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緑川貴士 ·立憲民主党・無所属

衆議院農林水産委員会(2024-04-18)での発言

第213回国会 ·第第11号号 ·1,425字
○緑川委員 ただいま議題となっている政府原案に対しては反対、修正案に対しては賛成の立場から討論をいたします。  基本理念である食料安全保障の重要な要素である食料の安定供給のその供給能力は、海外への輸出を図ることによって維持することが強調されています。しかし、輸出は、原料の多くを海外に依存する加工食品がその大半を占めています。輸出先のニーズに対応した専用産地の基盤が不測時に転換できるといいますが、輸入大国である日本は、二〇〇〇年のWTO農業交渉日本提案において輸出の制限、禁止に反対しており、国内向けへの切替えが進むとは思えません。  海外で売れるものを優先した国内生産と、縮小する国内市場向けの多くは安定的な輸入で賄うという、従来の取組をなぞったものにすぎず、食料自給率の向上を通じた国内への安定供給、国内農業の発展という戦略は、残念ながら後退していると言わざるを得ません。  政策目標である食料自給率の低迷、農村の支え手の自営農家の半減と農村コミュニティーの衰退、耕作放棄地の拡大と多面的機能の喪失など、基本理念の実現を目指した取組とそれがもたらした現実との乖離に対する真摯な総括と批判的な検証がなければ、新たな農政の展開は絵に描いた餅になりかねません。  農産物、食品の価格形成についても、あくまで食料システムの関係者の各段階での交渉を経て、関係者が納得できる価格が合理的な価格であり、農業者の再生産を担保した価格水準となる保証はありません。関係者の交渉力、価格支配力に多分に左右される不確実性をはらんでおり、消費者の食品アクセスに配慮した価格とのバランスも求められることから、農家にとって厳しい価格で妥結せざるを得ない場合に対応した直接支払いの仕組みが不可欠です。  農業の持続的発展では、スマート農業技術の活用による担い手の育成を進めるとしますが、基幹的農業従事者はこれからの二十年でおよそ三十万人にまで激減すると見込まれ、特に、中山間地域を始めとした条件不利地では、通信網整備への対応も十分ではありません。多様な農業者が生産活動を通じて農地維持の主体に位置づけられた見直しの反面、具体的な支援が政府答弁からは出てきません。小規模集落のように共同活動自体が困難になっている集落が増える中、中山間地域等直接支払制度の個別協定の対象を広く認めて支援するべきです。  輸入依存や、食料、資源の取り合い、戦争や災害リスクが増す複合危機に直面する時代に、食と農を結び直す動きが強まる中、食料自給率目標は、地産地消などを通じて日本型の食生活や食文化が守られているかをチェックする点でも依然として意義のある指標であり、多くの指標の中で、国民に最もなじみのあるものです。  農業の疲弊が農家の問題を超えて消費者、国民の命の問題であるという認識に立つならば、各指標の中の一つに落とすのではなく、食料安全保障の強化に重要な国民の理解の醸成に深く関わる指標として、最上位に位置づけるべきです。  私たちは、こうした問題点を含めて、基本理念、基本的施策の内容を明確にした修正案を取りまとめてまいりましたが、政府・与党は、修正項目の全てに対して規定済みあるいは対応不可といって一顧だにせず、ゼロ回答でありました。  危機的な状況を招いた農政への反省が皆無であると受け止めざるを得ず、反対の立場を取らざるを得ないことを申し上げて、討論といたします。

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