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田中邦裕 ·一般社団法人ソフトウェア協会会長/さくらインターネット株式会社代表取締役社長

衆議院内閣委員会(2025-04-16)での発言

第217回国会 ·第第14号号 ·4,443字
○田中参考人 ソフトウェア協会の代表をしております田中邦裕と申します。  本日は、このような機会をいただきましたことを改めて御礼申し上げます。  既に提出しております資料を基に説明をさせていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  私でございますが、二十九年前に京都の舞鶴高専に在学中、学生起業をしたさくらインターネットの代表者でございまして、二十年前に上場いたしました、いわゆるスタートアップの起業家でもございます。三年前からソフトウェア協会の会長を拝命しておるほか、本日御参加いただいている松尾参考人が座長をしておりますAI戦略会議の構成員をさせていただいておりまして、この二年間、AIの戦略であるだとか、またAI法の議論等に参加させていただいていた者でございます。  次のページでございますけれども、ソフトウェア協会の説明を少しだけさせていただきます。  ソフトウェア協会は、一九八二年に任意団体として、現在ソフトバンク社の代表をしております孫正義氏によって設立をされた団体でございまして、一九八六年に社団法人になっております。来年で四十周年を迎える団体でございます。  過去でいいますと、ソフトウェアの権利であるだとかソフトウェアのリスク回避、コピーをしたときの問題の解消であるだとか、また、著作権法を当時改正をして、ソフトウェアに著作権を認めていくということについての活動をしてきた団体でございます。最近ですと、健康保険組合の運営、IT健保の運営の母体であったりだとか、またAIの促進等で活動している団体でございます。約八百社の方々が入会されております。  次からが本題でございます。  四ページ目でございますけれども、本日申し上げたいことは三つでございます。  AIの利活用をしっかりと促進し、また教育を行い、みんなが使えるようになる国になるということが一つ。  もう一つが、AIの利活用だけではなく、AIを産業として、AI自体を開発し、AI自体を産業化し、この国の成長の礎にしていくということです。  もう一つはリスク対応。最近ですと、ジブリ風画像の生成なんというものもありますし、先ほどから参考人からありましたように、AIによる差別的な取扱い等、大きな問題が顕在化しております。そのようなものを今回の法案のその先にしっかりと規制をし、しっかりとガイドラインを示していく、これが重要であるということを申し上げたいというふうに思っております。  まず、AIの利活用。多くの方々が利活用していると思いますけれども、それでもAIを本当に利活用している国に比べると、全然日本は遅れているという状況にあります。  実際に私の身の回りでも、チャットGPTを使っているかと若い人に聞いても、ほとんどの人が使っていないと言います。私の周りは本当に使っている方が多いかと思ったんですけれども、例えば、ジムのトレーナーさんとか、髪を切りに行ったときの美容師さん、このような一般的な現場の方々というのはほとんど使っておられません。  一つのエピソードとして、私が通っておるジムが、全然お客さんが来ないと言っておったんですけれども、それをチャットGPTに聞いてみたらどうかとその場でインストールをさせて、いろいろ手法を試していただいたわけなんですけれども、何とそのジムがお客さんが増えてしまいまして、AIの利活用によって本当にすぐに対応ができる。ただ、それが使えるということ自体を知らないということは非常に嘆かわしいことだなというふうに思っております。  ただ、もう一つの論点としまして、それはチャットGPTを使ったわけですけれども、一つの検索をするたびに、人間の一千倍以上の電力、エネルギーを使いながら動いている、電力の問題も発生させてしまいます。また、それが海外のサービスであった場合に、どんどんどんどん貿易赤字が増えてしまうという問題がございます。  この辺りについてはまた後ほどお話をさせていただきますけれども、国力を強くするAIなのか、若しくは国富を流出させてしまうのがAIなのか、また、国民が不利になってしまわないようにするということも重要でありますし、AIについては、プラスの側面、マイナスの側面、両方があるということは言うまでもございません。  次のページでございますけれども、日本は、デジタル敗戦という非常に屈辱的な言葉で最近叫ばれるようになっています。  ただ、私は、一九八二年にできたソフトウェア協会の代表として思うのは、ソフトウェア産業を一九八〇年代は振興しようとしていた、また、半導体についても、世界トップテンの企業のうち七社が日本企業であった、非常に我が世の春を謳歌していたのが日本のデジタル分野であったわけですけれども、なぜこのようになってしまったのかということをやはり団体の代表として深く考えることがあります。  その中で、少しまとめさせていただいたのが五ページでございます。  一つ分岐点になるのは、やはり日本がハードウェアに偏重し過ぎたということ。今回のAIに関しても、いわゆるソフトなわけですけれども、我々もGPUの整備というのをしておりますが、その先にいかにソフトウェア産業を発展させるかということが非常に重要でありました。  しかしながら、一九八〇年代、アメリカからの圧力もありまして、ソフトウェアに著作権を認めるということ、これは国会で審議をされ、一九八五年に著作権法が改正され、ソフトウェアに著作権が認められました。  そうなりますと、ハードウェアのつけ足しとして考えていた日本の企業さんはソフトウェアでもうけられなくなり、ソフトウェアだけを売っている企業が一九九〇年代、二〇〇〇年代に大きな利益を上げたことは皆様も御存じのとおりだと思います。ですので、ハードウェアでもうけられなくなり、ソフトウェアで外貨を外国に流出してしまうということに関しては、構造的に一九八〇年代につくられたものであります。  もう一つが、一九八五年の日米半導体協定でございます。その際に、半導体の価格に関してはアメリカが決定していく、決定権がアメリカに委ねられたわけですけれども、当時の日本というのは、どんどんどんどん半導体が安くなる中で、競争力をどのように担保するのかということよりも、値段をいかに維持するのかということに躍起になっていました。ですので、アメリカの利益も日本の企業の利益も合致したということを聞いております。  ですので、半導体の値段を日本で決めるのではなく、決めてもらうことによって、高い値段が維持できるようになって、日本の半導体事業者は我が世の春を謳歌したわけですけれども、その五年後、一九九〇年には、既にトップテンのうち七社あった半導体企業が、日本では二社に減っておりました。  それは何かというと、高止まりした値段で一瞬はもうかったんだけれども、そのうちに、韓国や台湾の非常に質がよくて安い半導体に流れてしまった、おまけに技術者もそちらに流れてしまった。ですので、それらの技術を確立したのは日本人であります。  そういった中で、構造的に一九八〇年代から九〇年代にソフトウェア産業が縮小していったということがこの背景にございます。そんな中で、ネット企業が台頭する中でも、日本は十分に世界で活躍できなかったというのがこの背景にございます。  その次のページでございます。  その結果、どうなるかといいますと、六ページにございますように、六・五兆円という莫大な貿易赤字をつくることになったというのが現状であります。これは現在進行形でございまして、DXと言われますけれども、DXで生産性を改善するということをどんどん進めれば進めるほど、日本はどんどんどんどんデジタルで赤字を重ねていくということになっています。  なので、デジタルで生産性を上げることによって、デジタルによって国民が貧乏になっていくということが言えますので、これだったら、DXが進まない方がいいんじゃないかというふうなことも言えるわけですが、ただ、国際競争がございます。日本の会社だけがDXをしない、そしてAIを活用しないということになると、当然のことながら、産業競争力がそがれていくことになります。  じゃ、どうすればいいのか。しっかりと国内でデジタル産業、AI産業を確立し、DXやAI利活用が国富を増すことにつながることが重要だというふうに考えております。  余談でございますけれども、私の田中邦裕という名前は、親が国を裕福にするということで名づけたというふうに言われておりまして、これまではそんなことは考えたこともなかったですけれども、業界をしょって立つ立場になり、また、AI戦略会議で、日本がAIでどのようにしていくのか、国家のレベルで戦略的に考えた際に、やはり国民が豊かになり、そして国が豊かになり、国際競争力を増して、将来にわたって繁栄する国をつくること、これをデジタル、AIとともに成し遂げることが非常に重要だというふうに感じたわけでございます。  次のページでございます。最後のページでございます。  最近、ニセコという町がどんどんどんどん外国資本に置き換わっていって、建物も運営も、そしてお客様も外資になっていっている、働いている人だけが日本人だという構造になっています。六・五兆円の貿易赤字をデジタルでつくっているわけですけれども、幸い、インバウンドによってそれを取り返しているとも言われています。  ただ、そのインバウンドの主役である観光客が来たとしても、働いているのが日本人なだけで、資本も、そして運営も全て海外に握られている中で、生産性の高いデジタル産業で国富が流出し、労働によってそれを取り返すというこの構造が本当にいいんだろうか。このようになると、やはり日本が成長しないということを意味しております。  このような中で、日本はAIの利活用によって国を豊かにしていくということが非常に重要であります。  もう一つがリスク回避でございます。先ほどのジブリ風画像のように、日本は多くのコンテンツを持っているわけですけれども、それを勝手に学習されて、それが著作権料も払われないまま世界中の人たちにフリーライドされてしまう、日本人にはお金が入ってこないという状況がある中で、やはり日本で産業をつくるとともに、海外の事業者とのイコールフッティング、海外の事業者に対しても一定の規制をしていく中で、海外の事業者も、逆に日本で安心して仕事ができるような環境を日本企業とともにつくっていくということが重要かと思っております。  以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

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