○花嶋参考人 大阪産業大学の花嶋温子と申します。
今までは、自治体の廃棄物処理計画ですとか、市民の環境力を上げることによってごみ問題を根本的に解決していこうというようなことについて、研究してまいりました。ですから、私が接してきたのは、地方自治体の御担当の方々とか活躍する市民の方々、その間をつなぐNPOですとかちいちゃな企業の方々、そういう方々と関わってまいりました。
今回のお話も、私の立ち位置は、そういう方々の方に多分偏っていると思います。さらに、大都市東京ではなく、大阪を始めとする西日本の小さな都市、小さな自治体との関わりが大きかったので、そのような立場からの意見を申し上げたいと思っております。
今回の法律は、日本のリサイクルを一段ジャンプさせて向上させるためには必要なことだと思っています。また、その際に温室効果ガスの削減を目指しているということも、今の日本にとって重要なことだと感じています。
全体として、この法案の目指す方向が日本の進むべき道であるということは私も思っております。しかし、実際にその方向に進む中で、市民ですとか行政の担当者、そして小さな事業者、それぞれの立場からすると、少し課題があるのではないかと思います。当事者ではありませんが、当事者の立場を想像しながら意見を述べていきます。
市民の立場から二つ、地元の小さな自治体の担当者の立場から二つ、そして小さな事業者の立場から二つ、六つ意見を申し述べます。
まず第一点に、市民の立場からの一つ目の課題です。
リサイクルするからいいんじゃないかという使い捨てを肯定するような風潮が生まれてしまうのではないかという懸念です。
もちろん、ほかの法律によって担保されているとはいえ、今回の法律は、リサイクルの高度化に焦点を当てた法律です。この法案の施行により、リサイクル量もリサイクル率も上がっていくと思います。そして、市民の皆さんに対して、リサイクルの重要性をPRすることも行われるのではないかと思います。そのときに、リサイクルするのは大切なんだけれども、その前に資源は有限なので大切に節約して使わなきゃいけないということを必ず伝えていただきたいのです。
3Rの優先順位、言うまでもありませんが、リデュース、リユース、リサイクルで、一番にリデュースをしていかなければいけない。リサイクルの重要性を強調することによって、どうしても、やはりリサイクルすることがいいことだ、リサイクルすればいいんだというふうに伝わってしまう危険性があります。
高度再資源化を実施する企業というのは、時代の最先端を行く企業として、もてはやされるのではないかと思っております。是非、リサイクルの重要性とともに、資源の有限性や、リサイクルするから消費してもいいのではないということを常にPRに加えていただきたいなと思います。
市民の立場からの二点目です。
再資源化施設周辺の住民の要望が、施設側に十分に伝わるのかどうかという懸念です。
国の認定による高度化した再資源化施設は、多分、東京の都心ではなく、どこか地方に建設される、あるいは、地方にある施設に今よりたくさんの資源物が運び込まれるということになるのではないでしょうか。
そのときに、国の認定した高度な技術を持つ施設に対して、周辺の住民の要望がちゃんと伝わるのでしょうか。施設から発する微量物質からのにおいの問題だったり、搬入車両からの排ガスの話や騒音の話、通学時間帯を避けてほしいというような環境に関する課題、あるいは地域の人材を雇ってほしいとか、事業内容に関する説明会や見学会を実施してほしいというような要望が出てくるかもしれません。周辺住民の御意見を再資源化施設にきちんとつなげるチャンネルを、是非制度的につくっていただきたいなと思っております。
次に、地方の行政の立場から考えると、また二つほど懸念があります。
一つは、高度再資源化事業あるいは高度分離・回収事業の監視は誰がやるのか、人材が足りるのかということです。
今回の法案による高度再資源化事業や高度分離・回収事業に認定されると、これまでそれぞれの地方自治体の所管であった業の許可や施設の許可が不要になります。しかしながら、廃棄物処理業者とみなすという規定があるので、事業開始後に廃棄物処理法の基準に適合しているかは、所管の自治体が行うことになるのではないでしょうか。
審査も行っていない施設の監視役を急にやることになった自治体が、元々職員の数が少ない小さな規模の自治体であったらどうなるのでしょうか。また、今までに施設の設置許可を取り扱ったことのない自治体が、いきなり監視役をすることになって、できるのでしょうか。実際に、これまで一度も施設の設置許可の案件を取り扱ったことのない中核市もあります。また、行政の職員は四年ほどで人事異動があり、基礎自治体の場合は、必ずしも廃棄物に関する知識が豊富だとは限りません。
国に認定された高度な再資源化施設であっても、施設の運転に疑問が生じた場合に、廃棄物処理法に基づく立入検査をするのは地元の所管自治体となるのではないでしょうか。
小さな自治体の場合には、その点について国によるサポートも必要でしょうし、大きな自治体であっても、認定時の情報が十分に伝わっていなければ対応できないと思いますので、認定に関する十分な情報提供をお願いしたいと思います。
最後にもう一つ、地方の行政担当者の立場に立って、課題を、懸念を申し上げます。
これまでの廃棄物処理法の収集、運搬、処分、維持管理などの基準を活用して蓄積された知見を大切にすることが、実は今後の安全につながるのではないかということです。
高度再資源化事業や高度分離・回収事業などの国による認定というのは、イメージとして、大きな企業や団体がしっかりとした組織と計画に基づいて進める事業で、そのような場合には国が迅速に認定を進めるというように理解しています。
健全な事業者が最新技術を持って取り組むのだから、うまくいくんじゃないかと思ってしまいがちです。しかし、昨今の廃棄物処理関連の事件を見ていると、悪意はないんだけれども、不適正処理や、有害物が混入したりとか、火災が発生したりとかいうことが発生しています。いずれも、廃棄物処理法の処理や設備の基準を十分に守っていれば防げたように思えるものです。これまでに蓄積されてきた廃棄物処理法の業の許可や、施設の許可に係る基準をしっかり大切にした上での認定というのをお願いしたいと思っています。
最後に、地方の小さな事業者と働く人の視点から二つ。
一つ目は、強い企業がより強くなって、弱い企業は置いてきぼりという状況にならないようにしていただきたい。トップランナーを育てることは重要ですけれども、それだけでなく、地域密着型の中間層の事業者を強くすることを意識していただきたいです。多分、それが資料にあった紙おむつのリサイクルなどの、地域での官民連携というイメージなんだと思います。
申請書を書くのが得意な大企業だけではなくて、地域での実績を基に、むしろその企業のやってきたことを吸い上げるようなイメージで、これからの循環をつくっていただきたい。今までやってきた、小さな企業や地域としてつくり上げてきた仕組みを力づけていただくと、ほかの地域にも展開することができるのではないかと思っています。
最後も、地方の事業者と働く人の立場からなんですけれども、働く場所をつくっていただくことをお願いしたいです。
都会のごみを地方に持っていって、都会の大きな企業が利益を上げて帰っていくというような構造にならないように、むしろ、再資源化のための施設が地元の資産になり、長く根づいて、地元雇用や地元にお金が回るような仕組み、まさに、今まで環境省が言ってきた地域循環共生圏の核となるような仕組みを目指していただきたいと思っています。
経済指標とかあるいは循環資源の量とか温室効果ガスの排出量に加えて、地域雇用の拡大というのも大きな指標になるのではないでしょうか。働くところがないと、地域の人口はもう既にどんどん減り始めています。
最後に、資源循環を高度化し活性化するというのは、喫緊の課題であると同時に根源的な課題でもあります。一部の関係者だけが実施するというのではなく、全国民が有限性や温室効果ガスの排出削減に配慮しながら、シンプルで質の高い暮らしができるように、資源循環に関する市民啓発についても十分にお願いしたいと思っております。
以上です。(拍手)
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