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水野紀子 ·白鴎大学教授

参議院法務委員会(2024-05-07)での発言

第213回国会 ·第第9号号 ·1,411字
○参考人(水野紀子君) 日本社会の理解でございますけれども、伝統的には非常に優しい育児をする民族であったというふうに言われております。ですから、幕末などにやってきた西洋人たちが日本人の優しい育児の仕方について非常に感動して残している記録が幾つもございます。  今度、体罰の禁止を民法の条文に入れましたけれども、どうして体罰の禁止が入れられたのか、そんなことが可能だったのかと私は台湾の専門家から質問を受けました、とても入れられないだろうと思うと。私は、そのような背景には日本人のそういう優しい育児の伝統があるというふうに考えております。ただ、体罰が日本の社会に広まってしまったのは、やっぱりファシズム期に軍隊の中の暴力的なものが学校教育を通じて広がったのではないかという仮説がありまして、少しそんな気がしております。それでも、まだそういう伝統は底流では残っていると思います。  そして、子供のために両親が、今度の改正案の条文、きちんとその辺りについては文言に書いたはずでございますけれども、子供の健康な成長を図るために両親ができるだけのことをするという意味では、大きなコンセンサスは日本の社会の中にあるのだと思います。  ただ、問題事例が生じた、そういうことが冷静にできない親があったときに、その子供を救う体制が日本は非常に脆弱である、ここが問題だと考えております。  短く答えなくてはならないんですが、例えば同じフランスです。私、フランス法の調査にも参りましたけれども、アウトリーチで幼稚園に児童精神科医が定期的に参ります。子供たちの様子を保母さんたちと、先生たちと話し合って、この子はちょっと問題があるということ、その子について調査が入ります。そして、調査が入り、親に、あなたの育て方はちょっと問題があるのだけれど、私たちがケースワーカーを派遣するから協力しないかというふうに言いますと、もちろん、そうなんです、つい私、手を上げてしまうんです、だから教えてもらえればと言えば、そこで契約ベースで結構です。しかし、ほっといてくれと言ったら途端に検察官に連絡が行きます。そして、児童親権制限判決が申し立てられます。そして、それが約年間九万以上ございます。日本の親権制限判決というのは実はございませんで、親権喪失判決が二桁、親権停止判決がやっと三桁に上ったところです。  こういうふうに背景の事情が全く違っております。そのことについて御理解をいただいた上で、しかし、一朝一夕に変わるものではございませんので、どういうふうに子供たちの福祉を図っていくかということをまさに議員の先生方には幅広い視野でお考えいただければと思います、日本の社会に欠落しているものを。  私は、言葉や理念をいじることによって、もちろんそれも、概念も言葉も理念も非常に大きな力を持っておりますけれども、我々の社会は約百年余り前にやっと権利とか義務とかいう言葉を作って、民法典を作ったばかりでございます。そこで作られたばかりの言葉をいじることによって我々の社会が簡単に変わるとは残念ながら思っておりません。もっと、社会の変化は、社会が持っていた安全弁は急速に、村社会、かつての村社会が持っていた安全弁は急速に失われていって、我々の社会に必要なそれに代わる安全弁を組み立てなくてはならないのだと思っております。  済みません、長くなりました。

水野紀子 の他の発言

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2024-05-07 · 参議院法務委員会
○参考人(水野紀子君) 御質問ありがとうございます。  ちょっとメモを取ってきたんですけれども、にわかに、また追加でもしお許しいただければ加筆、議事録に加筆をさせていただきますけ…
2024-05-07 · 参議院法務委員会
○参考人(水野紀子君) 御質問ありがとうございます。  子供の意見表明権につきましては、確かに大分激論をいたしました。反対する、つまり子供に決めさせるということについて反対をした…
2024-05-07 · 参議院法務委員会
○参考人(水野紀子君) 御質問ありがとうございます。  この点については、法制審議会でも、申立て権者を父母以外の者に拡大することについては相当な懸念を共有した上で議論をいたしまし…
2024-05-07 · 参議院法務委員会
○参考人(水野紀子君) ほかにその他適当な手段がないときという意味で、典型的にはそのような場合を念頭に置いておりました。  ありがとうございました。…

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