○打越さく良君 私は、ただいま議題となっております刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対し、立憲民主・無所属及び公明党を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。
その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
これより、その趣旨について御説明申し上げます。
罪を犯していない人が処罰されることはあってはならず、仮に犯人でない人を有罪とする確定判決があれば、速やかに是正するなどして救済する必要がありますが、近時において、一部の再審無罪事件で再審の請求から再審無罪判決の確定までに相当な期間を要し、再審請求者等に大きな負担を生じることになっています。この要因として、捜査機関による裁判所不提出証拠の開示や提出までに多くの時間を要している、再審開始の決定に対する検察官の機械的、画一的な不服申立てにより再審の手続が長期化している、再審請求審の手続に関する規定が乏しく、裁判所の裁量に委ねられている部分が多いことから、再審請求者等に対する手続保障が十分ではないといった指摘がなされています。
政府は、今般、本法律案を提出しましたが、かかる法案では根本的な解決には到底及びません。
政府原案には、裁判所不提出証拠の内容や量について再審請求者や弁護人が知り得る方法がなく、また、裁判所不提出証拠を直接開示する制度がないため、無罪につながる可能性がある証拠を再審請求者や弁護人が手に取れません。これまでの再審無罪事件においては、裁判所不提出証拠の中に無罪につながる証拠が存在している可能性が高いことを考えれば、これでは冤罪被害者の救済にはつながりません。
政府原案では、審判開始の決定をした裁判所が検察官に対して証拠の提出を命ずることができる制度が創設されますが、再審請求理由との関連性、証拠を提出させることの必要性や相当性を要件としているため、提出される証拠の範囲が狭まり、再審請求者や弁護人が真に必要とする証拠が裁判所に提出されないことが大いに想定されます。
政府原案は、証拠の複製等の目的外使用の禁止とこれに係る罰則規定を新設していますが、支援者や報道機関に対する証拠の複製等の交付が目的外使用に当たる可能性を危惧して萎縮効果が生じ、支援者等による証拠の複製等の共有が困難となってしまいます。これまでの再審無罪事件において支援者等による実験実施の結果から再審無罪判決につながった事例がありましたが、その道も閉ざすことになります。
政府原案では、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てを原則として禁止していますが、例外的に不服申立てをすることができる抜け道を残しています。これでは原則と例外が逆転する可能性が否定できず、不服申立ての理由等を公表する規定を設け、慎重かつ限定的な適用を担保していると答弁していますが、冤罪被害者の迅速な救済を妨げることにほかなりません。
今後の課題として、捜査機関が作成した書類や収集した証拠物はどのような内容のものか、量はどの程度あるかなど、その全貌を明らかにするとともに、これまでの捜査機関による証拠のずさんな保管、管理を改め、その在り方を十分に検討する必要があると考えます。
以下、修正案の概要について御説明申し上げます。
第一は、審判開始の決定をした裁判所は、必要があると認めるときは、検察官に対してその保管する証拠の一覧表を再審請求者又は弁護人に提供することを命ずることができる規定を追加することとしております。
第二は、審判開始の決定をした裁判所は、検察官が保管する証拠について、再審請求理由との関連性を要せず、再審の請求についての裁判をするために提出を受けることの必要性の程度並びにその提出を受けた場合に生じるおそれのある弊害の内容とその程度を考慮し、相当と認めるときに、職権によって、検察官に対し、証拠の提出を命ずること及び再審請求者又は弁護人に対する証拠の開示を命ずることができる規定を追加することとしております。なお、証拠の開示命令をすることができる規定については、裁判所において開示の時期若しくは方法を指定し、又は開示の条件を付することができることとしております。
第三は、証拠の複製等の目的外使用の禁止及びこれに係る罰則規定を削除することとしていること及び裁判所が審判開始の決定をした後に検察官から提出を受けた証拠を弁護人に謄写させる場合に、その証拠の複製等の使用目的を制限し、その他適当と認める条件を付することができることとしております。
第四は、再審開始の決定に対する検察官の不服申立てを全面的に禁止することとしております。
第五は、政府において、この法律の施行後一年を目途として、捜査機関が作成した書類及び収集した証拠物の目録の作成並びに証拠の適正な保管の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の規定を追加することとしております。
以上が修正案の趣旨であります。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
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