○参考人(本多滝夫君) 私の論文を丹念に読んでいただき、本当にありがとうございます。注目されていなかったかなと思ったところで、非常にうれしく思っております。
あの論文につきましては、元々の発想は、私、沖縄県の辺野古訴訟にも関わっていることがあり、それについては最高裁判所はかなり審査密度は非常に緩いのに対しまして、泉佐野市のふるさと納税の指定事件につきましてはかなり濃密な審査密度でもって総務省の告示を違法と判断をしたわけです。
関与法定主義という場合、もちろん法律に根拠がある、あるいは政令に根拠があるということであれば、どのようなものであればよいと。例えば、ふるさと納税訴訟において問題になったのは、総務省の告示が過去の自治体のふるさと納税に対する返礼品の在り方を考慮してふるさと納税を受ける団体として指定できるかどうかという、そういう要件を定めてしまったというところに問題点があるわけですけれども、そのような内容の要件を告示でもって、つまり、何といいましょうか、委任立法でもって定めることができるかというと、法定主義を形式的に考えれば、法律でそのような告示に委任をしているんだからオーケーということになるんですけれども。
しかしながら、最高裁判所は、地方自治法における関与手続の中における行政指導、助言、勧告に関する方式の中で定められている不利益取扱いの禁止に関する規定を援用しまして、要するに、泉佐野市が指定を受けないといったことは、それまで指導に従ってこなかった、総務省の指導に従ってこなかったことに対する一種の制裁として行われているに等しいと。そのような内容を表すような告示を定めることは、地方税法がこの告示に委ねた趣旨に反するということですね。しかも、その委任の趣旨は本来かなり税技術的な内容に関するものである。しかしながら、過去のふるさと納税に対する対応をそのような指定の要件に加えることは一種の政治的な事項であって、それは、当該省令、つまり告示の目的の中に入っていないという、委任の範囲を超えているという、そういう判断をされたわけですね。
でも、このようなところから考えますと、やはりこの関与最小限の原則、そして法定主義というのは両方相合わさっているわけでして、国会がこの関与に関する法律を定めるときについては、その要件をやはり厳格に定めること、そしてその関与の内容もできるだけ権力的なものを使わないようにする、仮に権力的なものを使う場合にしても、それはかなり限定的な場合にするといったことが求められているわけでして、先ほど議員がおっしゃったように、今回の補充的指示権に関する要件は非常に曖昧といいましょうか、そういう感じになっています。
あと、そういう、何といいましょうか、個別的な指示権の行使に当たって、要するに、このようなある程度、曖昧と言うと失礼かもしれませんけれども、要件が緩やかなものを定めるということは個別の法律でもひょっとしたらあるかもしれません。そのこと自体は問題があるかもしれませんけれども、今回は、いわゆる一定のこの重大影響事態におきまして、その事態の中で閣議決定によって担当大臣が指示をするんですけど、それは果たして個々の指示をしなきゃいけないというときに閣議決定をしようとするということなんだろうか、いや、逆に言えば、そのような事態において対処方針を、もうその方針の中で幾つかの指示権を創出をする可能性はないのかというふうに思います。
ですから、一定の要件で、この限りにおいてこの指示を、特定の自治体に対して指示をするといったことはひょっとしたらあり得るのかもしれませんけれども、それを超えて一定の事態に対して一般的に対処するためにその指示権を対処方針の下に創出をするといったことは、これは逆に言えば委任立法というふうな形にもなりかねませんので、これは果たしてそんなことまで予定するような条文であるかというと、それはそうではない、あるいはそうあってはならないというふうに思いますので、その点、こちらの委員会の方でより審議を深めていただければと思います。
ありがとうございます。
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