SEISAKU DB トップ
SEISAKU DB
石井美恵子 ·国際医療福祉大学大学院災害医療分野教授

衆議院災害対策特別委員会(2026-04-28)での発言

第221回国会 ·第第7号号 ·5,531字
○石井参考人 このような貴重な機会をいただきましたこと、感謝申し上げます。  私の方からは、防災庁の在り方について、主に四点についてお話をさせていただきます。多分、菅野委員、阪本委員と同じような内容も少し含まれておりますけれども、まず第一点が、国と関係省庁、それから都道府県、市町村の責務というものの災害対策基本法の抜本的な見直しを是非行っていただきたいというふうに思っております。そして第二点として、漏れ、むらのない防災業務計画と対応の実現。そして三点目は、JICA国際緊急援助隊の国内活動を可能とするJDR法の見直し並びに国際連携強化について。そして最後に、避難所、避難生活環境の抜本的な改善に向けた体制整備についてお話をさせていただきます。  二ページ目になりますけれども、我が国の責務というところで、実は、阪本委員もおっしゃっていましたけれども、災害対策基本法の実施主体は、被災している基礎自治体となっています。まさにこの自治体の職員の方々も被災者です。一昨年、イタリアに視察に行ってまいりましたけれども、イタリアでは、自治体職員も被災者であり、支援を受ける権利があるとして、避難所の対応とかは自治体職員は一切関わりません。外部支援で全部やるんだということでやっています。  下の図の三のところに示しているのは、これは広島大学の久保先生たちのデータをお借りしていますけれども、やはり能登半島地震で前線にいる基礎自治体の職員の疲労度が非常に高い。七、八点あたりというのはかなり厳しい状態にあるというふうに言われているんですけれども、それぐらい疲れ切って対応している、こういう現実があります。  ですので、是非、防災庁の所掌事務の中に、防災のための施策に関する基本的な方針及び計画に関する企画及び立案並びに総合調整に関することというところで、図の二に示すような体制整備に向けた抜本的な見直し改善を図ることを提案したいと思います。  ですので、例えば、小規模災害であれば基礎自治体が行う。中規模、大規模であれば、四十八時間は基礎自治体で頑張ってもらう。その後に、中規模であれば、被災している都道府県が支援をしっかりしていく。そして、大規模災害、南海トラフ等になった場合には、国、防災庁が徹底的に実施主体として動く。こういう体制に変えていかないと、避難所の問題とかいろいろなことがやはり積み増しになっていってしまいますので、是非この見直しは御検討いただければと思っています。  三ページ目を御覧ください。  最初の方は災害対策基本法なんですけれども、例えば、私たち医療支援にずっと関わってきている者たちの仕組みというのは、まさに先ほどお話ししたように、小規模災害、大規模災害で体制を変えていくんですね。ですけれども、行政はこういう体制になっていないんですよ。ですから、例えば、これはDMATですけれども、これぐらいの規模であればどうするということがきちんと明記されています。整理されています。ですので、この体制を行政の中にもしっかりつくっていただければと思っております。  次のページをお願いいたします。四ページ目です。  漏れ、むらのない防災業務計画ということで、下の図は、国際支援で私たちが海外で支援活動をするときに使われているクラスターアプローチというものになります。防災庁が設置されたら、漏れ、むらのない防災業務ということで、是非しっかり点検をして、まず何が必要なのかというところから構造化をしていただきたい。  その上で、クラスターアプローチにあるような、リードエージェンシーといいますけれども、例えば保健であればWHOがリードエージェンシーになりますというふうに、どこが担当するかというのは、やることがあってから決められるんですね。なので、現行で、多分、重複していることとか、どっちがやるのかよく分からないこととかがかなりあるんじゃないかなというふうに思いますので、しっかりと構造化をした上で、じゃ、どこが責務を負うのかという見直しをしていただきたいと思っています。  次のページ、五ページ目は、クラスターアプローチとリードエージェンシーということで、国際社会ではこういうふうになっているという参考でございます。  次のページ、六ページ目に行ってください。  私は長らく、JICA国際緊急援助隊医療チームとして国際支援を行ってきました。そして、東日本大震災で初めて国内で活動をしてちょっと衝撃を受けたんですけれども、やはり、国際社会で支援をするときには国連がしっかりマネジメントをしてくれます。彼らはすばらしいノウハウを持っています。ですけれども、国内は、一体誰が何をどこまでやるのかよく分からない。みんな必死になっているんですよ、誰も怠けていないです、すごく一生懸命やっているんだけれども、それがお互いに、足し算にもならなければ掛け算にもなっていかない、ずっと一足す一をやっているような、そういう様子があります。  そして、国際緊急援助隊医療チームとして活動してきましたけれども、JDR法の中に「海外の地域、特に開発途上にある海外の地域において」という規定がございます。  実は、今国際社会の中では、WHOがエマージェンシー・メディカル・チームの認証制度というものをつくって、私たちJICAのチームも、この認証制度のうち、タイプワン、タイプツー、タイプスリーと三種類あるんですけれども、日本はタイプツーまで取っています。中国とイスラエルがタイプスリーで、本当に、本格的な病院が展開できるというチームなんですけれども。このタイプツーまであるということは何かというと、実は、検査もできますし、レントゲンも撮れますし、手術もできますし、透析もできます。それらのトレーニングを私たちはしっかりやっています。  しかし、例えばトルコの地震のときにタイプツーを展開していますけれども、これはトルコで展開できるんですけれども、日本では展開できないんですね。そして、これらの機能は実はDMATは持っていません。DMATはこのような大規模な展開はできませんので、せっかく持っている日本の資源を国内で活用できないというのは非常にもったいないと思っていますし、恐らく南海トラフ地震のときにはこの機能が役に立つんじゃないかというふうに非常に思っておりますので、是非このJDR法の見直しを検討していただきたいです。  もう一つは、JICA国際緊急援助隊の救助チームです。これも国際社会でINSARAGがしっかりと評価をするんですけれども、国際認証を持つヘビー級のチームがあります。しかし、このチームも日本では活動できないんですね。イタリアにはこのヘビー級のチームが四チームございますけれども、基本的に、国内で活動しているチームが国際認証を受けて海外でも支援に当たる、そういう仕組みになっています。ですので、是非ここの見直し、せっかく日本が持っているこの有効な資源を活用しない手はないと思いますので、是非御検討いただきたいと思っております。  七ページ目に行きたいと思います。  今言ったように、EMTの認証を受けているチームが、GOのチームが二十六チーム、NGOが十四チーム認証されています。この人たちを、どうやってうまく支援を受け入れるか。国際協力に関することということが所掌事務の中に含まれています。ですので、国際社会からの支援を円滑に受けるための受援計画の策定が非常に重要です。これは防災庁だけではなくて、外務省、厚生労働省との調整や訓練が必要になると思いますので、是非この点についても御検討いただければと思っています。  次、八ページ目に移りますけれども、これは参考までです。私、二〇一五年にネパール地震で支援に行きましたけれども、世界どこからでもこのサイトが閲覧できて、そこをクリックすれば、どこのチームがどこで活動しているというのが一目瞭然なんですね。ですので、防災DXの中にこういう発想も是非入れていただいて、国際協力を受けやすいようにしていただきたいと思っています。それから、下の参考資料七は、実は日本のDMATと海外のDMATは合同訓練を行っています。ですので、これをしっかりと、JICAの国際緊急援助隊医療チームとか、もう少し広範囲に連携ができるようになっていったらいいんじゃないかと思っております。  九ページ目に行きたいと思います。  被災者の方たちが良好な生活環境をあまねく享受できるようにすることということが基本理念に含まれたということをとても評価をいたします。しかし、これを具現化する、実際に行うためには相当に制度設計が必要になっていくと思っています。  主な点としては、指定避難所に非常用発電機と空調設備の設置を義務化すること、これを是非実現してほしいと思っています。災害時に、真っ暗な被災地で明るいところはどこかというと、病院だけなんですよ。東日本もそうでした。能登もそうでした。病院に被災者が来てしまう。私たちは医療を提供したいのに、避難所対応までしなくてはいけなくなっている、これが実態です。ですので、指定避難所、特に、小中学校の体育館等に非常用発電機と空調設備を設置するだけで、低体温症だとか熱中症予防、こういったものが可能になるのではないかというふうに思っております。  ですので、指定するだけで終わらない、その後の機能までしっかり義務化していただきたいと思っています。  それから、この基本理念の実現に向けて、是非、防災庁が設置されたら直ちに、実務者レベルの有識者会議若しくはワーキンググループを設置して、何をしたいかというと、避難所の標準化とユニット化を実現するということです。そして、防災庁が避難所に係る人員をしっかり登録をし、そしてユニット化された物資をしっかり備蓄をして、それを防災庁がコーディネートできる。これはイタリアの仕組みが非常にモデルとして参考になりますので、是非御検討いただければと思っております。  災害関連死、阪本委員からも御指摘がありましたけれども、十ページ目をめくっていただければと思いますけれども、私はこの災害関連死というのは氷山の一角だと思っています。  実は、避難所で様々な健康被害が生じています。ですので、災害に被災したから寿命が短くなったかどうかはなかなかデータ化できない、客観的には測れないんですけれども、関連死に至らないまでも様々な健康被害が生じている。これは、私たち、災害を自然災害、人為災害とかいろいろ分類するんですけれども、実は、この事態というのは、複雑な緊急事態、コンプレックスエマージェンシーズの状態にあるのではないかというのが私の見解です。  これはBBCが難民キャンプ以下だというような報道もしていますけれども、やはり様々な社会制度とかが機能できなくて、自然災害に影響されて複雑な緊急事態をもたらしている。そして、公衆衛生上の様々な課題が避難生活に及んでいる。この結果としての、本当に氷山の一角が関連死なんだ。是非この視点の切替えをしていただければと思っております。  そして、十一ページ目に行きますけれども、良好な生活環境をあまねく享受できるようにすることということで、防災庁の設置の説明の中にスフィア基準等に基づくという言葉が入ったことは非常に評価をしています。そして、このスフィア基準というのは、トイレの数が何個とか水道が何個とか、もちろんこの最低基準も大事なんですけれども、何よりも大事なのは、尊厳のある生活への権利、人道援助を受ける権利、そして保護と安全への権利、こういう権利を保障するんだということを国の文章としてうたったということを、是非、共通理解をしていただければと思っております。  次のところは、先ほど言った非常電源の設置です。日本には非常に優れたものがあります。水循環型ポータブル手洗い器とかラップ式トイレとか非常に優れたものがありますけれども、これは電気がないと使えない。ですので、是非このことを御検討いただいて。  十二ページに行きますけれども、実は、日本ではニーズと資源の不均衡が起きています。最初にたくさんの避難者がいるんですけれども、物資が届くのはその後なんですね。イタリアは、四十八時間、最大量の資源を投入して、それから減らしていくんです。ですので、是非この仕組みをつくっていただければと思っております。  十三ページ以降は是非参照していただければ結構なんですけれども、十五ページのところの、少子高齢、人口減少社会で千七百四十一の備蓄は、実はすごく多いんです。だけれども、期限が切れて捨ててしまう。この繰り返しですので、是非、国として備蓄をして、どこでも使えるようにする、無駄を省く、この計画もしっかり立てていただいて。実は、この予防コストにお金をかけることの方がよほど損失コストは少ないという試算も出ていますので、是非。  最後、十六ページですけれども、防災立国の実現ということで、避難所を標準化し、ユニット化をし、さらには、アジアが特に災害が多いわけですので、これを輸出産業に発展させていって、是非、防災立国として、人間の安全保障、警察庁、消防庁と同じような、ここまで防災庁を発展させていただけたらありがたいなというふうに思っております。  以上でございます。(拍手)

石井美恵子 の他の発言

2026-04-28 · 衆議院災害対策特別委員会
○石井参考人 大変難しい御質問をありがとうございます。  例えば、スマトラの地震、津波災害で支援に行ったときには、なぜ支援に来る前に津波警報という仕組みをODAで支援してくれなか…
2026-04-28 · 衆議院災害対策特別委員会
○石井参考人 先ほども申しましたけれども、クラスターアプローチのような手法を参考にして、漏れ、むらをまずなくす。何がちゃんとできているのかということの概念整理をしないといけないんだ…
2026-04-28 · 衆議院災害対策特別委員会
○石井参考人 御質問ありがとうございます。  福祉の視点をどう入れるかということなんですけれども、まず第一点として、私、海外の学会で福祉避難所についての発表をしたときに、日本人は…
2026-04-28 · 衆議院災害対策特別委員会
○石井参考人 御質問ありがとうございます。  恐らく、イタリアの例がやはり参考になると思うんですね。イタリアの人たちは、被災者を幸せにするということをモットーにして活動されていま…
2026-04-28 · 衆議院災害対策特別委員会
○石井参考人 ありがとうございます。  何度も言いますけれども、イタリアでも、やはり発災から四十八時間は現場で乗り切らなきゃいけないフェーズがあるんですね。なので、体育館等の指定…
2026-04-28 · 衆議院災害対策特別委員会
○石井参考人 御質問ありがとうございます。  イタリアの例を取りますと、これはもう事前にしっかり計画されているんですね。この地域が被災をしたらここに避難所を設営するというところが…
2026-04-28 · 衆議院災害対策特別委員会
○石井参考人 ありがとうございます。  関連死の予防は、まず一つは避難生活環境の改善というのはあるんですけれども、ふだんの社会の仕組みの中で防災教育というものをどうやっていくかと…
2026-04-28 · 衆議院災害対策特別委員会
○石井参考人 もう時間も押しているようなのですが、お二人の意見と同意見で、現時点では、多分いろいろな関連法案があると思うので、そこは慌てて明記する必要はなくて、きちんと、今後、防災…

API / MCP 利用

国立国会図書館 国会会議録 API を構造化

REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=石井美恵子
MCP: search_diet_speeches(speaker="石井美恵子")