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渡辺努 ·東京大学大学院経済学研究科教授

衆議院予算委員会公聴会(2025-02-25)での発言

第217回国会 ·第第1号号 ·2,830字
○渡辺公述人 御質問ありがとうございます。  一点目ですけれども、第一ステージ、第二ステージと私が勝手に区切りをつけておりますけれども、第一ステージというのは、要は、賃金とか物価とか金利とか、そういうものが、異常だったものが直ってくるプロセス、それはもう三年ぐらい前から始まっていて、現在進行形でほぼほぼ見通しが立ちつつある、そういうものかというふうに思います。それに対して第二ステージは、多くの方はまだ余り意識されていないものかと思うんですけれども、第一ステージに続いてくるものですということです。  そこでのポイントは、財政の話とそれから生産性の話を今日申し上げましたけれども、特に生産性の話というのはどうしても時間がかかるだろうというふうに思っておりますので、十年という大ざっぱな時間ですけれども、決して一年、二年という意味ではなくて、やはり十年単位でかかるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。  どういうことかといいますと、要は、今、賃金が上がってきていて、それから物価も上がってきていてという世の中の変化が起きている中で、人手不足ももちろん起きています。その中で、先ほどもちらっと申し上げましたように、比較的それでも好調な、生産性がしっかりと上昇しているような立派な社長さんがやっている企業とそうじゃない企業とのめり張りみたいなものがついてきていて、好調な方の賃金は高いし、そうじゃない企業はそうじゃない、こういうことが起きてきて、そこでの人のモビリティーというんでしょうか、それも徐々にではありますけれども、起き始めているわけです。  今後起きることというのは、ですので、特に、調子の悪い方の企業というのについては人がどんどん抜けていくわけですので、引き続き賃金を上げられませんので抜けていくわけですので、最終的には、もしかしたらオーナーの方しかいらっしゃらないようなことになって、そこでオペレーションを閉じるみたいな、そういうことが起きるというのが一応展望できるのかなというふうに私は思っております。  それは、ちょっと違う言い方をしますと、元々日本には、なかなか活発じゃない企業、ちょっと言葉は乱暴ですけれども、ゾンビ企業と言われたやつがいたわけですけれども、ゾンビ企業というのを淘汰する、それをなくした方が恐らく日本経済にとってはいいんだけれども、なかなかそうはならない。こういうところで、いろいろ政治家の先生方も御苦労があったかと思うんですけれども、それは取りも直さず、やはり雇用とつながっているので、その企業を潰してしまったら、そこにつながっている若い人とか雇用者の方、特に地方でそういう問題が深刻だということで、なかなかそれが淘汰ができなかったのかと思います。  今それが、そういうモビリティーが活発になる中で徐々にできつつあるのかなと私は思っておりまして、今までよりも、もう少しゾンビ企業の整理というものがやりやすくなる、そういう環境の変化があるのかなというふうに思います。  とはいっても、やはり、もしかしたらゾンビ企業というのは、その地域においては非常に不可欠かもしれません。そうすると、その受皿をどうするのかとかという問題が当然出てきますので、そこは一年、二年でちゃかちゃかとやって、市場メカニズムで、価格メカニズムで全部押し切るとかということにはきっとならないんだというふうに思っていますので、そこはある程度の時間という意味で、先ほど十年というふうに申し上げました。  私は学者ですので、なかなかそんな、ゾンビ企業をどうするか、どう退出してもらうかとかということを一つ一つやる人間では全くございませんけれども、まさに先生方が、それぞれの地域におけるゾンビ企業というものをどうやって淘汰していって、しかし同時に、雇用者には影響がないようにするにはどうしたらいいか、それによって、その地域全体の生産性というものをもっと上げていって活発にするにはどうしたらいいか、こういうことを今まさに前向きに考えるいいチャンスが来ているんじゃないかというふうに思います。  私の第二ステージは非常にポジティブな意味で申し上げておりますけれども、当然のことながら、そのポジティブをしっかり実現する上では、地道な、ゾンビ企業を淘汰するというような作業というのも必要になるということでございます。  それから、二番目の、財政の百八十兆と数字を挙げましたので、それに関する御質問かというふうに思います。  金額が、百八十兆というふうに私が試算した数字をぽっと出しましたので、そこが本当に百八十なのかどうかというところについては、もしかしたら、精緻にやれば二百かもしれないし百七十かもしれない。そこの辺のぶれというのはあるというふうにお考えいただければと思うんですが、それでも、決して十兆ではなくて、あるいは五百兆でもなくて、大体百八十兆程度のものが、ゼロ%から二%に行くことによって財政面でもポジティブな面として起きるんだ、こういうことです。  先ほどの、河村さんの話がありましたし、質疑でもありましたけれども、大きな流れで見ると、やはり財政というのはいろいろ難しい状況なわけですので、それで百八十兆を勝手に使うとかというのは当然あり得ないので、まずは百八十兆得られるということを前提にして、それをどこにどう使うのか。先ほど、防衛というふうに申し上げましたけれども、私は別に防衛に使うのがいいと言っているわけではなくて、防衛に使うのがいいというふうにおっしゃる御意見もきっとあるでしょうから、それぞれの方々の意見の中で、百八十兆という、この二%に移行することによって得られるある種のボーナスみたいなものですので、それを考えていかれるのがいいのではないかというのが、まず第一に申し上げたかったことです。  それから、もう一つ申し上げたかったことは、ちょっと最後のところで駆け足になってしまいましたけれども、それは二%に行ったときに初めて得られるものですので、もう一回、仮にゼロ%のデフレのような状態に戻っちゃえば、百八十兆は捕らぬタヌキになってしまうわけですので、それはやはり避けるべきだろうなというふうに私は思います。生産性とかいろいろな意味で、やはり二%経済に行くことのメリットがありますので、財政以外にもありますので、それはしっかりとそこに行くべきだというふうに強く思っています。  であれば、その二%経済を定着させるために、いろいろなところでやはり財政資金というのも必要になるだろう。そこは、この百八十兆のプールがあるというふうにお考えいただいて、そこから支出するということでいいんじゃないかと。例えば、今回の予算の中でも、最低賃金やら、あるいは転嫁の問題を解決するための予算措置というのが入っています。

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