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茂木敏充 ·自由民主党・無所属の会 ·外務大臣

衆議院外務委員会(2026-10-21)での発言

第222回国会 ·第第1号号 ·4,677字
○茂木国務大臣 おはようございます。外務大臣の茂木敏充です。  外務委員会の開催に当たり、山田委員長、理事、委員各位に御挨拶申し上げるとともに、外交政策について所信を申し述べます。  まず、十月三日に沖縄県で発生した強盗殺人事件について、お亡くなりになられた方に哀悼の誠をささげるとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。今回の事件は、地元の方々に大きな不安を与えるものであり、極めて遺憾です。事件直後に、私から米側に強く抗議するとともに、捜査への全面的な協力、米軍人等の綱紀粛正及び事件の再発防止の徹底を強く求めました。  こうしたやり取りも踏まえ、逮捕から二日後に、沖縄に駐留する全ての米軍人を対象とした三十日間の夜間外出禁止などの措置が発表されました。さらに、こうした事件の発生を防止するために、いかに実効性のある措置を取っていくかについて、現在、日米間で協議を進めているところであり、引き続き対応に万全を期してまいります。  世界は今、パワーバランスの変化や紛争、対立の激化、急速な技術革新を受け、戦後最も大きな構造的変化の中にあります。我が国を取り巻く安全保障環境も加速度的に厳しさを増しています。  インド太平洋では、中国、北朝鮮の軍事力の増強、中ロ、ロ朝の連携強化が見られ、ウクライナ侵略や中東での紛争は世界中に影響を与えています。また、AIや無人システムなどの技術革新が、各国の安全保障の在り方を左右する大きな要素となっています。  こうした中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化していくことは、我が国を含む国際社会の平和と安定にとって重要です。このための取組を一層推し進め、包容力と力強さを兼ね備えた外交を展開してまいります。  我が国は、国際社会における法の支配の徹底を一貫して重視し、その役割を担うICJ、ICC、ITLOS等の国際裁判所を支持しています。こうした国際裁判所の活動を様々な形で支えるとともに、我が国の国際裁判への対応能力を強化します。また、各地での紛争、対立の激化を踏まえ、和平調停を含む紛争の平和的解決に、より積極的な役割を果たしてまいります。  日米同盟は、我が国の外交、安全保障政策の基軸であり、インド太平洋地域の平和と繁栄の礎です。日米間で一層緊密に意思疎通を行い、日米同盟を新たな高みに引き上げ、抑止力、対処力を強化してまいります。  また、経済面での日米協力は同盟強化に不可欠です。関税に係る日米間の合意を着実に実施をし、対米投資を含む双方の利益となる協力を促進し、先端技術等の幅広い分野で協力を強化してまいります。さらに、日米間の重層的な人的交流も一層強化していきます。  加えて、在日米軍の態勢の一層の最適化に向けた取組を進めるとともに、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古移設を進めるなど、沖縄を始めとする地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くしてまいります。  進化した自由で開かれたインド太平洋、FOIPの下、具体的な協力を通じて、地域の国々の自律性、強靱性を高め、地域全体として共に強く豊かになることを目指します。  G7、ASEAN、豪州、インド、EU、NATOなどとの協力関係を更に強化し、日米韓、日米豪印を始めとする、実践的かつ多面的な協力を広げてまいります。  また、同盟国、同志国とのネットワークを重層的に構築し、抑止力を強化する観点から、防衛装備品の共同開発や移転、OSA、政府安全保障能力強化支援を始めとする安全保障分野での協力を更に進めていく考えです。  我が国を取り巻く安全保障環境が加速度的に厳しさを増す中、年末に向けて、国家安全保障戦略を始めとする三文書の改定に取り組んでいきます。  サイバー安全保障やインテリジェンス機能の強化を推進し、認知戦への対応も含め、AI等の新興技術も活用した情報収集、分析や戦略的対外発信を進めつつ、サイバー攻撃に対応した情報セキュリティー基盤の構築、強化に取り組んでまいります。  さらに、戦略的な科学技術外交を推進してまいります。特殊詐欺等の国際組織犯罪対策やテロ対策における国際協力も推進します。  また、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けて、関係省庁と連携しながら、引き続き適切な役割を果たしてまいります。  近隣諸国とは、難しい課題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いてまいります。  まず、中国は重要な隣国です。課題がある中でも、課題解決に向けた対応や両国関係を管理するための長年の努力の積み重ねを踏まえつつ、戦略的互恵関係を包括的に推進するとの方針は一貫しています。  現在、日中関係は厳しい状況にありますが、日本と中国が地域の平和と安定に大きな責任を担っていることは間違いない事実です。  その上で、中国との間には、尖閣諸島情勢を含む東シナ海や南シナ海における力又は威圧による一方的な現状変更の試み、我が国周辺での一連の軍事活動、日本企業等に対する恣意的な輸出規制、邦人の安全、人権上の懸念などを含め、数多くの懸案や課題が存在しています。台湾海峡の平和と安定も重要です。  懸念や課題があるからこそ、日中間の様々なレベルで意思疎通を図ることが重要です。国益を守るための対話を進め、建設的かつ安定的な関係を構築してまいります。  韓国は、国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国です。戦略的重要性が一層高まる日韓関係を未来志向で安定的に発展させるため、シャトル外交を始め、韓国側との意思疎通や協力を深めてまいります。  竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応していきます。  北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できません。米国、韓国を始めとする国際社会と協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行に向けた取組を進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めてまいります。また、ロ朝の軍事協力は、ウクライナ情勢のみならず、我が国周辺地域の安全保障に与える影響の観点からも、深刻に懸念すべき動向です。  北朝鮮との間では、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を実現するとの方針に変わりはありません。  中でも、拉致問題は現在進行形の人道問題であり、一刻も早い解決に向け、あらゆる選択肢を排除せず、全力で取り組んでまいります。  日ロ関係は引き続き厳しい状況にありますが、北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するとの日本政府の方針に変わりはありません。日ロ間には隣国として解決すべき諸懸案が山積しており、二国間関係を適切にマネージしていくことが重要です。何が日本の国益に資するかという観点から、引き続き適切に対応してまいります。  特に、御高齢となられた元島民の皆さんの切実な思いを踏まえ、ロシア側に対して北方墓参の再開を粘り強く求めていきます。  イラン情勢については、事態の早期沈静化、安定化を図るとともに、ホルムズ海峡において、従来どおり、いかなる追加的費用もない形で、全ての船舶が自由で安全に航行できることを極めて重視しています。そして、紅海及びバブエルマンデブ海峡の安全確保も重要です。  そのため、私自身、あらゆる外交努力を継続しており、当事国や湾岸諸国、仲介国等と会談を重ねてきました。中東地域の平和と安定に向け、引き続き国際社会と緊密に連携してまいります。  中東和平については、イスラエル、パレスチナの二国家解決を一貫して支持しており、引き続き積極的な役割を果たしていきます。  ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。一日も早く公正かつ永続的な平和を実現するため、G7を始めとした各国と連携し、ウクライナ支援と対ロ制裁を継続していきます。  国際社会で発言力を強めるグローバルサウスの国々との連携の重要性が増しています。各国のニーズも踏まえて、ODA、OSAを戦略的に活用するとともに、民間投資を促進し、安全保障や経済安全保障等の重要課題にも対応してまいります。  来年開催する予定の第十一回太平洋・島サミット等を通じ、太平洋島嶼国・地域との連携の更なる深化を目指します。地政学的要衝に位置する中央アジア・コーカサス地域との協力にも取り組んでまいります。  資源エネルギー分野等で潜在力を有する中南米諸国との間では、経済、経済安全保障分野等における協力を強化してまいります。成長著しいアフリカとは、来年開催する予定のTICAD閣僚会議等を活用しながら、協力を深めてまいります。  経済外交においては、日本の技術力、課題解決力を生かした日本企業の海外展開を外交面で後押しをし、新規市場の開拓やイノベーションの創出に貢献してまいります。  ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序の維持強化も重要です。今国会には、日・バングラデシュ経済連携協定を提出したところです。CPTPPについては、その高い水準を維持しつつ、戦略的に拡大していきます。また、日・メルコスールを始めとするEPAについて、日本の国益を守り、相互に利益となる協定の実現に向けて交渉に臨んでまいります。さらに、WTO改革や、安全、安心で信頼できるAIエコシステムの共創に取り組んでまいります。  経済安全保障も、外交上極めて重要な課題となっています。同盟国、同志国と連携しつつ、エネルギー、食料の安定的な確保、重要鉱物を含むサプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応、重要・新興技術の開発促進、保全等に引き続き取り組んでまいります。この中で、エネルギーについては、我が国が主導するパワー・アジアやAZECの枠組みでの協力等を通じて、エネルギー安全保障の確保に向けてリーダーシップを発揮してまいります。  二〇二七年国際園芸博覧会の成功に向けた準備を進め、日本の知見や優れた技術を国際社会にアピールし、ビジネス拡大や交流強化につなげることを目指します。  今年は、日本が国連に加盟して七十周年です。この節目の年に、日本の多国間主義への確固たるコミットメントを世界に発信していきます。また、国際社会の諸課題に対応するため、安保理改革を含む国連改革、日本らしい人権外交や女性・平和・安全保障、いわゆるWPSを更に推進してまいります。国際機関における邦人職員の活躍も一層後押しします。  人道危機や地球規模課題の解決には、多国間での連携が不可欠です。人間の安全保障の理念の下、SDGsの着実な実施を推進してまいります。  昨今、核軍縮をめぐる情勢が一層厳しく複雑になっている中、NPT体制を維持強化し、核兵器のない世界に向けた現実的で実践的な取組を進めてまいります。  これらの外交政策を力強く推進し、海外での邦人保護や緊急事態対応にも万全を期すため、外務省の組織、人的体制の強化や在外公館施設の強靱化等を通じ、外交・領事実施体制を抜本的に強化してまいります。  以上、我が国が直面する諸課題及び取組について所信を申し述べました。  委員各位、そして国民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

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