○原田大二郎君 公明党の原田大二郎です。
私は、公明党が綱領の根本に掲げ、一貫して重んじてきた生命、生活、生存を最大に尊重する人間主義の立場から、会派を代表して、国民投票をめぐる諸課題と国民投票法改正案について意見を申し述べます。
憲法論議において何より重んじるべきは、立憲主義を政治の土台とし、権力の濫用を防ぎ、個人の尊厳と国民の権利を実効的に保障することです。日本国憲法の三原理である国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義は、将来にわたり堅持しなければなりません。
憲法改正の是非と内容を最終的に決するのは、主権者たる国民です。立法府の責務は、特定の結論へ誘導することではなく、投票権を有する全ての国民が実質的に参加し、十分かつ多様な情報に接し、自由な意思形成の下で判断できる環境を整えることにあります。
次に、今回の三項目案について申し上げます。
本案は、開票立会人の選任に係る規定の整備、投票立会人の選任要件の緩和、そして憲法改正案の広報放送へのFM放送の追加を内容とするものです。第一、第二の項目は、令和三年改正法附則第四条第一号に掲げられた検討課題に対応するものです。第三の項目は、令和四年の公職選挙法改正を国民投票法にも反映するものです。また、実質的に同内容の法案は、令和四年に公明党も共同提出しています。
これらは、憲法改正の具体的内容への賛否とは切り分けて判断できる、投開票事務の安全かつ円滑な実施と広報手段の確保に関する制度整備です。参議院においても、審議を尽くした上で、速やかに成立させるべきであると考えます。
同時に、本案の成立をもって国民投票制度の整備が完了するわけではありません。
令和三年改正法附則第四条第二号には、施行後三年を目途として、国民投票の公平及び公正を確保する観点から、広告放送及びインターネット等を利用した有料広告の制限、国民投票運動等の資金規制、インターネット等の適正な利用を確保する方策について検討し、必要な法制上の措置その他の措置を講ずることを求めています。
施行後三年を目途とする時期は既に経過しています。衆議院憲法審査会の附帯決議も、これらの課題について速やかに検討し、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるよう求めています。
この法定の検討結果、課題を次の段階として着実に進めていかなければなりません。その検討の出発点となるのは、表現の自由と国民の知る権利の保障です。国民投票運動は主権者の意思形成に直結する政治的表現であり、できる限り自由でなければなりません。特に、一般の国民による自由な意思表明と、有料広告の透明性や公平性を確保するためのルールは区別して論ずる必要があります。また、広告表現の内容を直接規制することと、広告主や資金、配信主体等の透明性を確保することも区別して検討すべきです。
公明党は、追加的な広告規制には慎重であり、政党等の広告主と放送事業者、プラットフォーム事業者による自主規制、自主ルールを基本とする立場です。同時に、自主ルールは、公表され、その履行状況が検証されて初めて実効性を持ちます。自主的な取組を中心に据えつつ、その実効性を確認し、表現の自由と投票の公平公正を両立させる具体的な制度設計を急ぐべきであります。
さらに、生成AIによるディープフェイクを含む偽情報、誤情報が短時間に拡散し、国民の自由な意思形成をゆがめる危険にも備えなければなりません。ただし、公権力が政治的主張の真偽を一元的に判定し、削除を命ずるような仕組みには極めて慎重であるべきです。
まず検討すべきは、プラットフォーム事業者等の自主的な取組として、AIによって生成、加工された情報であることの表示、様々な成り済ましへの対応、正確な一次資料に容易に到達できる動線などを整えることです。
また、今般成立した公職選挙法及び情報流通プラットフォーム対処法のインターネット偽情報対策を踏まえ、国民投票における同様の公正確保策についても速やかに検討を進めるべきと考えます。
国民投票広報協議会は、憲法改正の発議後に設置されます。現行法は、憲法改正案の条文、要旨、新旧対照表その他の参考事項を分かりやすく説明し、客観的かつ中立的に広報することを協議会に求めています。協議会は、こうした客観的に確認できる公的事実を迅速に発信する中核となるべきです。
一方で、賛否の政治的主張や価値判断の審議を裁定する機関となってはなりません。民間のファクトチェック機関等との関係についても、協議会が政治的主張の真偽判定を委ねるのではなく、検証の基礎となる一次資料を迅速に公開し、透明な基準に基づく事実照会の窓口を整えることが適切です。
発議後、協議会が直ちに機能できるよう、両院の憲法審査会事務局等は今から具体的な運用設計と事務的準備を進めるべきです。あわせて、主権者教育とメディア情報リテラシーの推進も必要です。
憲法論議は、改正ありきでも反対ありきでもありません。また、対立をあおり、国民の分断を深めるものであってはなりません。主権者が賛否のいずれの立場からも十分に熟議し、納得して判断できる共通の基盤を築くことが国会の責務です。
公明党は、国民の理解と納得を第一に、開かれた建設的な合意形成に全力を尽くすことを申し上げ、意見表明といたします。
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