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石橋哲 ·アドバイザリー・ボード会員/わかりやすいプロジェクト(国会事故調編)代表/株式会社クロト・パートナーズ代表取締役

衆議院原子力問題調査特別委員会(2025-05-15)での発言

第217回国会 ·第第3号号 ·3,690字
○石橋参考人 おはようございます。石橋哲です。  二〇一一年、衆参全会一致で成立した国会事故調、その国会事故調に全体工程のプロジェクトマネジメント機能として参画をいたしました。二〇一二年から、国会事故調報告を出発点として、世代を超えて社会のシステムを考え合う場をつくるというテーマを掲げて、わかりやすいプロジェクト(国会事故調編)というサークル活動を継続しておりまして、高校、大学、日赤、NPOさんなどとコラボを継続しております。  今日は発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。  次のページ、お願いします。  今回、本委員会理事懇談会において、アドバイザリー・ボードの設置に関して、会長規定の削除、三年の任期の設定という大きな変更があったと承りました。この変更の意図がいかなるものか、定かではありませんが、本委員会の存在意義である規制のとりこの再発防止に資するものであることを切に祈ります。  次、お願いします。  今回のテーマは、原子力のいわゆるバックエンドに係る諸問題とお聞きしております。私は議論の進め方についてお話ししたいと思います。  今年二月、経済産業省とNUMOが主催する「あなたと一緒に地層処分を考えるシンポジウム二〇二五」に参加して、拝聴をしてまいりました。  次、お願いします。  そこで、登壇者の方がこれまでを振り返る中でお使いになった言葉が極めて強く印象に残りました。無意識の暴力という言葉でございます。  次のページ、お願いします。  同時にお配りいただいています国会事故調のダイジェスト版、この冊子ですね、こちらの八ページ目を御覧ください。  国会事故調報告は、結論と提言の中で、「問題解決に向けて」としまして、多くの犠牲を帰結した人災である福島原発事故を起こした真因の組織的、制度的問題を指摘して、次のように述べております。  事故の根源的原因は人災です、これらの背後にあるのは、自らの行動を正当化し、責任回避を最優先に記録を残さない不透明な組織、制度、さらにはそれを許容する法的枠組みであった、それを支える無知と慢心、組織依存のマインドセットであった、当委員会は、この真因である組織的、制度的問題を根本原因として、その根本原因の解決なくして、単に人を入れ替え、あるいは組織の名称を変えるだけでは、再発防止は不可能であると述べております。  次、お願いします。  これまで何度も申し上げておりますので、先生方は耳たこだと思いますけれども、人災の根源的原因であった制度的問題の解決のためには、透明性の確保と公開性の担保の確立が必要であると国会事故調は先生方に提言をいたしました。  次、お願いします。  お配りしているダイジェスト版の最後のページ、十ページ目に整理してありますが、国会事故調が取り扱わなかった事項として整理した事項が十項目あります。その二として挙げているのは、使用済核燃料の処理、処分、いわゆるバックエンドに関する事項の調査、検証、検討においても、透明性の確保、公開性の担保が重要であることは言うまでもありません。  次のページ、お願いします。  国会事故調は、事故の真因である組織的、制度的問題を解決し、再び規制する側がされる側の規制のとりこに陥らないように、国家に対する国民の信頼を再建することを目指して、様々な意思決定プロセスの透明性、公開性の担保、確保をすることを目的として、七つの提言を行いました。  廃炉の筋道やバックエンドに係る諸問題の調査審議については、提言七において独立調査委員会の活用を提言しております。  なお、提言一は、原子力安全規制当局に対して、様々な規制のとりこの力を及ぼし事故を帰結した行政府、電気事業者の動き全体を立法府が監視すべきと提言しています。監視対象は行政府、電気事業者の動き全体です。  当委員会の設置当初の与野党申合せでは、当委員会の監視対象は原子力規制委員会とするとされていますが、前々回、二〇二二年五月十日、前回は二〇二四年の五月三十一日の意見陳述の際にも申し上げましたとおり、事故調の提言の趣旨とずれた申合せがなぜ今も維持されたままなのかは、私は理解に苦しみます。  次のページ、お願いします。  国会事故調は、国会に対して提言の実施計画の速やかな策定をお願いし、その進捗状況の国民への公表をお願いしました。私が当委員会で発言の機会をいただくたびに申し上げておりますので、先生方は既に十二分に御承知のとおりだと思います。  次のページ、お願いします。  国会事故調は、事故後九か月目にしてようやく設立され、約半年で報告書の提出を法定されました。結果として、七か月ちょっと手前、六か月以内に報告書を提出したという形になっております。七月の五日に報告書を提出し、翌日に委員は全員解任され、委員会は解散となりました。  衆議院、参議院に委員会が、この原子力問題調査特別委員会が設置されたのは二〇一三年だったと思います。当委員会でのアドバイザリー・ボードの設置は二〇一七年でございます。  報告書提出から百五十四か月経過しました。提言実施の計画についての御議論は実質的に皆無でございます。このことについて生成AIにコメントを求めたところ、かなりの時間が経過しています、時の流れは速いものですという屈辱的なコメントを頂戴しました。  次、お願いします。  この経過を見て湧き上がるのは、単に無意識の暴力ではなく、実は立法府による意図的な無意識のふりをする暴力ではないかという疑いです。国民の国家に対する信頼を再建するには、この疑いが起こらないように、国民の代表であり国権の最高機関である立法府が行動をもって真摯な姿勢を示すことが不可欠であると確信します。  次、お願いします。  国会事故調が求める行動は最初に提言実施の計画の策定ですが、報告後、百五十四か月の間、議論が皆無というのは先ほど申し上げたとおりでございます。想定される原因は二つ。一つは委員会の目的の喪失、もう一つは議論の在り方ではないかと考えます。  次、お願いします。  まず、委員会の目的をいま一度再確認します。  本委員会は、法案審議はしないということですので、目的は二つ。第一、国会事故調が憲政史上初めて行った立法府による行政の監視の継続とその活性化です。目的は、規制のとりこの再現を阻止すること、監視対象は当然行政全般であります。原子力規制委員会を監視すれば足りるものではありません。第二に、もっと大きな役割というのがあると思います。原子力政策に関する社会的合意形成を国会が主導することです。国家の信頼を再建するに当たって、この委員会が果たすべき役割は、本来とても大きなものがあると考えます。  二つ目の原因は、議論の在り方です。国会の中にはいろいろな委員会がありまして、委員会若しくは調査会、審査会がありまして、立法の勧告権を有するもの、工程表を策定する機能を持つものなどがあります。これらを参考に、議論の在り方を見直すことも重要だと思います。  次、お願いします。  国会事故調の提言の実施やバックエンドに関する諸問題に取り組む計画の策定に当たっては、現在、政府が行政の無謬性からの脱却を目指して取り組んでいるエビデンス・バックト・ポリシー・メーキング、EBPMが参考になると思います。事故調の提言が実施されている状態、あるいはバックエンドの諸課題について国民的合意形成がなされている状態を、ありたい姿、インパクトと位置づけて、EBPMガイドブックに示すロジックモデルを作成し、工程全体の像と議論の位置づけを常に確認できる体制をつくることが第一歩だと考えます。  次、お願いします。  また、それぞれの工程を進めるに当たっては、ガントチャート化などによるモニタリングの可能性を当委員会若しくは国会として確保することが不可欠であると考えます。  次、お願いします。  先日、歌舞伎座で忠臣蔵を見てきました。忠臣蔵が描く赤穂事件は、意図的な無意識のふりをする暴力が帰結する破局を描いていると見ました。  私は、この国が、国民から信頼され、外国から敬意を払われ、国内的に安定した国であってほしいと強く望みます。国民の国家に対する信頼を、国民の信託を受けているはずの立法府が、自ら根底から破壊し続けている破局的な光景が長く続かないことを切に祈ります。国民の一人として、その使命に参加したいと考えております。  次、お願いいたします。  前回も御覧いただきましたけれども、二千四百年前、意図的な無意識のふりをする暴力を前に、ソクラテスは、君は恥辱と思わないのかと述べました。賢人の言葉を念頭に、今日どのような御議論が展開されるのか、お聞きしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。(拍手)

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