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末冨芳 ·日本大学文理学部教授

衆議院予算委員会公聴会(2024-02-29)での発言

第213回国会 ·第第1号号 ·7,047字
○末冨公述人 皆様、日本大学の末冨でございます。お手元の黄色い資料を基に今日はお話をさせていただきます。  本日、私は、令和六年度予算案、そして、今国会で予定されております子ども・子育て支援法の改正につきまして、大変意義があることであるという立場から意見を申し述べさせていただきます。  安心で幸せな子育てを支えるこども金庫創設の意義と展望ということでお話をいたします。  私は、実は、教育無償化を含む教育行財政の専門家でございます。ただし、内閣府時代から十年にわたって子供の貧困対策に関わっており、子供政策についても長年蓄積を積んでまいりました。例えばですけれども、一ページ目の左側、こども基本法に関する著作もございますし、右側に「子育て罰」という本も記してございます。  二ページ目に進みますが、この子育て罰というのは何かと申しますと、OECDでチャイルドペナルティーと呼ばれているものが元の言葉になります。先進国最悪の我が国の一人親の貧困というものは、特に子育てをしながら働く母親の賃金水準が著しくよくないことによります。  ただし、それ以外にも、率直に申し上げて、この国では長年、子育てを自己責任とみなし、親子に冷たく厳しい政治や社会であったのではないか、そのように子育て当事者が受け止めざるを得ない状況があるということです。特に、二〇二一年の七月に、児童手当の所得制限が導入されるということで、私も怒って本を出版してしまいました。  次のページに参りますけれども、ただ、以前の明治日本というのは、子供天国というふうに呼ばれていた時代がございます。ところが、令和の日本というのは、正直に言うと、女性として、母として生きていると、とてもつらいです。  例えばですけれども、三ページ目の絵にございますが、ぶつかり男、ぶつかり女と呼ばれる、妊婦さんやママや赤ちゃんを狙ってくる人たちがいるんですね。こうした方たちは、迷惑行為防止条例の対象となっていないんです。本当は誰よりも守られなければいけない人たちが守られていないということで、このような大人たちが平気で赤ちゃんやママをターゲットにしないようにしてほしい、それも子育て罰をなくすことだろうというふうに考えています。  そして、四ページ目ですけれども、この場に私が立っておりますのは、ここまでの国会参考人としての経緯があるからだろうとも思います。まず、二〇二一年、児童手当の所得制限は子育て罰だとすごく怒っていました。そして、二〇二二年、こども基本法成立、大変うれしかったですけれども、大事なのは財源、財源、財源だということで、このときもまだまだ怒っていました。  次のページに行ってください。五ページ目、笑顔です。なぜかと申しますと、子供のための財源がしっかり確保される、特に全ての子供を応援するという姿勢がまさに異次元であるということで、私自身は、あっ、日本も本気で子育て罰をなくすために変わろうとしているんだということを大変高く評価しております。  ここからが本論ですけれども、六ページ目、本日は御覧の三つの柱でお話をさせていただきます。  七ページ目、まず一番、こども金庫創設の意義ということですけれども、五ページに要点をまとめてございます。  こども金庫創設の意義ですけれども、まず、子供を産み育てることはリスクであるということで、公助のための特別会計ができるということは非常に意義があることです。また、全世代、事業主が連帯して子供、子育てを支えるということで、支援金だけではない、一般会計からの繰入れや、あと歳出削減も含めて、子供、若者を支えていくんだという多様な財源。それが子供政策への使途限定、リングフェンスト財源として使われるということ。それとともに、消費増税のときは、正直、子供たちに幾ら使われたのか見えづらかったんですね。そうではなくて、特別会計にすることで、幾ら使って、幾ら子供、若者のために応援しているんだということが分かりやすくする見える化。あわせまして、全ての子供を応援するということについて大変高い意義が認められます。これらはまさに普遍主義の子供政策であるということで、これまでの日本政府とは次元が異なる、私たちは、レベルが上がっているというふうに捉えています。  また、支援金制度については、この予算委員会でも大変真剣な御議論が交わされておりますけれども、私自身は、子育てのリスクを支えるための多様な財源の一つとしては極めて重要で意義があるものであるというふうに考えております。  九ページ目に参ります。  こちら、こども未来戦略マップです。確かに、専門家が見れば、ここはもうちょっとこうした方がいいんじゃないかということはございます。ただし、子供を産み育てることはリスクということから、子供を産み育てることは幸せで楽しい日本になっていくんだというふうな、子育ての安心をつくる公助システムの基礎設計としては重要です。これは大変重要なスタートラインだと思います。  そして、十ページ目ですね。  実は、私自身も子供の貧困対策団体の理事をしておりますが、子供、子育ての四団体として、この間、子供財源、そして子供、若者政策の拡充を是非してくださいということで、明るい圧力団体をやってまいりました。それらの団体の採点表がこちらになります。妊娠、出産手当の無償化、児童手当のユニバーサル化を始め、大変評価できる部分もあるけれども、例えばですけれども、子育てのケアマネジャー制度、ここからしっかりつくってほしいというふうに、まだまだここから二歩目、三歩目、四歩目、更にその先へ駆け出していってほしいという願いも込めて採点表を作っております。  そして、十一ページ目ですね。  令和六年度予算案ですが、特に、多子世帯に手厚い支援が行われております。こちらについても大変いろいろな視点から御議論があることは承知しておりますが、私自身の科研費の調査結果によれば、多子世帯ほど、所得制限なく全ての子供を応援してほしいんだということ、たとえ上の子が成人しても支援は続くということを支持されているということでございます。  そして、次のセクション、十二ページ目。  それでは、この三・六兆財源、そしてここまで積み上げてこられた財源含め、ここからの財源も含めて、子供財源が少子化対策として効果を上げるための条件についてお話をさせていただきます。  十三ページ目に参ります。  御存じのとおり、少子化というのは、非婚化と無子化、一人っ子化によって起きています。非婚化は、若者の非正規化、低所得化、長時間労働による時間貧困、そして女性の就労上の不利、特に、子育てする女性の不利や、ケアの負担も女性に偏りがちである、更に言うと、教育、子育てにお金がかかる社会によって促進をされてきました。  これらにアプローチするために、三・六兆円財源、大変重要なわけですが、ただし、次のページに進んでください、更に三・六兆円財源の向こうを見据えて私たちが何を意識しなければならないかというと、日本の若者は今、大変思慮深いプレーヤーだということです。今、日本の若者たちは、結婚して出産したいなと思ったときに、子供を大学に行かせられるか、幸せな子育てができるかということを最初によく考えます。そうすると、この世の中では無理だと思って諦めてしまう。その諦めを生まないことというのが、実は日本の少子化対策のポイントとなるということでございます。  次のページに参ります、十五ページ目。  すなわち、子供を産み育てることが若い世代にとって今は明確にリスクです。そうではなく、国を挙げて応援する、そして事業主さんも応援するということによって、これはメリットだ、子供を持つことはメリットなんだというための、信頼される制度設計が不可欠でございます。  この間、特に、次元の異なる少子化対策については、私のところにも様々な御意見が寄せられました。その様々な御意見の中から、子供財源が効果を上げるためには三つの問題の改善が必要だという整理をいたしました。まず一つ目、政治不信問題、これは今話題の件ではございません。もう一つが、こどもまんなか三点セット問題。そして最後が、受益感なし問題ということです。  十六ページ目に参ります。  まず、政治不信問題というのは何かというと、無償化や児童手当の所得制限撤廃、どうせ続かないのではないですかと、総理が替わる、政権が替わるたびに目まぐるしく変化を繰り返してきてしまった日本の子供、子育て支援政策に対して、実は多くの子育て当事者は不信感を持っているということでございます。これは改善されなければなりません。あわせて、稼いでもほとんど税金に持っていかれて所得制限も重いということも指摘されております。  さらに、次のページですけれども、私も自分の講義で、異次元の少子化対策はこんなふうになるんだよというふうにうれしく話したところ、大学生から、自分たちは応援されている気がしませんという厳しい指摘をいただきました。あわせまして、地方の助産師さんからは、こども誰でも通園制度は生後六か月からだ、実は、産後うつにとって一番大事な生後六か月までの支援が足りていないんです、地方にはリソースも少ないですという御相談もいただいております。  これらにどう対応していけばいいのかということで、十八ページですね。  まず、政治不信問題につきましては、やはり、政権、政党を超えて、子供たちの財源をつくるんだ、そしてもう後戻りはしない、全ての子供、若者を応援するんだということで、この点だけは必ず与野党で合意いただきたく存じます。  あわせまして、右側、こどもまんなか三点セット問題ですが、実は、ほかの参考人も御指摘されていますけれども、この国では、扶養控除、減税の仕組み、そして現金給付がまずばらばらです。ここをまず一体化させていただきたい。すなわち、給付つき税額控除の仕組みとして、あらゆる世代に優しい仕組みをつくっていただきたいということです。  それと併せて、後ほど申し上げますが、実は、若い世代が一番望んでいるのは、保育、教育の無償化、そして質の向上となっております。現在与党で御検討されている高校生の扶養控除の縮小、子供増税は、今のタイミングではやめた方がいいというのが私の明確な意見です。特に、物価高の中で、せっかく支援が増えたのに増税しますということは、やはり今までの悪夢を繰り返しているじゃないかという失望に子育て当事者や若い世代をいざないます。今じゃない。次のステップで考えてください。  十九ページは、私自身も、高校生扶養控除の廃止は今やめてください、縮小もやめてくださいということで与野党の皆様方にお願いしていますけれども、それは、別に与党が憎いとかそういうわけではないんです。今ではない。少子化対策というのは今増税をしては意味がなくなるからということで、一生懸命訴えているということです。  二十一ページに参ります。  現在の子供、若者支援政策というものの充実を考えたときに、実は、十五歳から十九歳、二十から二十四歳の若者期の貧困が深刻である、この点について今後更なるアプローチが必要であるということを訴えたいと思います。  次に、二十二ページですけれども、先ほど無償化の話を申し上げました。こちらも私自身の科研費の調査ですけれども、二十代から三十代の若い世代、特に若い女性の五割弱が、所得制限のない〇―二歳保育無償化、高校無償化、そして児童手当等を含む経済的支援について支持すると。つまり、若い世代は所得制限がない方がいいと思っているわけです。これは四十代以上の意識とは明確に異なるということになっております。  さらに、次のページに行くと、では、今回は経済的支援、保育無償化、高校無償化の三つで聞いたけれども、所得制限がないものということで一番支持されるのは高校無償化です。ただし、もしもこの調査に大学無償化、減税、働き方改革、支援金等を入れたらどうなるのかということについては、まだ調査はできていません。逆に言うと、ここからの少子化対策をより効果的にするために、こちらの方は政府で迅速に行われるべきだというふうに考えております。  二十四ページの方ですけれども、こちらも、インターネットを利用して行われた異次元の子育て政策の王座決定戦ということですけれども、小中高大全員無償化というのが優勝しました。ただし、非常な激戦でして、準優勝が所得制限撤廃や専門職員の待遇改善といったものになっております。  こうした子育て当事者の声に応えるためにも、二十五ページですね、子供、子育て四団体からのお願いとしては、こども金庫、子供財源の基盤を確立して加速化プランを実施するのは頑張ってほしい、応援している、ただし、深刻化する少子化の中で、直ちに第二歩、第三歩も加速していただきたいと。一歩一歩着実に歩んでいただいているのは分かります。ただし、この国の少子化のスピードは、厚労省の予想をはるかに上回る速度で進んでしまっています。  私たちは、共に手を携えて、少子化の改善、若い人たちが幸せで安心な子育てをするということのために全力で駆け出さなくてはならないということをお願いしたいと思います。  二十六ページのこども未来戦略にも、「決して、「加速化プラン」で終わるものではない。」とございますが、もうどんどん先に進んでいきましょうということをお願いいたします。  そして、最後に、二十七ページですけれども、こども基本法第十一条にのっとった子供、若者真ん中政策マネジメントの提案ということをいたします。  二十八ページ、こども基本法の第十一条には、大変重要な条文があります。何が書かれているかというと、子供、若者に関する政策を決めるときには、子供や若者、そして子育て当事者の意見を反映させていくようにしましょう。これはなぜ重要かというと、政策効率を高めるために重要です。あわせて、こども家庭庁設置法には、こども家庭審議会もそのための機関としてしっかりと活動するんだということも書かれております。  ただし、この際に、二十九ページ、こども家庭庁の体制、なお一層の進歩が必要です。特に、EBPM体制の強化は重要でございます。  こども家庭庁には大臣直属のEBPM研究会という組織がございますけれども、省庁横断型でEBPMをしていただきたい。特に、迅速に子供、若者、子育て当事者のニーズを調査し、効果ある政策を精査できる状態にしていただきたいということです。  あわせまして、若者支援に関する部会は、こども家庭審議会にはございません。それを支える体制がないからです。だからこそ、子供たち、若者たちのために日夜を問わず頑張ってくださっている、こども家庭庁の定員、体制の拡充をお願いいたしたく存じます。  次のページ、三十ページですけれども、子供、若者真ん中政策マネジメントの提案ということをお願いいたします。  特に、KPIとして重要なのは、赤いセルですね、若い世代の人たちが妊娠、出産、子育てを希望できるようになって、希望できる人たちが実際に子育てに至ったかどうかということの検証こそが極めて重要です。  そこに至るプロセスを書いてございますが、特に、私自身は、今若者や子育て当事者に、本当に自分たちに受益があるのか、応援されている気がしないというその感覚を解消する、そのギャップを埋めることこそが大事で、そのためには、EBPMを活用し、子供、若者真ん中の政策マネジメントを実施する必要があるということでございます。  そして、三十一ページですね。  あわせまして、なぜ政府を挙げた子供、若者真ん中の政策マネジメントが重要かといいますと、国民や事業主に支援金負担をお願いするのであれば、政府による説明責任や結果責任をきちんと国民や事業主さんにお返しすることが必要でございます。だからこそ、政策マネジメントを重視してくださいということです。  あわせまして、令和八年度以降に予定されます支援金負担につきましては、政府が今示しておられる諸条件がございます。賃金上昇等、一生懸命頑張っていただいているなというのも分かりますけれども、特に若者や子育て当事者の手取り減になるということは、率直に申し上げて、今までの日本国のエビデンスは、手取りが減れば少子化が進むという鉄則がございます。そこに抵触するようであれば、若い世代への支援金の負荷を高めるということについては慎重な御判断をお願いいたしたくございます。  最後のページになりますけれども、いろいろ厳しいことも申し上げましたが、とはいえ、このこども金庫、そして令和六年度の予算というものは、安心で幸せな子育てが実現できる日本国への大切な第一歩です。どうぞ、与野党挙げて、令和日本を再び子供天国、子育て天国として進化させていただきたいと思います。  御清聴ありがとうございました。(拍手)

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