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谷合正明 ·公明党

参議院憲法審査会(2025-06-18)での発言

第217回国会 ·第第6号号 ·2,527字
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  まず、本憲法審査会におきましては、四月二日に憲法に対する考え方についての自由討議に始まりまして、参議院の緊急集会、災害時におきます選挙制度、また憲法と現実の乖離、国民投票法等について参考人質疑や委員間の意見交換を行ってまいりました。いずれも真摯で活発な議論を積み重ねることができたというふうに認識をしております。今日は国民投票法等についての意見交換でありますが、実質六回目のこの審議となっております。  公明党は、国民投票運動は、憲法制定権者であります国民の意思表明であり、できる限り自由な運動を保障すべきとの立場であります。国民投票運動のための広告放送について、法律で全面禁止するなど、更に規制を強化すべきとの意見があることは承知しておりますが、表現の自由に対する過度な法規制には慎重でなければならないと考えます。現行法以上の規制については、広告の出し手である政党側と受け手の放送事業者等のそれぞれの自主規制、自主ルールに委ねられるべきであります。  また、デジタル化が急速に進展する中で、インターネット広告がテレビ広告を凌駕するようになっていますけれども、インターネット広告を利用した国民投票運動についても同様に、政党側の自主規制と事業者側の自主的な取組を併せて推進し、表現の自由と投票の公平公正のバランスを図っていくべきと考えます。  一方、六月四日に本審査会で行われた参考人質疑において、日本ファクトチェックセンターの古田参考人からは、インターネットと情報プラットフォームが情報流通の中心となる中で、フェイクニュースをめぐる状況は内外問わず加速度的に悪くなっているとの強い危機感が示されました。  実際に、六月三日に投開票が行われました韓国大統領選挙では、悪意を持って本物のように合成された動画、いわゆるディープフェイク動画への削除申請件数が一万件以上に急増し、これは昨年の韓国総選挙時の二十倍以上の増加と報道されています。候補者が刑務所に入っているかのようなディープフェイク動画や殴り合っているように見えるディープフェイク動画がSNSで拡散され、関係者は、候補者をおとしめるために悪意的に作られたものだと断じています。  このように、ディープフェイク動画が大量に出回るようになった背景には、AI技術の進展により誰もが簡単にディープフェイク動画を作れるようになったことが挙げられます。今後ますますAI技術が発展することに鑑みれば、これまで以上に精巧なディープフェイク動画が大量に出回ることになります。  国民投票運動中に民意をゆがめようとする悪意あるディープフェイク動画がSNSで拡散されることは、もはや必然と考えなければならないと思います。ゼロフェイクを前提にできない現代においては、ウイズフェイクを前提に、国民が正確な情報に基づいて国民投票を行い、国民の意思が正確に投票結果に反映されるように環境を整える必要があると思います。  そのためには、国民一人一人が言わば免疫としてフェイクニュースなどへの批判的能力を身に付ける必要がありますけれども、そこで重要な役割を果たすのが広報協議会だと考えます。  私自身が古田参考人に広報協議会の果たすべき役割について見解を質問いたしましたところ、広報協議会というのは、狭い意味での独立機関としてのファクトチェック機関というよりも、広い意味でのファクトチェックの担い手として国民投票に関する誤解についてQアンドAの記事を書くといった、誤解に対する正しい情報発信を積極的に行うべきとの答弁がありました。  同様に、北九州市立大学の山本参考人も、意見陳述において、広報協議会が国民投票の論点に関する正確な情報を分かりやすく発信することで情報受領者の判断を支援することが望ましいとし、SNS等を通じた配信や広報協議会の保有する正確な情報を公開、保存するウェブサイトの開設を提案されています。  両参考人が指摘されるように、国民がフェイクニュースへの批判的能力を身に付けられるように、広報協議会がSNSやウェブサイトを通じて積極的に情報発信ができるように事務局を含めた組織体制を整えるべきであります。その際には、事務局にAIがデジタル社会に与える影響について造詣の深い専門家を招聘し、フェイクニュース対策に万全を期すことを検討すべきです。  さらに、フェイクニュースの予防に有効とされておりますプレバンキング、要は拡散が予想される偽情報、誤情報に対してあらかじめ検証、解説する記事を出すというこの手法を使って、広報協議会が情報の空白を埋めるための情報発信を行うことについても検討を進めるべきと考えます。  このように、広報協議会はフェイクニュース対策において重要な役割を果たし得ますが、山本参考人、古田参考人、大阪大学の工藤参考人のいずれからも指摘のあったとおり、フェイクニュース対策には多面的な取組が不可欠であり、関係する機関との連携も重要であります。  例えば、工藤参考人が指摘したシャープパワーと呼ばれる外国などからのフェイクニュースの拡散による世論操作に対しては、政府の外交及び安全保障上の努力、取組が求められます。これが公共の利益に重大な侵害を及ぼすと判断される場合には、令和四年十二月に閣議決定されました国家安全保障戦略の、偽情報等の拡散を含め認知領域における情報戦への対応能力を強化するとの方針に基づき、国による対処が必要ではないでしょうか。  また、広報協議会が作成する広報について、SNS事業者や検索事業者等に対し、アルゴリズムから切り離して優先的に表示されるようなシステムの構築及び稼働を要請することもフェイクニュースに対する有効な対策となり得ると考えます。  このように、総合的な取組を通じて民意を正確に反映させられる仕組みをつくることは、国民投票法を所管する本審査会の責務でありまして、AI技術の発展等も踏まえ、フェイクニュース対策について更なる議論の積み重ねが必要であるということを述べまして、私の意見といたします。

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