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大口善徳 ·公明党

衆議院憲法審査会(2024-06-06)での発言

第213回国会 ·第第9号号 ·2,498字
○大口委員 公明党の大口善徳でございます。  広報協議会等については、五月十六日に私は発言をさせていただいています。  本日は、選挙困難事態における国会機能維持に関して、一、本審査会の我々の議論は参議院の緊急集会を軽視するものでないこと、二、全国民の代表の要請は選挙の一体性の原則とリンクしていること、三、選挙困難事態において繰延べ投票では対応できないことの三点について、発言をいたします。  まず第一に、我々が議論している選挙期日、議員任期の特例の憲法改正について、参議院議員の緊急集会を軽視しているとの誤解が一部にあるようです。そこで、そのようなものでないことを具体的に申し上げます。  前提として、参議院の緊急集会は、憲法五十四条の規定及びその趣旨に照らして、総選挙の実施が七十日程度の期間内に見通せる場合に対応する仕組みです。その上で、総選挙の実施が長期にわたって見通せないような場合、すなわち選挙困難事態への対応については現行憲法には規定はなく、いわば憲法の空白となっています。東日本大震災の経験や南海トラフ地震、首都直下型地震の被害想定に鑑みると、選挙困難事態が現実に生ずることは十分に想定されます。  そこで、本審査会で、我々は、この憲法の空白に対応するための選挙期日、議員任期の特例を議論しているのであります。七十日程度の期間内に総選挙実施が見通せるときには、これまでと同様に参議院の緊急集会で対応するのであって、現在の機能、役割から変わることは全くありません。  参議院の緊急集会が設けられた趣旨は、民主政治の徹底にあります。我々が議論している憲法改正も、選挙困難事態において、二院制国会を維持し、民主的統制の下で国の運営を行っていくためのものであり、趣旨は同様です。したがって、趣旨、目的を同じくする二つの制度が、総選挙実施が見通せるか否かという基準によって分けられる二つの場面に対応してすみ分けることになります。  さらに、本審査会の議論では、参議院の緊急集会は衆議院の任期満了総選挙の場合にも開催できることを規定することも提案されています。  このように、我々が考えている憲法改正は、参議院の緊急集会の役割や機能を縮小するようなものでは決してなく、むしろ拡充する方向で、参議院の緊急集会を軽視するとの指摘は全くの誤解であります。  第二に、大規模災害によって選挙の一体性を欠くまま国政選挙が行われたとしても、被災地以外の国会議員は選出でき、全ての国会議員は全国民の代表であることから、これらの議員によって被災地の実態や意思を踏まえた判断がなされるために、問題がないとの意見があります。  しかし、この全国民の代表については、芦部信喜先生を始めとする多くの憲法学者が指摘しているとおり、現在では、国民の意思と代表者の意思の事実上の類似を重視するという社会学的代表の考え方から、国政選挙が、全国津々浦々の全国民の多様な意思をできる限り公正かつ忠実に、いわばその縮図のように国会に反映させることを要請する憲法上の原理と理解されています。  このような考え方を前提とすれば、例えば、現行の衆議院選挙における比例ブロックの複数にまたがる選挙区において総定数の一割を超えるほどの議員が選出できないような場合は、たとえ多くの選挙区において選挙の実施が物理的には可能だとしても、到底、国民の多様な意思をできる限り公正かつ忠実に国会に反映する選挙とは言えないと考えるべきです。大規模災害時こそ、憲法の大原則である二院制国会を維持し、衆参そろって難局に対処することが重要であります。  衆議院は、任期が四年と参議院議員より短く、解散もあり、国民に近いとされる衆議院議員で構成されております。衆議院において、被災地選出議員が不在のままでも、他の地域から選出された議員らによって復旧復興を含むあらゆる政策を決定できるという考え方は、とても我々の肌感覚にも合致しませんし、多くの国民の理解も得られないのではないでしょうか。要するに、選挙の一体性を欠く選挙では、憲法上の全国民の代表の要請を満たすことができず、国民の選挙権行使の前提を欠いていると考えます。  第三に、選挙困難事態において繰延べ投票制度では対応できないということについて意見を述べます。  この論点は、これまで多くの委員から御発言があったところであります。そこで、私からは、適正な選挙の在り方とはどういうものなのかという観点から意見を申し上げます。  繰延べ投票は、ごく限られた投票所で投票ができない場合は、短期間、投票を繰り延べるものであります。東日本大震災や阪神・淡路大震災の際も、繰延べ投票で対応せず、地方議員、長の選挙期日延期、任期延長のための特例法が制定されました。  そもそも選挙は、選管などの選挙事務の執行や違法な選挙運動の取締りといった環境が整えられた上で、候補者やその陣営が選挙運動を通じて政策、考え方を示し、有権者がそれを理解した上で投票することが本来の姿であり、この一連の流れをセットで捉えるべきであります。この点、東日本大震災当時の状況を振り返れば、震災直後にまともな選挙事務や選挙運動などができないことは容易に想像できます。  このように、選挙困難事態においても繰延べ投票で対応し、有権者が投票することさえできればよいという考え方は、選挙を極めて形式的、表面的に捉えるものであります。これでは、選挙運動における有権者と候補者との直接のやり取りという民主主義のプロセス、いわば選挙の実質的な要素が抜け落ちており、適正な選挙の実施とは到底言えません。  本日は、選挙困難事態における国会機能維持に関する三つの論点について意見を申し上げました。国民の皆様や関係各位が本審査会での議論の趣旨や内容を正しく理解していただく一助となれば幸いでございます。  そしてまた、要綱案をしっかり出すことによって、更に具体的な議論を進めていきたいと思います。  以上で私の発言を終わります。

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