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山本隆三 ·特定非営利活動法人国際環境経済研究所副理事長兼所長

参議院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会(2026-04-15)での発言

第221回国会 ·第第2号号 ·7,503字
○参考人(山本隆三君) それでは、私から簡単に御説明したいと思います。(資料映写)  前半に、ちょっとマクロ的な観点から、持続可能な社会とは何なのかということを考えてみたいというふうに思います。その後、日本社会は果たして持続可能なのか、それからまた、エネルギーの問題から見たときに、持続可能なエネルギー、あるいは持続可能な社会を支えるエネルギーとは何なのかという話をさせていただければと思います。後半の方は、少し資料も多いんで、少し短めにしながら、前半のこの話、持続可能な発展とは何なのかという話をまず少し長めにしたいというふうに考えます。  この持続可能な発展という言葉はよく使われていますけれども、その定義は何なのかというと、こういうことなんですね。読み上げませんけれども、言っていることは、将来世代が少なくとも我々の世代よりも良い生活ができなければいけない。簡単に言うと、経済でいうと一人当たりのGDPが成長していなければいけないということなんですね。  その前提として、気候変動問題が大変になると経済にマイナスの影響があるだろうと、したがって気候変動問題に取り組むんだというのが今までの考えだったんですけれども、ここに来てその考えに異を唱える人が出てまいりました。  まず、ビル・ゲイツ、これはもうマイクロソフトの共同創業者で非常に有名ですけれども、今世界一位か二位の資産家ですけれども、ビル・ゲイツは気候変動問題に非常に熱心な方だと言われていたんですけれども、実は去年の十月、気候変動枠組条約の国連の会議の直前に会議参加者へという長文のメモを発表しました。その中に、三点、彼は言いたいことがあると。これです。  気候変動は重要なんだけど、私たちの文明社会の終わりではないと。気候が終わっても社会は終わらない、人類は生きられるんだということなんですね。あれっという感じですけれども。で、彼が言っているのは、最善の防御は健康と経済成長なんだと、こういうことを言っています。  どういうことかというと、例えば、マラリアで亡くなる方は一年間六十万人ぐらいいるんですね。気候変動が進むと更に死亡者が増えるというふうに言われるんですけれども、ビル・ゲイツは、いや、そうじゃないだろうと。例えば、アメリカでもマラリアというのは戦後すぐまで相当あったんですね。それが、この百年近くの間はなくなった、今も時々出ますけれども。それはなぜかというと、生活水準が向上したからです。同じように、世界で生活水準を向上させれば、気候変動問題、それから疾病問題に立ち向かうことができる、だからそれが大事なんだと、こういうことなんですね。このビル・ゲイツの言っていることが今世界の中では主流になりつつあると、こういうふうなことがあります。その話はこの後にさせていただきます。  まず、地球の平均気温の推移、これを見ますと、このデータでは産業革命前から既に気候は一・五度上がっています。今国連の目標は二度、できれば一・五度に抑制するということなんですけれども、既に一・五度を超えているということなんですね。  気候が一・五度上昇したから私たちの生活は大変になっているか、そんなことないですよね。大きな問題は起こっているか。例えば、大きな台風が来て損害額が非常に増えているというふうな報道がよくあります。でも、よく考えれば、それは地球の人口が増えている、大変な勢いで増えているわけですね。増えている人口の大部分は都市部に集中して住んでいます。ということは、都市部のインフラが昔に比べると大変な勢いで増えている。その資産価値も増えているわけですね。したがって、災害が起きると損害額って大きくなる、当たり前の話です。それは、気候変動以外に都市化の影響とかいろんな問題があるんじゃないかということですね。  いずれにしても、ただ、気候が、上がっているというのは都市化の影響があるにしても事実です。どれぐらい上がっているのか。一・五度。じゃ、それはなぜなの。ここに二酸化炭素排出量の推移があります。これを見ると、時々下がります。例えばリーマン・ショックで下がる、コロナ禍で下がる。でも、その後リバウンドしているんですね。二酸化炭素の排出量は増えていっています。減ることは全くないという状況なんですね。この理由は、この後もまたデータ出てきますけれども。  こういう状況の中で、今世界の関心はクライメートからアフォーダビリティーなんだと。今世界の流行語はアフォーダビリティーです。昨年十一月にヨーロッパ参りましたけれども、もうどこでも、IEAでもドイツでもパリでも、聞いた言葉はアフォーダビリティーということなんですね。  アメリカ、十一月の中間選挙のテーマはアフォーダビリティーというふうに言われています。これ、手頃な価格というふうに訳されることが多いんですけれども、許容可能な受け入れられる価格ということですね。アメリカはトランプ政権だからそうだろうというふうに皆さん思うかもしれないんですけれども、アメリカの中で民主党のニューヨーク州知事のキャッシー・ボーグル知事が先月こういうことを言っています。選ばれた公職者が生活費の負担軽減を最優先事項とするべきだと、したがって、ニューヨーク州の気候変動目標は見直しますと、見直したいと、こういうふうに州知事が言いました。要は、アフォーダビリティーの方が優先します、こういうことですね。  で、ヨーロッパ、ここにフォン・デア・ライエン委員長の先月の発言を書いてありますけれども、二酸化炭素を放棄したことはヨーロッパにとって、ごめんなさい、原子力発電を放棄したことはヨーロッパにとって戦略的な誤りだったと、こういうふうな発言をしています。なぜか。原子力発電で安定的な電源が得られる、それから安定的、手頃な価格、アフォーダブルな価格が達成できると、こういうことなんですね。国際的には、随分、去年の後半ぐらいから流れが変わってきました。その背景にあるのは、物価上昇、生活苦ということになります。  二酸化炭素が増えているというのはこういうことです。世界のエネルギー供給見てください。世界の化石燃料消費量、供給量は増える一方です。これは、二酸化炭素が増えるというのはこういうことですね。で、化石燃料の中を見ると、石炭、石油、天然ガスがまあ大体等分に使われているということで、これが減る気配は残念ながらありません。これを捨てていくと、アフォーダブルでなくなる世界に我々は行くかもしれないということになりますね。  で、日本、アフォーダブルな社会なのか。全くアフォーダブルな社会ではありません。これはフランスのイプソスが、調査会社が世界の三十二か国を調査したデータです。生活にゆとりがある、世界三十二か国で最低の国は日本です。タイよりもインドネシアよりも生活にゆとりがない人が多いということなんですね。生活が大丈夫も非常に少ない。  一方、生活に苦労するとか非常に苦労するという人は多いんですね。これ、アメリカも多いんですけれども、アメリカをよく見ると、生活にゆとりがあるとか大丈夫という人も多くて、四割ぐらいいるんですね。ということは、これ、アメリカは多分貧富の差が大きい社会ということなんですけれども、日本は貧富の差がなくて貧しい人しかいないような社会になっていると、こういうことが言えるかと思います。  なぜなのか。その背景にあるのは、我々の賃金が増えていないことということです。これは経済成長していないということですよ。バブルが崩壊してから、日本経済、失われた三十年に突入して成長しませんでした。経済が成長しない、要は、生産性が増えないと給料は増えません。  その結果がこれです。二十四年間、二十五年間の給料の成長、減っている国がG7の中で二つあります、日本とイタリア。全く実質賃金は増えない。これはもうニュースでもよく報道されましたけれども、韓国にも実は日本が給料で追い抜かれましたというのが実態なんですね。  こういう中で、日本の社会はどうなっているのかということですね。これは、生活が苦しいですか、どうですかという調査ですね。そこに給料、国税庁の民間給与調査のデータを合わせてあります。実は、我々の給料が過去一番高かったのが一九九七年です。それから三十年近く給料は上がらないままだったんですけれども、二四年に二十七年ぶりに給料が過去最高を更新しました。平均給与四百七十七万五千円。ところが、生活がやや苦しいとか生活が大変苦しいという人は減っていないんですね。生活がやや苦しいという人、大変苦しいという人は国民の六割です。これ、先進国でしょうかということなんですね。  消費支出を見ますと、まあ減っていっています。最近消費支出が増えているのは、これ、物価が上がっているから仕方なく増えているということですよね。消費支出が減る中でありとあらゆる項目が減っているんですけれども、減らない項目があります、赤い電気代。減らせないんですよね。これはもう節電しても限度があるということです。エネルギーが私たちの持続可能な社会、生活に影響を与えるというのはこれでよく分かると思います。  今年一月の個別の支出を見ると、お米がよくニュースで話題になりますね、お米の値段が上がった下がった。でも、これ見てください。お米に使っているお金というのは、世帯平均で見ると一月三千円ぐらいですよ。それよりも、電気代に使っているお金、これ消費支出額の五%ぐらい、一万四千円とか一万五千円になるんですね、地域によって違いますけれども。  ということは、電気代の方がよほど生活にインパクトを与える。でも、テレビニュースにするときに電気は映せない、お米の値段はスーパーに行けばすぐ映せる。で、テレビ局はお米の値段ばっかりやっているんですけれども、まあ我々はエネルギーのことをよく考えなきゃいけないということですね。  その電気は何でつくられているのか。これは世界ですけれども、石炭で世界の電気の三五%がつくられているんですね。皆さん、世界の電気の三分の二は、何のことはない化石燃料でつくられている。余りこれは意識されていないかもしれません。再生可能エネルギーも最近増えていますけれども、世界全体で見るとこれぐらいのものということですね。  私たち、こういう中で日本の電気代を考えるときに、再生可能エネルギーの賦課金というのを考えざるを得ない。どれぐらいなのか。もう皆さん御存じと思いますけれども、五月から、来月からこの支払額が二十銭増えます。史上最高になります。一キロワットアワー当たり四・一八円ということですね。  四・一八円というと、どういうインパクトがあるのか。では、家庭で払っている電気料金は、地域と電力会社によって違いますけれども、大体キロワット三十円台前半から後半ですね。ということは、消費税は三円台なんです。再生可能エネルギーの賦課金で払っている額四・一八円は、消費税より多いんです。アフォーダビリティー達成のために消費税を何とかしろと言っていますけれども、電気について言えば、再エネ賦課金何とかする方が簡単かもしれません。  そのFIT、再エネ賦課金の買取り量、これ見ると太陽光発電がやっぱり非常に多いんですね。家庭用を含めると七割ぐらいある。それに使ったお金はどれぐらいあるのか。太陽光に使ったお金が四分の三ぐらいですけれども、制度が二〇一二年の七月から始まって、二五年の九月までに買取りに使った額は三十五兆五千億円です。このうち燃料代が節約できたものもあります。再エネが発電すると、その分燃料を使わなくていいわけですね。それを引いても、実は消費者が負担している分の、電気の消費者が負担している額は二十兆円を超えている。これだけの額を使ってどれだけ電気が増えたのか、再エネが増えたのかということですね。二四年度の数字で見て、太陽光一〇%です。三十五兆五千億買取りに使って、風力も少し増え、地熱も少し増え、バイオマスも増えた、でもこの程度です。これを更に増やすには我々どういう努力をしなきゃいけないのかということですね。  再エネにはもう一つ問題があります。安定供給の問題ですね。これは夏の電力供給、二四年九月十一日、東京電力です。供給量が需要量にほぼくっつく瞬間があります。これはどうしてこうなったか。太陽光発電が夕方になっておっていくわけですね。東京電力はそれを補う設備はなかったんです。発電できなかった。これ、停電は回避したんですけれども、それは近隣の電力会社から電力を融通してもらったから回避できた、こういうことなんですね。安定供給には問題が生じる。当たり前ですね。  ただ、今まで大きな問題がなかったのは、日本の一次エネルギー供給あるいは電力供給が波を打ちながら減少していた。これは、省エネ、節電の効果もありますけれども、もっと大きな影響があるのは産業が不振なこと、特にエネルギー多消費型産業が減速していることです。こういう状況だったので余り目立ちませんでしたけれども、これからは状況が違ってくる。  ちなみに、設備を見ると、設備は十年間でえらく増えているんですけど、増えている設備の大きい部分は太陽光です。安定電源の石油火力は大きく減っています。これが停電危機と言われるゆえんですね。  そういう中で、今まで発電量減っていたんですけれども、二〇四〇年度には増えるんだと、こういうエネルギー基本計画が出ています。なぜ増えるのか。データセンターですね、AIです。データセンター容量、増えていますね。これから更に増えます。これを見るとお分かりのとおり、AI、生成AIを使うためには計算しなきゃいけない。そのためにはデータセンターが必要になります。そのためには実は電気が要るんですね。三百六十五日、二十四時間、安定的な電気が必要になります。世界七か国見ても、G7でも電力需要は減っている感じだったんですね。これがこれから大きく変わる。G7全体で電力需要は爆上がりします。  データセンター、日本はどうなのと気になるんですけど、日本のデータセンター、世界十位です。日本は完全に出遅れています。容量を見るとこれしかありません。日本と韓国を合わせて、あそこの黄色い部分ですけれども、世界のデータセンター容量の四五%はアメリカ、二五%は中国、七割は米中が持っています。日本は二、三%程度しかないというふうに見られています。  こういう中で、データセンターをやるためには使える電源は何でも使うんだというのが今世界の流れなんですけれども、再エネの問題を考えてみたいんですね。太陽光パネル、習熟曲線と規模の経済のおかげでコストがどんどん下がっていました。陸上風力、コストがどんどん下がっています。点線部分は下がるだろうと予想されていたところです。二〇二〇年断面です。  ところが、これは二つとももう下がらないんですね。太陽光は最近新聞で三割上がったと報道されていましたけれども、風力設備のコストは四割上がったというふうにヨーロッパでは言われています。どうして風力とか太陽光だけ問題になるのか。使う必要鉱物、必要鉱物、それからセメント、鉄、桁違いに多いんです、再生可能エネルギーは、残念ながら。ということは、インフレになると最も影響を受けるのが再生可能エネルギーのコストということになります。  これは再生可能エネルギーのわなでして、化石燃料がある、今ホルムズ危機で再エネだというふうに言われていますけれども、化石燃料の価格が上がると資材の価格がインフレで上がるんです。再エネのコストも上がるんです。それは、二〇二二年のロシアが引き起こしたエネルギー危機で実証されたということなんですね。投資家は既に気が付いていますので、今回のホルムズ危機で、再エネをやっている例えばファースト・ソーラーとか神鋼とか、株価が上がったか。下がっています。投資家は、実はインフレになると再エネ事業というのは苦しくなるんだと、しかも金利が上昇しそうです、インフレを抑制するためですね、そうすると更に厳しくなるということで、余り楽観視はしてないなという感じがします。これが実際に上がっている日本の例ですね。  その結果、洋上風力、イギリスの洋上風力の価格、めちゃくちゃ上がりました。二〇二四年、十五円、着床式、浮体式四十円です。二五年価格が出ましたけれども、着床式十九円、浮体式四十六円です。これ日本でやろうとしているんですけれども、日本はヨーロッパよりも風況に恵まれませんし、コスト高いんですね。イギリスでこの値段だったら日本は幾らになるのかということをよく考えなければいけないなというふうに思います。  もう一つ、安全保障の問題があります。風力発電設備メーカーシェア、三分の二が中国ですよ。なぜこんなことになったか。今、洋上風力のシェア、中国が世界の半分以上を持っているんですね。中国政府は十五年以上前から、これからは再エネだということで国内で非常に大きな市場をつくって、太陽光、風力設備、EV、これをどんどんメーカーを育てていったんですね。その結果、今、世界の覇権は中国が持っている、こういう状況です。  重要鉱物も同じ状況です。世界の覇権は中国が持っている。これは、例えばリチウムですと、オーストラリアが世界最大の生産国です。えっと思いますよね。オーストラリアはほとんど全部の鉱物を中国に送って加工しています。それは、国内で環境負荷が高いことができないということですね。レアアースを見ると大変よく分かります。もうみんな中国に送っている、こういう状況ですね。  そういう中で、日本、データセンターをやらないと、AIをやらないと、もう経済成長を望めません。ただ、日本の電源は原子力発電設備を再稼働しても不足すると、こういうふうな見込みに今なっています。これをどうするのかということですね。地域別に見ると、どの地域でも、残念ながら東北と北陸と四国はちょっと減少なんですけれども、電力需要は増えるようになっています。  済みません、少し時間を超過しました。ありがとうございました。

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