○馬場委員 日本維新の会の馬場伸幸です。
昨今、合区の解消を憲法改正の優先テーマにすべしとの声が広がりつつありますが、我が党は大きな疑問を感じています。その理由、背景については、今月四日の本審査会において国民民主党の飯泉委員からの御質問にお答えをする形で述べましたが、本日はそれに肉づけをさせていただきたいと存じます。
一票の格差是正のために合区が導入されて十年を経ましたが、五月二十九日に発表された令和七年国勢調査の速報値では、参議院選挙区の一票の格差は最大で三・一八九倍となりました。このままで二年後の参議院選挙を行えば違憲状態が濃厚になることは重々認識をしています。とはいえ、更に合区の対象を増やせば、遠隔県同士による飛び地選挙区が生まれるなどの懸念は拭えません。ならばと、この際手っ取り早く合区を解消して議員定数を増やし一票の格差を解消するという流れになるのは、火を見るより明らかです。全都道府県民の声を一様に反映させるという美名の下、お手盛りの選挙制度にすり替えられるわけであります。
人口の減少、偏在が加速を上げて進み、財政状況も厳しい日本において、議員定数を増やすことはもちろん、維持し続けることも、国民の理解は得られないと考えます。
一票の格差をめぐって司法が違憲判断を下すたびに右往左往し、議員定数を増やしてしのぐという対処療法的な手法に頼り続けることは、立法府の怠慢、不作為にほかなりません。今現在、東京を中心とした都市部に人口が集中し、地方の人口がどんどん減っている状況下では、これからも同じようなことが繰り返されるだけです。国会が、一票の格差の解消にかこつけて、肝腎の身は切らず身を太らすようでは、火事場泥棒同然であります。今こそ、こうした木を見て森を見ないような議論から脱却すべきであります。
我が党はかねてから、参議院の選挙制度について、現行二百四十八の議員定数をおよそ一割削減して二百十八にした上で、比例代表と選挙区の選挙に替えて、全国を十一ブロックに分けてブロック単位の個人選挙に移行すべきであると訴えてまいりました。かつて参議院選挙制度改革法案を国会に提出をいたしましたが、提出当時の試算では、地域ブロック間の一票の格差は一・二倍以内に収まりました。
急がば回れであります。重大かつ火急な憲法改正テーマである緊急事態条項創設と九条改正を脇に置いて、補欠候補と言える合区の解消で道草を食うようなことを我が党は了としません。改憲の優先項目として合区の解消を声高に叫ぶ前に、我が党が主張する参議院選挙の大ブロック制導入など衆参両院の選挙制度の抜本的な改革を急ぎ、実現をさせることが立法府の責任であると強く申し上げます。
もとより、合区を始めとする選挙制度の問題は、単に選挙制度をいじればいいという次元のものではなく、中央集権の限界を突破するための統治機構改革と併せて検討されるべきです。明治維新に伴う廃藩置県を経て、明治二十三年に原型の府県制が導入されてから百四十年近く変わらない都道府県制度、地方自治の在り方を見詰め直し、抜本的に再構築することが不可欠です。
日本維新の会は、これまでに発表した憲法改正原案五項目の一つに統治機構改革を掲げています。趣旨は、地域主権の本旨を明確にするとともに、地方自治体の権限を強化すべく、道州と基礎自治体で構成される道州制を導入するものであります。連立合意書に基づき、昨日、自民党とともに実現に向けた法案を提出した副首都構想はその一里塚であります。
振り返れば、平成十八年二月に、内閣総理大臣の諮問機関、地方制度調査会が「道州制のあり方に関する答申について」を公表してちょうど二十年。この答申では、県を越える広域課題の増大や地方分権の推進の必要性などを踏まえ、国と地方の関係を再構築するために道州制の導入が提言をされました。それに前後して、内閣官房の道州制ビジョン懇談会や、自民党道州制推進本部、日本経団連、関西経済同友会始め官民双方から様々な提言がなされるなど議論が活発化し、第一次安倍内閣では道州制担当大臣が置かれたほどでした。ところが、その後、民主党政権誕生などを経て、道州制導入をめぐる熱は冷め切り、今に至っています。
現実を見れば、近代以降の交通網、情報網の目覚ましい発展や生活圏の飛躍的な拡大によって、北海道を例外とすれば、広域自治体であるはずの都道府県が広域性を喪失して久しいという事実に変わりはありません。
都道府県制度は、二重行政、二重投資をもたらす非効率な資源配分の温床になっており、ドイツやフランス、イタリアなど国際比較の視座からも、日本の広域自治体ははるかに狭隘です。欧州主要国の広域自治体制度が国情に応じて柔軟に変化してきたことに対し、日本の都道府県制度は極めて硬直的です。国力の強化にも大きく資する道州制の導入は紛れもなく時代の要請であると考えています。
今後、本審査会において、緊急事態条項創設と九条改正の次なる主要テーマの一つとして統治機構改革についての議論も深めていただくことを皆さんに切に求め、私の発言を終わります。
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