現、とりわけ給付つき税額控除について申し上げます。  私どもは、二〇一一年に連合第三次税制改革基本大綱を策定して以降、消費税の逆進性対策、税による所得再配分機能の強化、就労支援のため、一貫して給付つき税額控除の仕組み構築を求めてまいっております。有識者の中には、制度設計次第で、時間をかけずに構築が可能との意見もございます。国民会議においては、そうした有識者の意見も踏まえながら、給付つき税額控除の仕組みの早期構築に向けた検討を要請申し上げます。  なお、給付つき税額控除構築までのつなぎとして、二年間に限り、食料品を消費税の対象から外す案があることは承知をしておりますが、期間を限定した消費税減税は、現場が混乱するだけでなく、減税期間終了後に消費税率を元に戻す際、再び物価が上昇し、実質賃金を押し下げるおそれや、飲食料品を消費税の対象としないということは、高所得者ほど減税の恩恵が大きいとの指摘がございます。給付つき税額控除構築までのつなぎとしては、消費税減税よりも真に支援を必要とする層への給付の方がふさわしいのではないかと考えるところでございます。国民会議での慎重な検討を求めたいと存じます。  次に、二〇二六年度予算案について申し上げます。  予算案には、燃料課税の当分の間税率廃止により地方の財政運営に支障を生じさせないための財政措置や、医療従事者の処遇改善のための診療報酬引上げなど、必要な歳出が盛り込まれていると承知をしております。  その一方、過去最大の税収を見込むにもかかわらず、二十九・六兆円もの新規国債発行を予定するなど、政府が予算策定時に掲げた、歳出構造の平時化に配慮した予算編成とは言い難いと考えておるところでございます。  また、昨年十二月に補正予算を編成したばかりであることや、会計検査院から、執行内容を十分考慮せずに積み増しされた基金があると指摘されていることを踏まえ、二〇二六年度予算案は、二〇二五年度補正予算と一体として考え、基金の積み増しを始め、その内容を精査し、必要な修正を行う必要があると考えております。  同時に、利払い費の膨張が政策経費を圧迫しつつあることを踏まえ、財政運営を中期的な視点から評価、監視する独立財政機関を設置し、財政規律の強化と歳出構造の見直しに取り組む必要があると存じます。  次に、医療、介護、保育など、社会保障サービスを担う人材の処遇改善について申し上げます。  厚生労働省の二〇二五年の賃上げ実態調査では、賃上げの改定額、率共に医療、福祉が最も低い結果となっています。  二〇二五年度補正予算による処遇改善策を着実に進めていただきますとともに、他産業との賃金格差の解消を目指し、物価上昇や賃上げの動向を十分に反映した予算措置をお願いしたいと存じます。二〇二六年度予算においては、医療、介護、保育などの分野が魅力ある職場となるよう、更なる処遇改善を求めます。  次に、働き方改革の見直しについて申し上げます。  働き方改革の出発点である二〇一七年の労使合意、これを基にした働き方改革関連法の目的は、過労死、過労自死ゼロの実現、多様な人材が活躍できる社会の構築でございます。この間、長時間労働の是正は一定進展しましたが、残念ながら、法施行後六年が経過しても、過労死などの労災請求件数が過去最多を記録しているように、働き方改革の実現にはほど遠い現状にあるのが実態でございます。  このように、いまだ長時間労働や過労死がなくなっていないことを踏まえれば、働き方改革に逆行する緩和ではなく、時間外労働の上限規制の強化を含め、労働時間規制の実効性を高めていくことこそが喫緊の課題と認識しております。  また、総理の施政方針演説や、一部の経済団体から拡充の声が上がっている裁量労働制については、厚生労働省調査でも長時間労働になりがちな実態が明らかになるなどの課題があることから、安易に拡充や要件緩和を行えば、長時間労働を助長しかねないと考えております。二〇二四年度改正を踏まえた本人同意、撤回手続、モニタリングの強化など適正運用の徹底こそが必要であり、対象業務の拡充や要件緩和は行うべきではないことを申し上げておきたいと存じます。  次に、教育について申し上げます。  教員が子供と向き合う時間を確保し、きめ細かな教育を行うには、教職員の配置増と処遇改善、部活動の地域展開、外部人材の活用を含めた負担軽減など、改正給特法を踏まえた取組を行い、学校の働き方改革を進める必要がございます。  現在、中学校三十五人学級の実現などを盛り込んだ義務標準法の改正案が衆議院に提出されていると承知しております。学校現場が混乱したり、子供たちが困ったりすることのないよう、年度内の成立を強く求めたいと存じます。  また、働き方改革の進捗状況の把握も不可欠です。政府は教育委員会を通じて時間外在校等時間を把握するとしておりますが、この調査は、持ち帰った業務の時間は含まれないなどの問題が指摘されています。実態を正確に把握できる教員勤務実態調査を速やかに行い、給特法を更に見直す必要がないか、検討をお願いいたします。  以上を申し述べ、意見陳述といたします。ありがとうございました。

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