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石橋哲 ·アドバイザリー・ボード会員/わかりやすいプロジェクト(国会事故調編)代表/株式会社クロト・パートナーズ代表取締役

衆議院原子力問題調査特別委員会(2024-05-31)での発言

第213回国会 ·第第3号号 ·4,034字
○石橋参考人 石橋哲です。発言の機会をいただき、ありがとうございます。  国会事故調には、全体工程のプロジェクトマネジメント機能として参加いたしました。二〇一二年から、国会事故調報告を出発点とし、世代を超えて社会のシステムについて考え合う場を共創するということをテーマにして、わかりやすいプロジェクト(国会事故調編)というサークル活動をやっております。それを通じて、高校、大学、日本赤十字社若しくはNPOなどとのコラボを継続しております。  今、画面が出ましたけれども、先日、久方ぶりに「ソクラテスの弁明」を読み直しました。こんなところがありました。紀元前三百九十九年、約二千四百年前の発言です。読み上げます。  よき友よ、アテナイ人でありながら、もっとも偉大にしてかつその智恵と偉力との故にその名最も高き市の民でありながら、出来得る限り多量の蓄財や、また名聞や栄誉のことのみを念じて、かえって、智見や真理やまた自分の霊魂を出来得るかぎり善くすることなどについては、少しも気にかけず、心を用いもせぬことを、君は恥辱と思わないのか  次、お願いします。  国会事故調は、結論と提言で、問題解決に向けて、多くの犠牲を帰結した人災である福島原発事故を起こした真因、組織的、制度的問題を指摘して、次のように述べています。  本事故の根源的原因の背景にあるのは、自らの行動を正当化し、責任回避を最優先に記録に残さない不透明な組織、制度、さらにはそれらを許容する法的枠組みであった。また、関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心であり、世界の潮流を無視し、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存のマインドセット、思い込み、常識であった。  当委員会は、規制される側とする側の逆転関係を形成した真因である組織的、制度的問題がこのような人災を引き起こしたと考える。この根本原因の解決なくして、単に人を入れ替え、あるいは組織の名称を変えるだけでは、再発防止は不可能である。  次、お願いします。  国会事故調は、この真因である組織的、制度的問題を解決し、再び、規制する側がされる側の規制のとりこに陥らないよう、国家に対する国民の信頼を再建することを目指して、様々な意思決定プロセスの透明性、公開性を担保、確保することを目的として、七つの提言をしています。  提言一は、国民の安全に対する責任を国会、国会議員が負うこと、すなわち、原子力安全規制当局に対し様々な規制のとりこの力を及ぼし、事故を帰結した行政府、電気事業者の動き全体を、立法府が監視するべきと提言しています。監視対象は、行政府、電気事業者の動き全体です。  本特別委員会は、提言一に基づいて設置されたと聞きましたが、当委員会設置当初の与野党申合せでは、当委員会の監視対象を原子力規制委員会とするとされています。  この申合せは、監視対象を行政府、電気事業者全体とする提言一の趣旨とは全く異なります。提言の趣旨とずれた申合せをいつ、どこで、誰が、どのような理由で行い、また、それがなぜそのままなのか、理解に苦しみます。前回、二〇二二年五月十日の意見陳述の際にも申し上げたところでございます。  次、お願いします。  提言にある仕組みをつくるには時間がかかると予想されたことから、国会事故調は、国会に対し、実施計画を速やかに策定し、その進捗を国民に公表することを求めました。夏休みの宿題と一緒です。私は、当委員会で発言の機会をいただくたびに申し上げておりまして、先生方におかれては、既に十二分に御承知のことと思います。  次、お願いします。  今日は、三月十一日から四千八百三十日目です。  国会事故調は、事故から九か月後、当時の衆参満場一致で成立した東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法に基づいて設置されました。七つの提言を含む報告書を国会の先生方に提出したのは、二〇一二年の七月の五日。それから約百三十八か月。少なくとも前回、私が発言の機会をいただいてから丸々二年、七百五十二日が経過いたしました。  次、お願いします。  前回参上した二〇二二年五月十日以降の本特別委員会の審議を、衆議院のホームページから勉強させていただきました。  昨年四月十九日に行われた経済産業委員会、環境委員会との連合審査会を含めて、委員会の開催は計二十回。時間数は千八百九十九分です。手続的な開催は除き、実質的な審議が行われたのは九回、時間は千七百十七分でございます。  今、私の資料としてお手元にお配りさせていただいておりますA3のこんな表がございます。こちらを御覧いただければと思います。今、画面で見ていただいていますのは、それをやっています。集計の字が細かくて、申し訳ございません。先生方には、別紙としてお配りしています。この表は、敬称略、発言時間数順で上からソートをかけています。  実質審議は九回、千七百十七分で、御発言の委員は四十名。議事録を確認させていただいたところ、国会事故調提言の実施計画の作成、公表に関連すると私が感じられたのは一か所です。  次のページをお願いします。  当該部分は、二〇二二年の十一月の十日。足立委員の御質問のラストの十秒、事故調がまとめた提言がどのくらいできているのか、そういうことをちゃんと精査という言葉を述べておられます。前回参上時からの御審議、千七百十七分のうち、提言実施の計画策定に近い言及を確認できたのは、この十秒のみでした。  以前、この委員会での意見陳述の際、国会が提言を実行できない理由は何かという御質問をいただきました。私からは、実行しないという判断を与野党の先生が毎日積み重ねてきたことの集積ではないかとお答えいたしました。この二年間、先生方は、提言を実行しないという判断を、一日一回として、さらに七百五十二回も積み重ねてきたのだと確認をいたしました。  次、お願いします。  二〇二二年十二月八日の浅野委員の質疑にも注目いたしました。  本特別委員会設定の際の与野党申合せによる特別委員会の目的と監視対象が事故調提言一の趣旨と異なっているということは、先ほど述べたとおりですが、そのことを述べられた上で、この変更が委員会の先生方の意思で修正可能であるということを衆議院事務局委員部に確認をされていらっしゃいます。その後の、この御検討はどのようになりましたでしょうか。是非、お聞きできればと思います。  国会事故調は、規制する側がされる側のとりこになっていたことを、規制のとりこというキーワードで指摘をいたしました。この質疑は、指示する側がされる側のとりこになっている、相似形の様相を呈しているというふうに感じました。  次、お願いします。  四月下旬、私は、防災士研修を受けてまいりました。テキストには、防災士たるもの、公的機関による具体的で明確な情報を尊重するという記載がありました。理由は、発災後は行政が、災害発生の原因、規模、被害状況、二次被害の可能性、行政による対応の現状、被災地住民の行動指針などについて、できるだけ早く、具体的かつ明確な情報を出すように心がけるものであるとしています。  次、お願いします。  災害の際、公的機関から社会に対して共有されるタイムラインは、国民から信頼されるものであることを前提としていると学びました。その信頼は、日々の積み重ねによる構築が唯一の道であると考えます。  次、お願いします。  国会事故調は、人災の根源的原因であった制度的問題の解決を目的として、透明性の確保と公開性の担保の確立を提言いたしました。原発事故を含む、災害進展タイムラインが国民に信頼される場面においても、この二つが両輪となることは言うまでもありません。  原発事故の際の災害進展タイムラインは、地域ごと、原子炉ごと、発災時点の事象ごと、自然状況ごとに、様々に異なると思います。それらタイムラインは、どのように社会と共有されているのでしょうか。  次、お願いします。  国会事故調は、調査人員の調達やPC等の備品の調達、報告書の印刷作業も含めて、たかだか半年強の調査期間しかありませんでした。扱えなかったことはたくさんあります。国会事故調で扱わなかった事項に整理して、記載されているとおりです。検討すべき事項は多岐に及びます。  次、お願いします。  国会事故調は、提言を一歩一歩着実に実行し、不断の改革の努力を尽くすことこそが、国民から未来を託された国会議員、国権の最高機関である国会及び国民一人一人の使命であると当委員会は確信すると述べています。  変われなかったことで起こした事故に対し、国権の最高機関たる国会、その国会を構成する国会議員の先生方を代表として頂く国民の一人として、事故から今日までの四千八百三十日、一体自分は何をしてきたのか、深く自問をいたします。  次、お願いします。  残念ながら、報告から十二年。えとが一周しました。私たちの代表たる国会は、行動をもってその信念を示しています。できないのではなくて、やらない。国会事故調報告は、このような状況にも使えるよう、提言七、独立調査委員会の活用を提言しています。国会事故調という前例がございます。  次、お願いします。  私は、この国が、国民から信頼され、外国から敬意を払われる、国内的に安定した国であってほしいと強く望みます。国民の一人として、使命を担うことに参加したいと思います。「君は恥辱と思わないのか」、二千四百年前の賢人の言葉に思いを致しながら、本日、どのような御議論が展開されるのか、お聞きしてまいります。  ありがとうございました。(拍手)

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