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解説 8分で読める 2026-07-25

政策の1年 — いつ何が決まり、どのデータで追えるか

国の予算と政策には、決まった暦がある。6月に骨太の方針が閣議決定され、8月末に各省庁が概算要求を出し、12月に税制改正大綱と予算案が固まり、年明けの通常国会で審議されて3月末に成立する。この順番は毎年ほぼ同じだ。

ところが、この暦を知っていても「その時に何を見れば実態が分かるのか」は別の話になる。ニュースは決まった瞬間だけを報じるが、その裏付けになる一次データは各省庁のサイトに分散していて、横断で見る手段がない。

そこでこの記事では、政策の年間サイクルを月ごとに並べ、それぞれの時期にどのデータで裏を取れるのかを対応づけた。SEISAKU DB で実際に引ける範囲と、まだ引けない範囲も分けて書いている。

年間カレンダー

1月 — 通常国会が始まる

1月下旬に通常国会が召集され、施政方針演説と予算審議が始まる。この時期に見えるのは提出された法案の全体像だ。何本出て、どの分野に偏っているかは、会期の性格をそのまま表す。SEISAKU DB は法案を6,939件、第139回から第221回まで収録している。会期・提出者・審議状況・成立可否で横断できる。

2月〜3月 — 予算委員会と年度末

予算委員会では予算そのものより政治日程が話題になりやすいが、議事録を数えると別の絵が出る。どのテーマが実際に何件語られたかは、印象ではなく回数で測れる。国会会議録は266,276件の発言を構造化してあり、テーマ別・会議別・発言者別に集計できる。

3月末は予算成立と同時に、年度末の契約と補助金締切が集中する時期でもある。国の調達と補助金の公募情報を突き合わせると、この時期に何が駆け込みで動くかが見える。

4月〜5月 — 新年度の執行が始まる

新年度に入ると補助金の公募が一斉に立ち上がる。SEISAKU DB は jGrants 収録の3,605件の補助金制度を、キーワード・締切・上限額・対象地域で検索できる形にしている。制度名を知らなくても、やりたいことから該当制度に辿り着ける。

4月から5月は企業の決算発表が重なる時期でもある。政策で受注した企業が、その後どういう決算を出したか。ここは政策側のデータだけでは追えないので、有価証券報告書のデータベースと突き合わせることになる。

6月 — 一年でいちばん厚い月

6月には4つのことが同時に起きる。行政事業レビューシートの公表、骨太の方針の閣議決定、通常国会の会期末、そして3月決算企業の有価証券報告書提出ラッシュだ。

このうち情報量が突出しているのが行政事業レビューである。国が3万件超の事業を自ら点検し、予算額・執行額・成果指標・支出先を事業1件ずつ公開する。SEISAKU DB はこれを30,134事業、FY2021からFY2025の5年分で横断できるようにしている。省庁の壁も年度の壁も越えて、テーマからも支出先からも引ける。

会期末には法案の成否が確定する。成立した法律と、その裏についた予算を並べると、その国会が何をやったのかが具体的に見える。

7月 — 概算要求の準備期間

7月は概算要求基準が示され、各省庁が8月末に向けて要求をまとめる期間になる。表向きは静かだが、この時期の議論が翌年度の予算の形を決める。

8月末 — 概算要求

各省庁が財務省に予算を要求する。報道は要求総額に注目するが、総額だけでは何も分からない。意味を持つのは過去に何にいくら付いてきたかとの比較だ。

SEISAKU DB では、確定した8つの政策テーマについて、行政事業レビューの関連事業費と国会での議論量を並べて見られる。語られる量とお金の大きさは一致しない。防衛は国会でいちばん語られるテーマだが、行政事業レビューの関連事業費で見ると上位ではない。逆にAIは、事業費の規模に対して国会での言及が最も少ない。

9月〜11月 — 査定と秋のレビュー

財務省の査定が進む一方、11月には秋の行政事業レビュー(公開プロセス)が行われる。ここで何が指摘されたかは、翌年度にその事業がどうなるかの先行指標になる。

12月 — 大綱と予算案

与党税制改正大綱が12月中旬、政府予算案が12月下旬に固まる。補助金が注目されがちだが、国が企業を後押しする手段には政策減税もある。租税特別措置の適用実態は公表されていて、SEISAKU DB は105措置を申告区分(単体・連結)別に構造化している。適用額が最大なのは中小企業の法人税率特例で、適用法人数は94.7万社にのぼる。現時点で公表されているのは2020年度分である。

通年 — 認定と自治体

経済安全保障推進法にもとづく特定重要物資の認定は、時期を問わず随時行われる。現在114件・109社を収録している。

もう一つ、年間を通じて動き続けているのが自治体の契約だ。国の調達はよく話題になるが、自治体レベルで横断できるデータは少ない。SEISAKU DB は404自治体・689,066件の契約を取り込み、受注側を23,194法人に名寄せしている。国と自治体では、発注先の顔ぶれがかなり違う。

このカレンダーで追えないもの

できることだけ並べても役に立たないので、現時点で追えない範囲も書いておく。

まず概算要求の「要求額」そのものは収録していない。SEISAKU DB が持っているのは行政事業レビューにもとづく執行額と確定額で、いずれも事後の実績である。したがって8月末の記事は「今年いくら要求されたか」ではなく「過去の実績と議論量から、この要求をどう読むか」という立て付けになる。

次に財務省の査定過程は、そもそも一次データとして公開されていない。ここは推測でしか語れないので扱わない。

閣議決定を起点とする骨太の方針、概算要求基準、予算案については、取り込みの拡充を進めている段階にある。整い次第このカレンダーを更新する。

この記事の使い方

ここに並べた数字は、すべて SEISAKU DB でそのまま引ける。テーマから事業を辿ることも、企業名から受け取った国費を集計することも、補助金をキーワードで検索することもできる。ブラウザからでも、普段使っている Claude や ChatGPT に MCP でつないで会話から直接聞くこともできる。

接続の手順は「Claude・ChatGPT で SEISAKU DB を使う(MCP接続)」にまとめた。行政事業レビューそのものの読み方は「行政事業レビューとは何か」、議論量と予算のズレの見方は「議論×予算ギャップの読み方」で解説している。

このカレンダーは、それぞれの時期が来るたびに個別記事として掘り下げていく。この記事はその入口として置いておく。

※ 収録件数は2026年7月20日時点の実測値。国会発言は2026年7月10日までを反映。行政事業レビューはFY2021〜FY2025。自治体契約・法人数は重複排除後のユニーク件数。