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橘川武郎 ·アドバイザリー・ボード会員/国際大学学長

衆議院原子力問題調査特別委員会(2024-05-31)での発言

第213回国会 ·第第3号号 ·3,356字
○橘川参考人 皆さん、おはようございます。国際大学の学長をやっております、橘川と申します。  私は、国会事故調のメンバーではないということもありまして、実務的な観点から、当面、原子力政策で重要だと思われます三つの論点を、批判ばかりではなくて、ちょっと建設的な提言も含めてお話しさせていただきたいと思います。  次、お願いいたします。  取り上げる三つの論点は、柏崎刈羽六、七号機の再稼働の問題、次世代革新炉の建設の問題及び第七次エネルギー基本計画における原子力比率の問題であります。  次、お願いいたします。  柏崎刈羽原子力発電所の六、七号機については、一応、再稼働へ向けての法制度上の条件は整いました。昨年十二月に、規制委員会の、凍結が解除されました。そして、株式市場もそれに反応して、東電の株価が千円をつける。多分、経産省のターゲットは千五百円ぐらいだと思うんですけれども、民間に売るときの。そういう意味で、一歩近づいたと言えます。ただし、最後の地元の了解、これは非常に難航しています。  それを難しくしたのが能登半島沖地震でありまして、新潟市の西区も液状化現象の被害を受けておりますので、避難計画の問題が改めて浮かび上がりました。元々新潟県は東北電力の配電エリアなので、自治体が作った避難計画に東京電力が協力するという枠組みなんですけれども、どこに需要家がいてどこに配電線があるかというのを知っているのは東北電力なので、これで大丈夫かなというような懸念が強まったわけですね。  さらに、六、七号機が動いて、果たして新潟県内にどういうメリットがあるのか、こういう声も出てまいりました。  花角知事は、出直し知事選をやることによって再稼働の信を問うと言われていましたけれども、多分、今の政治と金の状況から選挙をやるということを考えますと、まずやらないと思います。となりますと、県議会での同意ということになると思いますが、一番大きな問題は県議会の与党会派が再稼働に対して極めて慎重、この二つの理由からであります。  私は、避難計画のためもあって、東京電力が東北電力の協力を取り付ける必要があると思います。例えば、KK、柏崎刈羽の電気を地元に売って新潟県内の電気の料金を下げればいいなと思ったんですが、もう既に新潟県は東北電力の電力で供給されております。しかも、女川二号機が動くと、今年のゴールデンウィークには出力制御もやっていますので、この話は余り現実的ではない。  そうなってくると、一番私が現実的だと思っていますのは、柏崎刈羽の敷地の中に、東京電力と東北電力が共同して水素の発生装置、つまり、水の電気分解を原子力発電で行って、その水素を地元の、今新潟県が取り組もうとしていますグリーントランスフォーメーション、GXに結びつけるというようなことが一つの突破口になるかと思っております。  次、お願いいたします。  次世代炉の建設であります。  岸田政権は一昨年夏に、次世代炉の建設と既存炉の延長、この二つを打ち出しました。その後、進んだのは既存炉の延長だけであります。新法も通りました。これが通るとどういうことになるか。  次世代炉を造るとしたら美浜四号機であるというのはみんな知っているわけですけれども、関西電力にとってみれば、美浜四号機を造ると一兆円かかるわけです。ところが、既存炉の延長、今、七基動かしていますけれども、これは一基当たり数百億円、二桁違いますので、既存炉が延長できる状況の下では次世代炉は造らない、こういうふうに思います。  それから、実は、岸田政権は次世代炉をやるやると言っていますが、GXの百五十兆円の官民投資の内訳を示した政府資料、その中では、原子力、次世代革新炉は僅か一兆円、百五十分の一の位置づけであります。これが実際のところだと思います。  多分、第七次エネ基では、圧倒的多数を占めます原発推進派がいらっしゃいますので、次世代革新炉の建設というのは、言葉上は入ると思いますけれども、ほとんど意味がない。私自身は、危険性を下げますので、次世代軽水炉とそれから水素を作る高温ガス炉は有効だと思いますが、残念ながら、今のところ、現実問題としては頼りにされていない、この現実を視野に入れておかなければいけないと思います。  次、お願いします。  そのことと関連して、いよいよ始まりました第七次エネルギー基本計画での原子力の比率です。今度の計画は、非常に重たい前提条件がかかっております。というのは、来年ブラジルで開かれますCOP30に二〇三五年の温室効果ガスの削減目標を持ち込まなきゃいけないわけですが、既に、昨年のG7の前の担当大臣会議あるいはCOP28でも、三五年、一九年比GHG六〇%削減というこの目標がセットされているわけですね。  これは、今我々が使っています一三年基準、一三年から一九年の間に一四%温室効果ガスは下がっていますから、発射台が一〇〇から八六に下がったところから六〇%削減ですから、一三年からだと六六%削減。かつて、第六次エネ基を作るときに、二六から四六に上げるのにも大騒ぎしたわけですけれども、また二〇ポイント上げなきゃいけない。こういうおもしの中で、新たな電源ミックスを作っていくということになると思います。  そこに書いてあるのが、三〇年の今の第六次エネ基のミックスですけれども、残念ながら、再エネの目標は高くていいと思うんですが、取りかかりが遅かったので間に合いません。それで、三〇%ぐらいにしかならないと思います。原子力も、二十七基動かないと二〇から二二にいかないので、今十二基でありまして、三〇年は、結構甘く見ても二十基かなと思いますので、一五%程度。  そういうふうに、今の第六次エネ基が厳しい中で、さっきのおもしがありますので、四〇年ミックスは例えばこんな感じになるんじゃないかと思いますが、再エネが四五%、原子力が三〇%、水素、アンモニアが五%、ゼロエミッション電源が八〇%で、化石が二〇%。この化石は、私は、四〇年までに石炭火力はやめられると思っていますので、アンモニアに替えることによって。ここで天然ガスということになります。  問題は、この中で、もう既に第六次エネ基のときに、現実離れしているので野心的という言葉が使われたんですけれども、この原子力三〇%という数字は、今の状況から考えますと、野心的を超えて空想的の域に入ります。  もしこれを本当にやるんだとしたら、たった一つだけ方法があるんじゃないかというのが、原子力をカーボンフリー水素の供給源として使うという考え方です。水素はカーボンニュートラルのキーテクノロジーなんですが、非常に高い。再生可能エネルギーからグリーン水素を作ろうとしますと、太陽光、風力の稼働率に合わせて水の電解装置が動きますので、電解装置の稼働率自体が下がっちゃうわけです。これが原子力ですと、電解装置の稼働率が上がりますので、コストが大幅に安くなります。  それから、さらに、それでもグリーン水素は海外の方が安いというので、ほとんどのプロジェクトは海外でやることになっていますが、そうすると、海外から日本に水素を運んでこなきゃいけない、この費用がかかる。しかも、エネルギー自給率の向上には寄与しない。ところが、カーボンフリー水素を原子力から作りますと、国産化ということになりますので、こういう問題も解決する。  そして、もう一つは、例えば、今、柏崎六、七が再稼働しますと、今の枠組みですと、電気が余ってしまいまして、東京電力エリアでも再生可能エネルギーの出力制御が起きると思います。しかし、これを電力市場じゃなくて水素製造のために使えば、再生可能エネルギーの出力制御を最小限に抑えることができる。つまり、原子力と再エネの両立が可能になるのではないか。  こういうような議論が、私は、原子力について賛成か反対かという議論をしている時代ではなくて、実務的に前向きに解決策をしゃべる時期だと思いますので、検討していただければと思います。  以上です。(拍手)

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