SEISAKU DB トップ
SEISAKU DB
吉高まり ·三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社フェロー(サステナビリティ)

衆議院環境委員会(2024-04-26)での発言

第213回国会 ·第第10号号 ·5,092字
○吉高参考人 おはようございます。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの吉高でございます。  私は、サステーナビリティーの担当役員として、グリーンビジネス、サステーナブルファイナンスなどのアドバイス業務をするとともに、東京大学と慶応義塾大学の方でグリーンビジネスを教えております。  私自身、九七年に採択されました京都議定書にある京都メカニズムのカーボンクレジット組成が我が国にとって必要だと思いまして、現在兼務をいたしております三菱UFJモルガン・スタンレー証券の方で、当時の副社長に提言しまして、二〇〇〇年からカーボンクレジットの業務を開始しました。  そして、二〇〇五年に京都議定書が発効される前に、国連で、タイのもみ殻発電の排出権の算定方法を登録いたしまして、その後、再エネ、省エネを中心に様々な方法論を登録しました。  さらに、二〇〇八年から第一約束期間が始まりましてから、中国、アジア、それからアフリカ、ウクライナなど様々な国で、カーボンクレジットの組成に百件以上関わってまいりました。  さらに、本日改正対象になっております二国間クレジット制度、このJCMの前身でございますBOCM、二国間のオフセットクレジット制度の提言を政府にいたしまして、その制度づくりにも携わりました。その後、このJCMに関しましては具体的に案件組成にも関わっておりまして、本日は、その経験に基づきまして、JCMに対する今後の期待についてお話し申し上げたいと思います。  お手元に資料を御用意しておりますので、御参照いただければと思います。  まず、一枚目を御覧いただきたいと思います。  私のチームで組成を手がけましたJCMの案件です。これは、ベトナムの南部の方で、配電網において省エネの変圧器を設置する事業でございました。  これは、これまでベトナムの送電網で使われました変圧器、シリコン素材のもので非常に送電ロスが多かった。そこを、日本企業の圧倒的シェアのございましたアモルファスという素材、化学素材でございますけれども、この変圧器に変換することにより、送電の効率化を図り、電力の安定供給を実現するものでございます。もちろん、送電ロスが少なくなりますから、CO2の排出量も削減になる。  途上国では、安価な従来型の変圧器が、結局のところ、電力公社の入札の基準になってしまいます。そうしますと、長期的にはロスが低減されるといたしましても、初期投資がかかるこういった新技術はなかなか使われません。そこで、カーボンクレジットという、その価格のギャップを将来キャッシュフローとみなして、初期投資を支援することによって、その技術を普及させることができるということになります。  このJCMを起点に、一万台以上のアモルファスが今ベトナムに設置されています。それをきっかけに、ベトナム政府が省エネ政策として採用して、全土にわたって普及されております。  私どもが携わった案件は、最初の方は非常に苦労しました。ベトナム政府がこういった新しい案件を理解できないわけです。そこで、政府の方で長年交渉していただきまして、やっと技術が導入されたわけです。当時、国連でも、まだ京都議定書の第二約束期間中でございまして、どうなるか分からない、こういった状況でございましたので、やはり、カーボンクレジットにただお金を出して買うだけではなく、日本の技術を、貢献することを目指しました。今では、これがラオスまで発展されているということで、私自身大変うれしく思っております。  次のページを御覧ください。  パリ協定六条二項の下で、二国間協力を通じたカーボンクレジット制度が既に始まりつつあります。日本以外には、スイス、韓国がカーボンクレジットを獲得して、排出削減目標を達成させようとしている。御覧のとおり、圧倒的に、日本は提携国も多く、プロジェクトも多い。支援形態も多少の差はありますけれども、政府が資金を出しているのは変わりません。  我が国は、京都メカニズムのカーボンクレジット制度の際には、資金を出して目標達成に寄与しましたけれども、やはり、単なる資金を出すだけではなくて、日本の技術を活用すべく、JCMの前身でありますBOCMを検討し始めたのが、実は第一約束期間だったと思います。そのかいがありまして、これだけの先駆者となりまして、この利益というのは計り知れないものがあると私は思っております。  話を少し京都メカニズムの方に戻したいと思うんですけれども、京都メカニズムの運用ルールの交渉は九八年に始まりまして、二〇〇一年に決まりました。二〇〇二年に、日本政府は京都議定書を締結しています。  したがいまして、実は、途上国でのカーボンクレジットの組成は、国連で決める前から、世界銀行が炭素基金というのを設定いたしまして、そこに欧州などが資金を出して、既にルール作りを始めていたんですね。そこでは、もちろん日本の商社ですとか事業者も入っていたわけなんですが、世界的には、全く何もないところからこのカーボンクレジット市場をつくるということでは、多くの国が競争して、関心を持っておりました。その中でも、オランダ政府の動きが大変早うございました。  次のスライドを御覧いただきたいと思うんですけれども、オランダ政府が、国外から京都メカニズムのカーボンクレジットを民間から買い上げる制度を立ち上げまして、政府内に専門機関を発足させました。実は、私、二〇〇一年に、ここにインタビューに行っております。  政府が途上国と交渉し、民間事業が組成する炭素クレジットの公募をかけて入札する仕組みだったんですけれども、この機関の役割というのは、もちろん入札手続もあるんですけれども、その後、獲得するクレジットに関して、手続ですとか途上国との事業者とのやり取り、こういったものを専門性を持って継続的に実施することによって、政府の契約不履行のリスクを下げることができたと言われております。  右下には、各先進国の京都クレジットの参加度合いを見て取れると思うんですけれども、この組織のかいがありまして、オランダは、英国、スイスに次いで非常に大きなプレーヤーになっていることが分かるかと思います。  たとえルールが確定しても、とにかく途上国をパートナーとしてカーボンクレジットをつくるというのは、本当に多くの課題が生まれます。そこには継続的な、そして知見と経験が、蓄積が必要です。京都クレジットのときは、実は多くは国連がやっていたんです。  次のスライドを見ていただきたいんですけれども、これは、京都メカニズムの手続とJCMの手続の担い手を比べたものです。御覧のとおり、京都メカニズムのときは、途上国に対して、運用ルールの策定から、その後、事業登録、発行までを国連がしてくれました。各国の政府は、それを承認するだけでよかったんですね。  しかしながら、JCMはそういうわけにいきません。政府が提携国各国それぞれと、運用ルールの策定からクレジット発行まで、そして、その後の償却までを全てやらなくてはなりません。  実際のところ、JCMのこの議論、制度づくりが始まった頃、じゃ、この先、国が増えていったら一体どうなるんだということは議論はしておりました。パリ協定でこれをちゃんとカウントできるようになった今こそ、きちっと対応しなければいけないと私は思っております。  次のスライドを見ていただきたいんですけれども、現在、国のGX推進戦略におきましては、GXリーグでは、カーボンクレジットの取引を行う場所としていろいろなことを行っているわけなんですが、昨年秋には、東京証券取引所の方でカーボンクレジットの市場が開設されていまして、実証が行われております。  東証の実証は、国内のJクレジットのみです。二百社ほど今参加しておりまして、一万トンほどのクレジットが取引されていると言われております。この市場では、JCMも対象の検討が予定はされております。パリ協定に国際的に認められているこのJCMのクレジットの期待は民間事業者からも高く、需要は高まると思っておりますが、残念ながら、まだ供給量の不足が懸念されております。  次のページを御覧ください。  これは、世界で流通する炭素クレジットの概要でございます。左上にあるのが主なクレジットの種類なんですけれども、この中でGXリーグの対象になっているのがJCMとJクレジット、これは、国連や国のお墨つきがあるから、どうしても削減ができない事業者で相殺をしたいという場合には、またその資金を支援する金融機関にとっては、このお墨つきがクレジットの予見性を担保するために重要でございまして、今後、大変需要が高まるということは必至だと思います。  左下にあるように、クレジットの対象の事業が今幅が広がっております。私がやっていた頃とはもうダンチで幅が広がっております。吸収源や貯留といった、また、先ほど申し上げたアモルファスのような新しい技術を途上国に普及するためのクレジット、これは質の高いクレジットの組成がまだまだ困難な状況でございまして、政府の支援が大変重要だというふうに思っております。  さりとて、右側のグラフにございますとおり、国際的にはボランタリーのクレジットが圧倒的に多くて、政府のお墨つきが少ないんですね。いずれにしましても、日本企業が排出削減のオフセットをするには、当面、Jクレジットが中心となります。  そこで、ちょっと次のスライドを見ていただきたいんです。  JCMは、まず日本の政府の排出削減目標に活用しますが、企業の方では、自社の排出削減目標を設定して、投資家や金融機関に対して情報開示を今していかなければならないんですけれども、金融機関や投資家が今指標としているのが、ここに書いてありますCDPとかSBTなどの国際的イニシアチブです。この国際的イニシアチブが認めているクレジットというのが、公的機関が認めるクレジットでございます。したがいまして、ただ、今のところ、これは国内の排出量に限ります。一番右側なんですけれども、このCORSIAというのは、国際航空会社に対して今カーボンオフセットを求めるスキームができておりますが、残念ながら、このようなクレジットは使えません。現在、日本政府がJCMのクレジットをこのスキームに使えるために交渉されていますけれども、こういったことも省が担っていく必要がある。つまり、JCMの活用を広げていく必要があるわけです。  こういったことでは、最後にちょっと申し上げたいんですけれども、最後のページでございますけれども、これまで御説明した課題などを踏まえまして、今後のJCMについて期待を申し上げたいと思います。  まずは、私、もう十年以上COPの会場に行っております。いかに日本がこの六条で世界的に主導的役割に立っているかというのをよく知っています。六条の日本と言われます、この国際的なリードタイムのある先駆者利益を有効に活用して、国際的市場メカニズムの発展に本当に貢献してほしいと心から思っております。  ただし、そのためには、もちろん、日本の優れた技術によって途上国のCO2排出削減に寄与し、それを、戦略的に世界に貢献するための政策を省がもっと担うべきだ。そして、煩雑な手続、私も炭素クレジットに関わっていまして、もう本当に大変な手続があるんですね、この手続をやはり専門機関と連携して行うことにより、パートナー国との関係を継続的に維持強化していくということが省に担われていることだと思います。そして、より効果的に、より効率的にJCM制度を運用していっていただきたいというふうに思っております。  そして、先ほど申し上げましたけれども、課題となっております、これからもどんどん国数が増えてまいります、そういった中では、体制を強化していただかないことには、本当に質の高いカーボンクレジットビジネスというのは活性化できないと思っております。そのために、今いろいろと話題になっておりますGXリーグと緊密に連携いたしまして、流動性を向上させまして資金の流れをつくり、JCMクレジットの供給量を促すことを期待しております。  以上でございます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

吉高まり の他の発言

2024-04-26 · 衆議院環境委員会
○吉高参考人 御質問をどうもありがとうございます。  大変私も関心のあるところでございます。実際、CDMのときに最もカーボンクレジットを生んだのは中国でございます。その次にインド…
2024-04-26 · 衆議院環境委員会
○吉高参考人 御質問をどうもありがとうございます。  私自身、環境省が進めております脱炭素先行地域の評価委員もさせていただきまして、全国の地域を回っております。また一方で、地域の…
2024-04-26 · 衆議院環境委員会
○吉高参考人 御質問をどうもありがとうございます。  途上国でこういった市場メカニズムをする際に、何かこれまで過去にそごがあったのかということなんですけれども、基本的に、京都議定…
2024-04-26 · 衆議院環境委員会
○吉高参考人 御質問ありがとうございます。  私が京都議定書のCDMをやっていた頃は、実は高効率の火力発電ですとか、そういったものに関するCDMの話もございました。結局、クレジッ…
2024-04-26 · 衆議院環境委員会
○吉高参考人 御質問ありがとうございます。  実際に、やはり今、畜産に関するCO2の排出削減に関しては、私は、実は農水省の審議委員もやっておりまして、北海道の畜産、十勝なんかへ行…
2024-04-26 · 衆議院環境委員会
○吉高参考人 御質問どうもありがとうございます。  脱炭素先行地域の評価委員といたしまして、現在、選定されました地域も、現地に参りまして、フォローをしている状況でございます。 …
2024-04-26 · 衆議院環境委員会
○吉高参考人 ありがとうございます。  本当に、ここ急速に提携国が増えてきているというのは、やはりパリ協定の中できちっと認められているということ、途上国の方がこれを期待していると…

API / MCP 利用

国立国会図書館 国会会議録 API を構造化

REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=吉高まり
MCP: search_diet_speeches(speaker="吉高まり")