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塩入清香 ·参政党

参議院本会議(2026-03-31)での発言

第221回国会 ·第第7号号 ·3,520字
○塩入清香君 参政党の塩入清香です。  私は、会派を代表して、ただいま議題となりました法案について、特例公債法改正案には賛成、所得税法改正案には反対の立場から討論いたします。  まず、特例公債法案について申し上げます。  先般も申し上げたように、公債発行の授権期間を五年の複数年度にしていることは、長期的な見通しのある予算組みが可能になるため、この点に限れば一定の合理性がございます。しかし、本質的な問題はそこではありません。真に問われるべきは、今回の特例公債法の第四条、そして新設される第五条であります。政府原案には賛成いたしますが、この二つの条項には大きな懸念がございます。  以下、その内容を述べます。  これらの条文は、財政規律の名の下に、将来の財政運営に対して抑制的な枠を先回りしてはめるものです。私は、さきの本会議において、これがプライマリーバランス黒字化に代わる事実上の新たな緊縮ルールとなるのではないかと指摘いたしました。これに対し、高市総理は、公債発行額は予算で判断してきたと答弁されました。そのとおりであります。であるならば、なぜ今あえて特例公債法に書き込む必要があるのか、ここにこの法案の矛盾があると考えます。  更に申し上げます。もしこの抑制規定を残したまま五年間の公債発行を行えば、五年間、意図せぬ緊縮財政が固定化される可能性すらある。日本経済の回復の芽を自ら摘むリスクを内包しております。そのため、立憲民主党、公明党とともに、特例公債法の第四条、新設される第五条を削除した特例公債法改正案の修正案を提出させていただきました。  現在、中東情勢はもとより、世界は不安定化しております。このような局面において財政の柔軟性をそぐような制度を設けることは、極めて不適切であると言わざるを得ません。  政府は、戦略的な財政出動によって民間投資を促すと明言しております。しかし、この説明は、これまでの自民党が何度も繰り返してきたことです。その結果、三十年にわたり日本経済は停滞を続けてきました。うまくいかなかった処方箋をもう一度出したところで、現状を打開できるとは到底思えません。まさに、戦略的財政出動とは片山大臣の所信にもあったワイズスペンディングのことだと認識しておりますが、私は成長産業への投資を否定するものではありません。しかし、限られた予算を重点配分するだけでは経済全体は成長しません。  日本の名目GDPは、一九九一年末に五百兆円を超えてから二〇二四年に六百兆円を超えるまでに実に三十三年を要しました。しかし、その間、世界各国は大いに経済成長を果たしてきました。一九九七年を一〇〇としたとき、二〇二一年までの二十五年間で、中国四十倍、インド十七倍、韓国六・八倍、オーストラリア五倍、イギリス三倍、フランス二倍、政府支出を増やしています。日本はどうでしょう。たった一・三倍です。それこそが、世界的に見て日本だけが経済成長していない理由です。その間ずっと、無駄をなくせ、賢く使えと自民党はやってきたわけですが、これは結局、質の議論で量の不足を覆い隠しているだけではないでしょうか。  また、市場の信認という言葉が繰り返されています。信認とは何でしょうか。それはまさに経済を成長させる力です。日本は、自国通貨建てで国内に強固な国債消化機関を持っています。トラス・ショックがよく引き合いに出されますが、英国のような外部依存型の構造とは根本的に異なります。むしろ、供給力と購買力がなくなったときに初めて市場の信認が失われると考えております。  国債と借入金、政府短期証券を合計したいわゆる国の借金が一千兆円を超えれば日本はハイパーインフレになると、マスコミが繰り返してきました。今、日本の債務残高は既に千三百四十二兆円を超えていますが、現在のインフレ率は前年比で一・三%です。  ハイパーインフレの世界的な例としては、第一次大戦後のドイツ、第二次大戦後のハンガリー、近年ではベネズエラなどが挙げられます。ハイパーインフレとは、毎月五〇%のインフレ、物の値段が毎月一・五倍になっていく状態です。これらの背景には、戦争や資源依存の崩壊など、それぞれ固有の事情がありますが、共通しているのは、供給能力の致命的な破損、毀損と外貨建て資金への依存であります。現在の日本はどちらの条件にも該当しておりません。  日本の債務残高はグロスで大きく拡大していますが、現実のインフレ率は依然として低位にとどまっております。にもかかわらず、いまだに債務残高のみをもってインフレの危険を強調するのは不適切です。むしろ、必要な財政出動を怠り、供給能力を損なうことに将来的なハイパーインフレの道を開くきっかけがあると考えます。  その上で、先日、名目GDP三%を実現するために、日本はまだまだ財政出動が足りない、およそ三十兆円規模の財政出動が必要であるという試算をお伝えしました。本当の意味で市場の信認を得るために、政府はしっかり財政出動をし、経済成長をする必要があります。  次に、所得税法改正案について申し上げます。  まず、防衛費についてです。  防衛力の強化は必要です。しかし、その財源を所得税付加税一%の増税で賄うことは賛同できません。さきの本会議の際には、増税によって防衛費の財源を賄った例として、バルト三国での例があると答弁いただきました。つまり、やはり防衛増税は一般的ではないということです。多くの国は、防衛という長期的公共財については公債で賄うのが一般的。最も大切な国民の生命と財産を守るための費用は国が保障する、それこそが国家の品格なのではないでしょうか。  そして最後に、消費税と社会保障の関係についても触れさせていただきます。  高市内閣では、消費税は社会保障の財源であると繰り返し主張されてきました。しかし、実際は、消費税は一般会計に計上され、実務上はほかの税収と合算されて処理されているのではないですか。特別会計として区分されていない以上、あるいは、ほか用途を禁ずる法的拘束がない以上、消費税が社会保障費に充てられていることを厳密に証明することは不可能です。  かつて、一般会計は苦しいのに、特別会計という離れですき焼きを食べていると批判を受け、特別会計の一般会計化が進められました。その際、政府は、透明性の向上と必要な分野への柔軟な配分を理由として掲げておられました。つまり、政府自ら、財源は特定せず、全体として配分する仕組みへと移行したと説明しているのです。  であるならば、その同じ財源について、一方では柔軟に使うと言いながら、他方では社会保障のための税と説明することは論理的に成立しません。すなわち、消費税は目的税として徴収されながら、実際には一般財源として運用されており、その使途は国民が検証できない仕組みになっています。政府はこの矛盾についてどのように説明されるのでしょうか。  さらに、問題はここからです。  政府は、賃上げを掲げながら、同時に消費税という賃上げ妨害税を維持している。消費税は事業者にとってコストであり、価格転嫁ができなければ、その分だけ賃上げの余力を奪います。特に、医療機関では、仕入れ税額控除ができない構造により、消費税が直接的に経営を圧迫している。その結果、公立病院の八割以上が赤字に陥り、その補填は社会保障費で賄われ、最終的には社会保険料の引上げへとつながっています。  つまり、消費税は、賃上げを妨げるだけでなく、社会保険料の引上げを招く構造を有しています。この構造を放置したまま社会保障のためと説明し続けることは、国民に対して誠実な態度だとお考えでしょうか。  参政党が食品のみの消費税ゼロに反対し、一律の消費減税を主張したのも、今まさに医療業界が被っている消費税非課税による負担が飲食業界にも同じく発生する可能性が高いからです。  結論として申し上げます。  間接税として徴収されているのに運用は直接税、目的税として徴収されているのに実際は一般財源、社会保障の財源と言われているのに実際は社会保険料引上げ税。消費税が内包する多くの矛盾に、国民はもうこれ以上耐えられません。財源は示しました。どうか一度、国民のために廃止していただきたい。全てが変わると思います。参政党は、引き続き消費税の廃止についてしっかりと訴えてまいります。  以上を申し上げ、私の討論といたします。  御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)

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