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照井勝也 ·株式会社西部開発農産代表取締役社長

参議院農林水産委員会(2024-05-23)での発言

第213回国会 ·第第11号号 ·2,418字
○公述人(照井勝也君) 株式会社西部開発農産の照井と申します。  本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  初めに、簡単に自己紹介をさせていただきます。  弊社は、昭和六十一年、北上市に設立をしております農業生産法人です。設立当時は約六十ヘクタールという規模でありましたが、地域の担い手として耕作依頼があった農地を引き受け続け、今年度の実績は管理面積で約九百四十ヘクタールまで拡大をしております。  栽培品目は、水稲や大豆等の米穀作物を中心に生産しているほか、畜産部門では黒毛和牛の生産を一貫で取り組んでおり、繁殖牛約百頭、肥育牛約百七十頭を生産管理しています。さらに、六次化にも取り組んでおり、精米やみそ、乾麺の商品化や直営焼き肉店の経営も行っております。  現在、岩手県農業法人協会の会長も務めさせていただいており、日本農業法人協会の政策提言委員会にも属しております。本日は、そういった立場から意見を述べさせていただきます。  大規模経営の立場から、十年、二十年先の未来ある日本農業を願いまして、現基本法の改正案について発言させていただきます。  私たち大規模経営は、現基本法がうたう効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造の実現に向け、自己責任と創意工夫で自立した経営の確立に邁進してまいりました。当社も含め志を同じくする全国約二千百社の農業法人が集まる日本農業法人協会は、先週十六日に二〇二三年の農業法人白書を公表しました。  この農業法人白書によりますと、会員の平均売上高は約三億九千万円に上り、十年前と比べて約一・五倍に拡大しています。これは、農業法人を始めとする大規模経営が国民への食料の安定供給の中心的な役割を担ってきているという紛れもない事実であります。  昨年五月になりますが、日本農業法人協会が現基本法の見直しに対する意見を公表し、検証部会の委員でもある齋藤会長が検証部会にその意見を提出させていただきました。  その意見の中では、効率的かつ安定的な農業経営の発展には、農地バンクの活用などによる農地の集積、集約化が重要であると提言しています。そして、現在各地で進められています地域計画の策定に当たっては、私たちのような農業経営が主体的かつ積極的に関与できるよう求めています。  しかし、全国の会員からは、地域計画の協議の場に呼ばれていないとの声をよく聞きます。また、地域計画の作成状況も分からないとの声も多数あり、地域計画をリードする関係機関の取組姿勢に不満を持つ会員もいます。  基本法制定から二十年間で個人経営体数は大きく減少し、その一方で法人経営体は増加しています。また、農水省によれば、二〇四〇年に基幹的農業者が現在の四分の一、約三十万人まで減少すると予測しています。しかしながら、改正案では、望ましい農業構造の確立に当たって、農地の確保が図られるよう多様な農業者にも配慮するとしています。  私は、決して個人農家を否定するわけではありませんが、担い手と副業的な農家が同系列に扱われ、私たち担い手への農地の集積、集約にブレーキを掛けることにならないか、そして、これまで進めてきた望ましい農業構造の実現に向けた改革を後戻りさせるのではないかと大変危惧しております。  それから、私たち生産者は、いかに生産コストを下げ、そしていかに生産量を上げるか日々努力をしています。それは圃場の条件によって大きく左右します。改正案では、農業生産基盤の整備及び保全に係る最新の技術的な知見を踏まえ、農地の区画拡大、畑地化について必要な施策を講ずるものとすると新設されています。農地の基盤整備は生産コストや収量に直結する効果が得られること、また、畑地化は自給率が低い需要のある作物に対しての効果が得られることが期待できるというところから、非常に意味のあるものと考えています。  また、海外の情勢不安や円安の進行などによって、飼料や農業生産資材の高止まりの影響を大きく受けています。効率的かつ安定的な農業経営に取り組む大規模経営ですら、自助努力では打開できない域に達しています。先ほどの農業法人白書では、現在の経営課題の第一位に資材コストが三年連続で挙がっています。改正案では、農業資材の価格の著しい変動が育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するための必要な施策を講じることが新設され、こちらも意味のあるものと考えています。  その一方で、農業に関する団体の努力については、現基本法の理念の実現に主体的に取り組むよう努めるから、基本理念の実現に重要な役割を果たすものであることに鑑み、積極的に取り組むよう努めると改められています。  現基本法の下で、平成二十八年に生産者の努力では解決できない構造的な問題を解決するため、農業競争力強化プログラムが決定しました。その中では、生産資材価格の引下げや流通の構造改革などが挙げられています。農業に関する団体の取組姿勢が主体的から積極的に改められることで、生産資材などを取り扱う業界団体の構造改革に歯止めを掛けることになるのではないかと、こちらも大変危惧しております。  全体を通して言えば、今回の改正案は評価できる部分はあるものの、これまで進めてきた改革の時計の針を巻き戻してしまうのではないかというのが率直な感想です。旧基本法の改正時には、国民的議論を交え、何年もの歳月を掛けて改正したと聞いています。現基本法の改正の柱が食料安全保障の確保である以上、旧基本法の改正時に増して十分な国民的議論と国民の理解が必要と考えています。その点を考慮いただきたいというふうに願っています。  以上をもちまして、私からの発言を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

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MCP: search_diet_speeches(speaker="照井勝也")