○河西宏一君 中道改革連合・無所属の河西宏一です。(拍手)
まず、この度の日米首脳会談に当たり、総理を始め、御尽力をいただいた政府関係者の皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。
今回の会談は、イラン情勢のみならず、激変する世界情勢における日米関係の在り方、トランプ関税も踏まえた経済安全保障の推進、極東への米国の関与など、国益を懸けた重要課題が焦点となりました。
トランプ大統領は、改めて、ホルムズ海峡における航行の安全確保に向けた日本の貢献を要請しました。事態を早期に鎮静化させ、原油高、物価高から国民生活と我が国経済を守るためには、最大限外交に力を尽くすことが大前提であります。ただし、同時に立法府には、ありとあらゆる選択肢について議論を尽くす責務があります。
私は、人命と国益を懸けた立法府の判断に当たっては、与野党を問わず責任ある対応が求められるとの自覚に立ち、また、総理、関係閣僚の皆様には、国民の皆様に向けた、できる限り分かりやすい御説明を期待し、以下、会派を代表し、質問いたします。
まず、外交の重要性について伺います。
現行の国家安全保障戦略には危機を未然に防ぐ五つの力が明記されており、その第一が外交力です。今回の会談はその重要性が確認されたとともに、イランとも良好な関係を構築してきた日本の責任は更に重みを増しています。
そこで、総理に伺います。ホルムズ海峡の安全を確保するため、自衛隊の派遣を前提とするのではなく、あくまで、最大限外交に力を尽くすとの方針でよろしいでしょうか。
また、令和八年中を目指し、戦略三文書を前倒しで改定すると明言されておりますが、今後も安全保障に関わる総合的な国力の第一として外交力を掲げる方針か、総理にお伺いをいたします。
今回の会談における対中政策を念頭に置いた成果文書は、米側のファクトシートのみです。また、米国の国家安全保障戦略と同様、中国の名指しを避けており、昨年二月の日米首脳会談における中国を名指しした共同声明と比較をいたしますと、物足りない印象を受けます。
一方、台湾に関しては、昨年の共同声明と比較すると、両岸問題の平和的解決を促すから支持すると、一歩踏み込みました。
これらの点を踏まえ、米中首脳会談を今後に控える中で、対中政策における今回の日米のコミットメントをどう評価しているのか、総理の見解を伺います。
次に、六か国による共同声明について伺います。
会談の直前、三月十九日、日本、イギリスなど六か国首脳によるホルムズ海峡に関する共同声明が発せられました。安保理決議二八一七号が脅威の認定にとどまる一方、昨日時点で三十三か国にまで拡大したこの共同声明は、各国が安全な航行の確保を目的とした適切な取組に貢献する用意があると踏み込んでいます。
総理に、この共同声明の意義とともに、何らかの狙いを持って日米首脳会談の前に発するよう我が国として積極的に関与したのか、伺います。
また、貢献する用意があるとした適切な取組とは我が国として具体的に何を想定しているのか、そこに自衛隊の派遣は含まれるのか、総理、御答弁ください。
あわせて、防衛大臣に伺います。
備蓄原油の放出をしたばかりである今、直ちに機雷掃海に向けた存立危機事態の認定は考えにくい等を勘案すると、自衛隊の派遣を含む、当面なし得る対応は、重要影響事態あるいは国際平和共同対処事態における後方支援のほか、既に中東地域で実施してきた防衛省設置法第四条による情報収集活動の領域を拡張するか、あるいは、自衛隊法第八十四条の二による停戦後の遺棄機雷の掃海にとどまるものと考えますが、政府としてどのように整理しているのか、答弁を求めます。
その上で、国際平和支援法に基づく後方支援について伺います。
後方支援は、憲法第九条の下、他国の武力行使と一体化しないという大原則を堅持しつつ、国際社会の平和と安全のために我が国が主体的に貢献できる法的枠組みとして、平成二十七年に平和安全法制の整備により確立されたものであります。かつては事態のたびに特措法を制定する必要がありましたが、国際平和支援法という恒久法に転換したことで、厳格な国会承認を前提としつつも、時機を逸しない対応が可能となりました。今般の事態は、この法制が真に問われ得る局面とも言えます。
この国際平和支援法を踏まえれば、国連が加盟国に具体的な行動を求める決議が実現し、この決議に沿って行動する有志連合等に対しては、我が国として補給や輸送などの後方支援が可能となります。我が国を含む三十三か国が適切な取組に貢献する用意があると表明した今回の共同声明は、まさにそうした国連決議の実現への政治的また外交的基盤と位置づけることができます。
総理は、今回の会談でトランプ大統領に、日本の法律の範囲内でできることとできないことを詳細にきっちりと説明したと強調され、トランプ大統領は、日本は一段と踏み込んだ対応を検討しているようだと応じました。
総理は、日本の法律の範囲内でできることとして、国際平和支援法の要件を満たす国連決議を踏まえた有志連合等に対しては後方支援が可能である旨、トランプ大統領に御説明をされたのか、確認をさせてください。
また、国際平和共同対処事態の認定に当たっては、自衛隊の派遣の前に例外なく国会の事前承認が必要であります。あわせて、国際平和支援法第六条第二項により、衆参両院には七日以内に議決する努力義務があり、加えて、衆議院の優越が適用されないため、衆議院解散時における参議院の緊急集会の場合を除き、衆参両院の承認が不可欠となります。
つまり、国民の生命、生活、生存に直結する重大な判断の下、我が国として初の事態認定を迫られる可能性があり、迅速かつ丁寧なプロセスが求められます。総理、今後の推移次第では、与野党の党首会談を呼びかけられるお考えはありますか。見解をお伺いをいたします。
次に、いずれも一般論として、船舶の護衛と個別的自衛権の行使について防衛大臣に伺います。ここでの問題は、日本の船が攻撃された場合に、護衛している自衛隊の艦船が反撃できるのかということであります。
まず、公海上の日本関係船舶に対して外国軍から武力攻撃が加えられた場合、武力攻撃事態を直ちに認定し、護衛艦が個別的自衛権を行使することは可能でしょうか。あるいは、事態認定前であっても海上警備行動による日本関係船舶の護衛は可能か、また、自衛隊を派遣した後に外国軍等から予見しない攻撃を受けた場合、対処が可能なのか、見解をお伺いいたします。
次に、この海上警備行動について伺います。
ここでの課題は、日本人が乗っている船だからといって、国際法に照らした場合、自衛隊が必ずしも守れるとは限らないという現実であります。ペルシャ湾にとどまっている日本関係船舶のうち、日本人が乗船する船が全て日本籍船とは限りません。船籍が外国であれば、旗国主義、船に掲げる国旗の国が責任を持つ国際ルールの原則があり、加えて、国際法上は自衛権と警察権を区別する概念はないため、海上警備行動の対象とできないケースが想定されます。
防衛大臣に伺います。こうした国内法と国際法のはざまに横たわっている課題に対してどのような問題意識をお持ちか、見解をお伺いいたします。
今回の会談では、日米両国で共同開発、生産してきた海上配備型の迎撃ミサイル、SM3ブロック2Aの生産量を急速に四倍へと増やすことが米国のファクトシートに明記されました。
そこで、総理に伺います。当該迎撃ミサイルの生産量を四倍に急増させるためには、国内の生産能力の大幅な増強が必要ですが、民間企業のキャパシティーを十分に精査し、かつ我が国の安全保障上の必要性を踏まえた上で、我が国として主体的に判断されたのか、御説明ください。
また、SM3ブロック2Aは、共同開発、生産のパートナー国である米国への移転が可能であり、我が国は平時から部品を米国へ提供しています。しかしながら、今般、当該迎撃ミサイルは、国際法違反の可能性が高い米国、イスラエルの攻撃に対するイランの反撃に対して、米海軍イージス艦の迎撃に使用されているところであり、国連憲章を踏まえた防衛装備移転三原則の運用指針に照らして整合性が取れないと言わざるを得ません。
今後も、日米同盟を軸とした我が国の安全保障を強固にし、国益を確保する観点から、米国に対して国連憲章を遵守するよう主体的に働きかけるべきと考えますが、総理の見解を伺います。
関連して、防衛装備移転三原則の運用指針改定について伺います。
現在、日本が自衛隊法上の武器に当たる防衛装備の完成品を輸出できるのは、一部の国際共同開発、生産品やライセンス生産品のほか、救難、輸送、警戒、監視、掃海の五類型に限定されております。与党の御提言は、この五類型を撤廃し、殺傷能力のある武器の移転も一定の条件の下で認めるものであります。しかし、世論調査が示すとおり、五類型の撤廃の必要性も、歯止めの在り方も、国民の皆様が納得しているとは言い難い状況であります。
そこで、官房長官に伺います。政府として、五類型を全面的に撤廃する安全保障上の具体的な必要性を認識しているのか、また、全面的な撤廃を要するほどの幅広い装備について他国からの引き合いがあるのか、答弁を求めます。
次に、厳格審査の在り方について伺います。
先日の予算委員会で、小泉防衛大臣は、この運用指針は憲法の平和主義を政策的に具現化したものであり、今後もそれは変わらないと御答弁されました。これは、国際紛争を助長する、あるいは国際法違反の侵略等に使われることを承知の上で武器を輸出することは、平和的生存権の保障との憲法の精神に反するとの従来の政府答弁を踏まえたものであり、防衛装備移転三原則ではこれを、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を堅持するとして具現化しています。
しかし、米国は、国連憲章を踏まえた対米武器・武器技術供与取決めを我が国と締結しているにもかかわらず、今回の米国とイスラエルによるイラン攻撃は国際法違反の可能性が高い。したがって、このままでは、国際約束さえ結んでいれば、その前提となる国連憲章を守らない相手国であっても、我が国として武器の移転が可能な運用となりかねず、到底、憲法の平和主義の具現化とは言えません。
そこで、移転対象を国連憲章の目的と原則に適合する方法で使用することを義務づける国際約束の締結国に限定するだけではなく、当該国際約束を締結し、かつ、これを誠実に履行すると認められる国に限定すべきと考えますが、官房長官、いかがでしょうか。
加えて、米国のFMS、対外有償軍事援助では、一定額を超える案件について、米国議会への事前通知が義務づけられております。米国ですら、議会のチェックを受け、透明性を高めています。我が国も、国会への事前通知や反対決議がないことを移転の条件に付すべきと考えますが、官房長官の見解をお示しください。
最後に、総理に伺います。
現行の運用では、過去に例のない武器移転に関する審査はいわゆる四大臣会合で行われますが、審査に関する署名もなく、責任の所在が弱いと言わざるを得ません。一方、閣議決定は全大臣が署名し、政権全体として責任を負うものであります。やはり、過去に例のない武器移転の案件については、GCAP、次期戦闘機の完成品を第三国に移転する場合と同様、閣議決定を行うべきと考えますが、閣議の議長である総理の見解をお伺いをいたします。
以上、国民の生命と財産を断じて守るため、有事を未然に防ぐ現実的な外交、安全保障政策を掲げる中道改革連合として、総理及び関係閣僚の皆様に明快な御答弁を求め、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕
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本日は、先ほ…
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