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三原岳 ·株式会社ニッセイ基礎研究所上席研究員

参議院予算委員会公聴会(2026-03-24)での発言

第221回国会 ·第第1号号 ·6,447字
○公述人(三原岳君) おはようございます。ニッセイ基礎研究所の三原です。  今日は、私の方から二〇二六年度の当初予算案の社会保障関係費に関して、あるいは今後の見直し論議について、十五分ほどお時間いただきたいと思っております。よろしくお願いします。  今日の内容ですけれども、資料に沿って説明させていただきます。  今日、内容を三つ考えてきました。一つは、医療、介護、福祉、障害福祉を中心ですけれども、事業所への支援策、二つ目が国と自治体の関係、三つ目が財源対策になります。  一枚おめくりください。  支援策に関しては、医療、介護、障害福祉事業所の経営難というのが今非常に盛んに言われているわけですけれども、これを売上げと経費と少し要素分解してみました。  まず、売上げの面に関して見ると、医療、介護、障害福祉事業所というのは、診療報酬、介護報酬、障害報酬、つまり公定価格でコントロールされていますので、その分だけどうしても民間の物価上昇に対応できない面があります。  売上げの方が回数、報酬、売上げというのは基本的に回数と報酬で私は分けられると思うんですけれども、回数に関しては人口減少の影響で患者、利用者が減っている。あるいは、医療関係従事者皆さん聞いていると、新型コロナウイルスの後、患者が帰ってこないという話はよく聞きます。実際、データもそういうデータが出ています。そうすると、どうしても回数は減っていく。  プライスの方、価格の方を見てみると、物価上昇のスピードに対応していない報酬の引上げ幅、デフレ脱却というのは大変すばらしいことだと思うんですけど、どうしても公定価格だとタイムラグが生じます。  それから、賃上げに限定されている報酬引上げの方法、これはこの後述べたいと思うんですけど、ベースアップ評価料という形で賃上げに限定されていますので、医療、介護、障害福祉事業所としては他の使途に使えないというデメリットもあります。それから、二〇二四年度改定で訪問介護の基本報酬を引き下げるという不可解な決定がありましたので、この影響も当然あるという話です。  一方、経費を見てみますと、物価上昇による物件費、委託費の増加、それから他の産業の賃上げの影響、これは大変望ましいことなわけですけど、医療、介護、障害福祉事業所としてはじわじわ影響が出ていると。それから、一部の大病院に関しては医師の働き方改革で経費が増えている、こういうことがあるのかなという気がします。  こういう形で要素分解すると、目先の問題として解決しなきゃいけないことと中長期的に対応しなきゃいけないことというのは整理できるのかなという気がします。  一方で、支援策見てみますと、二〇二五年度補正予算で医療、介護、福祉、医療・介護等支援パッケージと銘打って一・三兆円の予算が計上されたほか、去年の年末に決まった二〇二六年度当初予算では、診療報酬、介護報酬ということで、診療報酬は三十年ぶりの高水準、本体価格、本体改定ですね。それから、介護、障害報酬も期中改定ということで前倒しで改定されました。補正予算を引き継ぐような形で改定、報酬が引き上げられたわけです。  四ページ目ですけれども、この二〇二六年診療報酬改定の内訳を見てみますと、こういう形でミシン目が入ることが非常に多いです。賃上げ、例えば賃上げ一・七%、物価対応〇・七六%等々です。これは、こうやってそのミシン目を入れることのメリット、デメリットというのは両方あるんだろうなという気がしています。  メリットとしては、納税者、被保険者からすれば、確実に財源が賃上げあるいは物価対応に振り向けられるわけですから、変なところに予算が使われないというメリットはあります。  一方で、加算で縛るデメリットというのもあって、やっぱり手続が、厚生局とかに、厚生労働省や都道府県に書類を提出しなきゃいけませんので、手続が煩雑であると。あとは、物価上昇等、今経済情勢変わっている状況ですから、官僚統制で使途を縛るということは経済社会情勢に対応できない面が出てきます。さらに、制度の予見可能性が低い。あるいは、制度が複雑になって、もうベースアップ評価料というのは本当に複雑な仕組みです。これ、民主的統制が妨げられる、立法府も含めた民主的統制が妨げられる、この辺りはデメリットかなという気がします。  メリット、デメリット両方ありますので、この辺はちょっと利害得失を一回整理して今後の対応を考えていく必要があるのかなという気がしています。特に、今回、ベースアップ評価料を取らないと減算のような話も入っていますので、この辺り一回立ち止まって議論してもいいのかなという気がしています。  例えば、加算で縛るメリットというのは使途が明確になるということなわけですから、これは、例えば加算のところを少し減らして、その分、医療、介護、障害福祉事業所の経営ガバナンスを強化して経営の透明性を高めるといった方法もあるんじゃないのかなという気がします。これが一つ目の論点です。  二つ目の論点として、地域の実情に応じた体制整備というところがあります。  これは、厚生労働省が最近、医療、介護、福祉の審議会の報告でこの文言を多用しています。この文言自体は私は非常に大事なことだと思います。医療行政は都道府県、介護・福祉行政は専ら市町村がやっているわけですから、当然、しかも人口が、三大都市圏は人口がまだ、高齢者人口が増えていきますけれども、既に高齢者人口さえ減っている地域もあると思います。そうなると、人口動態がこれだけ違うわけですから、国一律で政策を誘導するだけでは困難になる。  だから、医療行政は都道府県、介護、福祉は市町村が主体的に国の制度をうまく使いながら、あるいは医師会や医療機関の経営者、介護事業所と連携しながら体制整備をしていくというのは、これはこれで必要なことだと私は思っています。  具体的には、一枚おめくりいただいて、この辺りは制度改正、過去の制度改正なので余り細かく説明しませんが、二〇二五年の臨時国会で医療法が改正され、医療提供体制改革を二〇四〇年を見据えてやっていこうと。  二〇四〇年というのは、御案内のとおり、生産年齢人口が激減し、あるいは八十五歳以上の高齢者がどんと増えるタイミングですので、そのタイミングに向けて都道府県が主体的に医療提供体制を構築してくださいというのが今回の二〇二五年の臨時国会での法改正かなと思っています。これは今後、今ガイドラインの検討が厚生労働省で進んでいますけど、今後、都道府県が新たな地域医療構想あるいは医師偏在是正をやっていくということになると理解しています。  これは、今度、今年の特別国会で法改正が想定されているのが七ページ目です。  二〇四〇年の検討会の最終とりまとめということで厚生労働省の概要資料を引っ張ってきましたけれども、介護に関しても二〇四〇年をターゲットにした制度改正をしていこうと。地域を三つに分けて、中山間・人口減少区域について少し仕組みを違う、制度を違う形にしていこうというのがメッセージだと理解しています。これは特別国会で法改正がされるので、いずれ立法府の方でも検討されると思うんですけれども、少しそれを整理したのが八ページ目になります。  つまり、介護保険の考え方と二〇四〇年に向けた中山間・人口減少地域での考え方というのを簡単に整理しますと、全ては説明できませんけれども、例えば提供体制の考え方という点で見てみますと、介護保険の方は営利法人を含めて民間事業者が競争する、対等な関係性によって契約を結ぶという、これは専門用語では準市場といいますけど、計画経済と市場経済のハイブリッドの考え方ですね、これが採用されています。  一方で、二〇四〇年というのは、もう競争しようにも民間事業者が撤退している、あるいは競争して体力を消費しても仕方がないので協働化していく、あるいは場合によってはもう自治体、非営利セクターが提供していくということで、随分考え方が変わっていくんだろうと思います。私は、元々の措置に近い、介護保険ができる前の措置に近い仕組みになるんだろうという気がしています。行政のコントロールが強くなるということですね。  それから、財源に関しても、介護保険給付、介護保険はもちろん保険料を主な財源とした介護保険給付で、この中山間・人口減少地域もそこは大きくは変わらないわけですけど、基本的には事業でやる、予算の上限を設定してやっていくということになるんだと思います。場合によっては、市町村だけじゃなくて都道府県が補完していくということになっていくと、もう今までの介護保険の制度とちょっと、かなりジャンプする仕組みなんだろうという気がします。  報告書を見ると、あるいは介護保険部会の意見書を読むと、論理的かつ合理的なことを書いてあると私は思いました。思ったんですけれども、ちょっとジャンプ、余りにもジャンプの幅が大きいので、これは果たして現場市町村、現場が運用できるかなというのはちょっと不安を覚えているところです。なので、例えばモデル事業で一回ちょっと試行してみるとか、手挙げ方式なので自治体が手を挙げたところにやっていくと思うんですけれども、自治体現場での変化というのはもう少し見極めた方がいいのかなという気がしています。  それから、九ページ目ですけれども、地域の実情に応じた体制整備ということで厚生労働省は様々な都道府県支援、市町村支援をしています。この十年間、手引とかガイドライン、それから事例集というのが相当できました。  これは、十年間の変化として私は大変望ましいことだと思っているんですけれども、実は厚生労働省の老健事業を使って藤田医科大学のプログラムで市町村支援に私も少し関わらせていただいているんですけれども、これ、今までのやり方と少し変える必要があるのではないのかなといつも思っています。  今までの厚生労働省の市町村、自治体支援のプログラムというのは、国が制度、行政説明をして、それに関わる事例が紹介され、場合によってはパネルディスカッション、グループワークという流れです。これはこれで非常に大事なことなんですけど、これ、企業経営でいうとプロダクトオリエンテッドですよね、国の考えていることを押し出していくというマーケティング手法だと思います。  これは大変重要なことだと思うんですけれども、これだけで地域の実情に応じた体制整備ができるのかと言われると、私はちょっと疑問です。なぜかというと、好事例の横展開をベースにしているからです。ところが、それぞれの好事例というのは、見てみると、市町村の担当者あるいは医療、介護、福祉事業者が試行錯誤の末につくっているわけです。そのプロセスこそに意味があるので、結果の何かスキーム図だけまねして、それを横に展開するというのはうまくいくか。うまくいかない方が私は多いんだろうという気がします。  厚生労働省さんが今やられているやり方というのは、基本的に好事例の横展開をベースにしていると思います。これはもちろんこれで大事なので否定はしないんですけれども、もう少しその伴走支援というのは考えていった方がいいのかなという気がしています。これは、伴走支援というのも何か言葉だけはきれいですけれども、もう少し国、都道府県、市町村、それから地元の大学、あるいは私たちのようなシンクタンク、コンサルタント業界が何をするのかというのは、もう少し解像度高い議論が必要なのかなと思っているところであります。  では、残りの四分ぐらいで財源対策の話をしたいと思います。  二〇二六年度当初予算案の社会保障関係費というのは、制度改革、効率化ということで高齢化の範囲内に予算を抑えると。目安対応を継続し、経済・物価動向を別枠で計上するという形にしてあります。なので、一千五百億円ぐらい国費ベースで社会保障費を削り、経済・物価対応として二千五、六百億円ぐらいですか、予算を積み増したと。ここには診療報酬、介護報酬が入っています。非常にへこませながら増やすという分かりにくい対応になっているんですけれども、これはもうインフレの、デフレからインフレに変わってきていますから、私はやむを得ないことなのかなと思っています。  財源対策のところで見てみますと、高額療養費の見直し、去年、通常国会でもめた話ですけれども、再検討の結果、三百億円程度が国費ベースで減少が予定されています。それから、長期収載品の選定療養の拡大ということで百億円やっています。さらに、自民党と維新の連立合意に基づいてOTC類似薬の見直しというものが入っていますね、今回は。二六年度予算には入っていませんけど、二七年度以降恐らく給付費ベースの削減幅が、削減が反映されるんだと思います。法改正も今年の特別国会で想定されていると聞いています。  今まで、今やっている政策というのは、患者負担に関してですけれども、保険外併用療養費制度を使って特別な料金を課すという形になってきています。これはこれで別に私は大事なことだと思うんですけれども、一方で、インクリメンタルに、漸増主義的に制度改正を積み重ねた結果、積み重ねてもいいのかなという気がしています。  これ、二〇〇二年改正健康保険法附則第二条、これは小泉政権のときにできた健康保険法の附則ですけれども、ここで、将来にわたり百分の七十、つまり三割負担を維持するという規定が入っています。これ、余り特別な料金がどんどんどんどん増えていくと三割負担のところの整合性が付かなくなってきますので、ここも目先の制度改正だけじゃなくて、一回ちょっと立ち止まって患者負担の在り方というのは考えてもいいのかなという気がしています。  方向性としては、所得の高いところから負担を課すというところと、高齢者に、世代に、年齢にこだわらず負担を求めるということと、あとはリスクの低いところから少しずつその公的保険のウエートを減らしていくみたいなところが方向性としては一致できるところなのかなという気がしています。こういうちょっと大きな議論も一回やった方がいいのかなと思っているところであります。  では、残り二分ぐらいで最後の問題、給付付き税額控除と消費税の話をしたいと思います。  ここは必ずしも私の専門領域ではありませんけれども、給付付き税額控除に関して見てみますと、かなり以前から議論されています。私は、消費税の軽減税率を入れたときからもうこの話はどこかで入れておいた方がいいと思っていたんですけれども、せっかくこういう機会ですので、是非導入の目的を明確にした上で、入れることが目的ではありませんので、導入の目的を明確にした上で、超党派でせっかくの機会ですから合意していただければなと思っております。  それから、消費税の飲食料品ゼロ%に関しても、国民の租税抵抗、これ財政学の言葉なんですけれども、国民が痛税感を嫌がるので、社会保障と消費税のリンクを、リンク付けるというのが元々の制度ができたときから意識されていて、特に二〇一三年の社会保障・税一体改革では増収分の使途を社会保障に充当するということが決まっていますので、これ仮に消費税の飲食料品のところをゼロ%にするんだったら、五兆円の財源をどう確保するのか、代替財源どう確保するのか、過去との整合性というのは整理しないといけないのかなと思っているところであります。  済みません、拙い話でしたが、以上です。  御清聴ありがとうございました。

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