○馬場委員 日本維新の会の馬場伸幸です。
先ほど衆議院法制局の橘特別参与より、衆議院法制局及び憲法審査会事務局が作成した緊急事態条項のイメージ案を御説明いただきました。いつもながら公正かつ精緻、明快な資料の取りまとめに御尽力された橘特別参与を始め関係者の方々に深く御礼を申し上げます。
イメージ案は、自民、公明、国民民主、有志の会、維新の五会派が昨年六月にまとめた骨子案を踏まえたもので、この四年間、本審査会で積み上げてきた緊急事態条項創設をめぐる議論の集大成であります。
我が党は、かねて、緊急事態条項をめぐる論点は既に出尽くしている、次のステップに入るべきだと繰り返し主張してきましたが、やっとここまでたどり着きました。もはや脇見をしているいとまはありません。本審査会において直ちに条文起草委員会を設置し、イメージ案をベースとして改正条文案の作成に入ることを強く訴えます。
柱は、緊急時の国会議員の任期延長等による国会機能維持、及び、国会機能の維持ができなくなった場合の内閣による緊急政令と緊急財政処分です。後ほど取り上げる参議院の緊急集会とのすみ分けのほか、選挙困難事態を認定する具体的基準や、国会が事前承認する際の議決要件等、細部においては論点が残されていますが、いずれも、条文化の作業を行っていく中で、議論すれば漸次折り合えるものと確信しています。
古屋会長には、もう一つの火急のテーマである九条の改正共々、是非とも速やかに条文化へと歩みを進めるべく差配していただくよう切に求めておきます。
残る論点のうち、本日は、国会議員の任期延長と参議院の緊急集会とのすみ分けに関して述べさせていただきます。
緊急時における国会機能維持のための衆議院議員総選挙延期と議員任期延長の特例、つまり緊急事態条項について、反対勢力、特に参議院サイドでは、なおも、憲法五十四条に規定された参議院の緊急集会を金科玉条として、その必要性を否定する向きが強いのが実情です。
憲法学の世界において、参議院の緊急集会の役割、機能について諸説あることは承知をしていますが、ここは学校ではありません。立法府に求められているのは、真に国民と国家の利益にかなう制度は何かという観点であり、無為なイデオロギー闘争や院のメンツは排除されるべきです。
憲法五十四条を素直に読めば、参議院の緊急集会の活動期間は最長七十日間であることに疑念を挟む余地はありません。それを踏まえ、イメージ案では、衆議院解散から四十日以内に総選挙実施が可能な場合、及び四十日を超える見通しでも相当程度長期間未満であれば、参議院の緊急集会で対応するとされました。参議院サイドからは、七十日間に縛られないという主張が公然と聞こえてきますが、緊急集会はあくまで二院制の例外措置です。権限や活動期間を広げるべきではありません。憲法五十四条だけでなく、国会法九十九条や百一条、百二条の二などを読んでも、整合性は見出せません。
参議院の緊急集会をあたかも万能薬のように説く方々の主張によれば、緊急集会は、一時的にせよ、参議院のみに国権の最高機関としての権能をほぼ全面的に譲り渡すものであります。
そもそも、主権者たる国民の大半は、三年ごとに行われる参議院選挙で投票する際、政権を選択する重い覚悟で一票を投じているわけではありません。むしろ、与党の政権運営が横暴になったり腐敗が目立ったりした場合、与党にちょっとおきゅうを据えるという思いで、日頃支持していない野党候補にやむを得ず一票を投じる傾向が強いことは、各種世論調査の結果でも明らかです。ましてや、参議院が国会の権限を一身に担う事態まで想定して参議院選挙で投票する有権者はほぼ皆無だと考えます。
緊急集会が七十日間にとどまらず長期にわたって権限を行使することは、有権者の思いから外れた国会運営になりかねません。いざというときに濫用される危険性を鑑みれば、緊急事態条項をしっかりと整備することで生じる問題よりも、緊急時の国会機能維持を参議院の緊急集会のみに頼って放置していく危険性の方がよほど大きいと断じざるを得ません。
首都直下地震、南海トラフ地震といった大災害や他国からの武力攻撃などに見舞われてから慌てるのでは時既に遅しです。甚大な被害が生じても国民主権に基づく統治が損なわれないための緊急事態条項を憲法で整えておくことは、国民のみならず、国際社会に対する立法府の責務でもあることを肝に銘じなければなりません。
イメージ案の資料の最後には、その他国会機能の維持に関する論点が設けられ、通常時の国会機能維持の方策として、臨時会召集期限の明記と解散権行使の在り方及びその制限について議論すべきとの意見がある旨明記されました。この二つのテーマは、緊急事態の枠外ながら、我が党は、緊急事態条項の条文化、及び次に控える九条改正の条文化と並行して本審査会で大いに議論を進めていけばよいと考えています。
緊急事態条項創設について、反対派は権力の暴走につながると主張していますが、改憲反対ありきの常套句にすぎません。むしろ、緊急事態条項創設は、緊急時に権力を縛り、できること、できないことをあらかじめ憲法で定めておくものであることを改めて申し上げ、発言を終わります。
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国立国会図書館 国会会議録 API を構造化
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MCP: search_diet_speeches(speaker="馬場伸幸")